株式投資・企業分析④DeNA
企業分析の4回目はディー・エヌ・エー(以下DeNA)にします。
書こうと思った理由として、10年前はグリーと並んで日本のソーシャルゲームの王者として君臨していたのを思い出したことです。あれから10年、横浜DeNAベイスターズはなんとなく、うまくいってるのは知っているけど、他の事業はどうなんだろう?ということで、さっそく見ていきましょう。
・DeNAの事業について
決算説明資料を読むと、『ゲーム』、『スポーツ』、『ライブストリーミング』、『ヘルスケア』、『新規領域・その他』とあります。
それぞれ、事業領域がわかりやすいので、特に深い解説をする必要もないでしょう。
小~中ヒットでつなぐゲーム事業
一時期はモバゲーで隆盛を極めたのですが、近年は大ヒットではなく小さなヒットをつなげています。任天堂との協業、でとても話題になったのですが、それを活かして大ヒットしたか、とまではいきません。
マリオカート、マリオランなどを出してはいるものの、課金要素が比較的弱めで、『ファイアーエムブレムヒーローズ』が任天堂IPである程度成功を収めたかな、といったところです。開発費がかかったであろう『ドラガニアロスト』がサービス終了発表でも話題になりましたよね。
一番の稼ぎ頭が最近ファミ通で特集された『ポケモンマスターズ』なのですが、リリース当初はバグが頻発し、株式会社ポケモンと組んでのソーシャルゲームは初であることもあってか、出遅れてしまいました。3年の運営で徐々に改善されてはいるのですが。
参考記事として上記サイトを出しておきます。
(Tips)他社のゲームとの比較
なお、同業と比較すると、ミクシィ(MIXI)はモンストの次が出せず、今年7月リリースの『ゴーストスクランブル』も即クソゲー扱い。失敗を認め、12月までに大アップデートを施し、立て直そうとはしているものの相当苦しいでしょうね。
グリーは『ヘブンバーンズレッド』が大ヒットしているものの、ユーザ獲得への秋葉原等、Vtuberによるプロモーション、あそこまで迫真に迫らないと大ヒットはできないうえ、絶対に失敗できないっていう鬼のような気迫でしたよね。
説明不要ですが、『原神』といった超絶高開発費の中国の3Dゲームもあり、そういうのを見ると、DeNAは開発費をある程度抑えつつ、大ヒットこそはできないものの、リスクを抑えながらゲーム事業こそを柱、「金のなる木」としてほかの事業を育成していこうとしています。実際、「コスト面の構造改革・筋肉質化」を決算資料で説明しています。
DeNAは筆者の主観ではありますが他社と比較し、運営の丁寧さでも好評を得ており、ユーザに近い形で運営をすることで信用をこのあたりは最近成功しているYoster、セガなどに近いと思っています。
メイプルストーリーのネクソンとかほんとダメダメ運営・・・
スポーツ
おもな運営チームは、『横浜DeNAベイスターズ(野球)』、『川崎ブレイブサンダース(バスケット)』
22.3決算までは入場制限の影響で、2期連続で赤字も、入場制限が緩和された影響で黒字を見込んでいます。
横浜DeNAベイスターズ
「え、モバゲーベイスターズ?」横浜ベイスターズ買収時にいろいろ言われていましたよね(楽天がいろいろ言っていたのは印象に残っています)。球団の努力により、ガラガラだったスタンドは、弱くても人が入るように。そして毎試合満席の常連になって、日本シリーズに舞い戻れるようにすらなりました。広島ほどではないですが、チケットがとれないので有名です。
ゲームSNSとして確かにモバゲータウンにはいろいろと問題点がありましたが、横浜ベイスターズの復活から企業イメージが相当よくなったのではないでしょうか。
川崎ブレイブサンダース
経営不振に陥った東芝が、DeNAにバスケ部の経営権を譲渡して誕生。もともとバスケの中でも実業団気質が強い東芝は、なかなかBリーグ初年度も盛り上がりに欠いて、観客席を持て余していました。
DeNA経営後は、横浜DeNAのエッセンスを注入したのか、生まれ変わりました。場内の演出はMIXIの千葉ジェッツのように派手になり、はじめてくる人でも、わかりやすくいろいろと整備されました。
筆者の主観になってしまいますが、観客をもてなすホスピタリティはBリーグでも屈指なのではないでしょうか(三河といい勝負)。聴覚過敏の人向けにヘッドホンをレンタルするサービスなど、細かいところにも「多様性」を重視、様々な人にバスケを見てもらおう、とする意欲を感じます。
筆者の地元のチームは女性ファン向けに選手の抱き枕を販売してたりと、ガチ恋営業をしているのですが、川崎ブレイブサンダースはそういうのもなく、性別や障がいがある人にも見やすく、アリーナに新たな人をって前向きな感じを受けます。
その他のスポーツ
また、J3の『SC相模原』に参画していますが、参画初年度に降格。しかし、それは気にすることなく、リプランディングを続け、リニア新幹線を見据えて、魅力のある街づくりに挑戦しています。
その他、ニューイヤー駅伝に出る実業団をヱスビー食品から引き継いで持っていたりもしたのですが、陸上部としては7年で解散、体制を変更してアスリート単独を支援する(東海大の館澤選手)、という形にしています。会社の知名度や社会貢献等を総合的に勘案して、どこに投資するかを決定しています。
ライブストリーミング
『Pococha』が実はゲーム事業の『ポケモンマスターズ』と並ぶアプリ課金の稼ぎ頭。ライバーが配信をして、ライバーには報酬を提供、案件や広告、投げ銭などで収益を得ます。
しかし、競合の『17Live』や、最近では中国資本で三井と組んでいた『ミルダム』がゲーム実況に金をばらまいていたのから顔出しの配信者に舵を切ったことで競争が激化している側面もあります。『にじさんじ』のANYCOLORに続けとばかりの、激戦の市場です。
Youtubeより閉じたコンテンツで、気軽に配信ができることを強みに国内では黒字を確保、海外ではまだまだ赤字拡大中なものの、ダウンロード数は伸びていることから、成長のための投資を惜しまないそうです。
筆者はVtuberより、一般の方にはこっちのほうが受け入れやすい土俵自体はあるとは思っていますが(例えば生放送で面白い株や、サッカーの同時配信、とかは見たい)、検索するといろいろ残念ないかがでしたかサイトばかりヒットするのは、なんだかなあとなっています。こういうの見ると、何者かになりたい人を狙っているような・・・
ヘルスケア
DeNAのヘルスケアと言えば、記憶に新しいのは、あの「キュレーションサイト」での失敗です。外部のライター(学生)に医療記事を書いて掲載していたらデタラメだったという問題で、謝罪、釈明に追われました。ただ、この謝罪や第三者委員会の報告書は本当に素晴らしかったと思っています。
あれから、5年たちましたが、今のネットを見ているとものすごく先見の明はありました。クソアフィサイト乱立してるし、企業が自社サービスに誘導するサイト、事件性があったり、性的な内容では、信じられないくらい低俗な内容もある。失敗していなければ稼ぎ頭になっていた可能性、普通に高かったと思ってます。
そんなDeNAは、データを利活用することで新たなヘルスケアを提案。現状では赤字垂れ流しなものの、中長期で稼ぐ事業になるため、ヘルスビッグデータ戦略と銘打ち、協業する会社を増やしています。
社会課題を解決しつつ、稼げる事業になるのでしょうか。
特に医者の働き方改革も相まって、『これまで時間を要してきたもの』を一気に電子化したり短縮する動きが起きています。実際、高齢者の免許更新はタブレットシステムに移行し、全国の教習所や県警に提供しているそうです(19の府県で提供開始予定)。医療従事者によるコミュニケーションをするアプリ『join』を運営するアルムを子会社化。来期の黒字化を見込みます。ロマン的な要素はあるものの、もしかしたら・・・?
新規領域・その他
新規事業やM&Aも計画ありとのことですが、論理的な経営が出来ているなら、あまり心配はしなくてもいいのかな、とは。
まとめ
ゲームが現状維持しながらも稼ぐ柱、稼ぎをライブストリーミングに一気に投入しながら、ここを今後の稼ぎの花形として伸ばし、少しずつお金を投下しているスポーツとヘルスケアは稼ぐ力はまだまだだけど、社会貢献をしつつ、街を盛り上げていく、というのがDeNAの戦略でしょうか。
もはやモバゲー自体の面影はありません。社会を考えながらも、課題を解決していく、運営するゲームでも、集金だけに走るのではない、というのは、調べながら思ったことですかね。
※画像や資料は表記なきものは公式サイトより引用。
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