「ただいま。」と言いたくなる町、尾道
「ただいま。」
駅の改札を抜けた瞬間、心の中でそう呟いてしまう町、尾道(おのみち)。サイクリストや写真好きを虜にするこの町は、どちらにも興味がない私をも虜にしてしまう町でした。今回はそんな尾道をゆるっと紹介します。
ゆったりと町の雰囲気をあじわう
広島県尾道市。「猫と坂の街」として広く知られています。しまなみ海道の玄関口として多くのサイクリストも訪れるこの街は、活気がありながらも浮かれた雰囲気を一切感じさせません。
JR尾道駅から東に1.2km続く商店街には、5つの商店街が並び、約400店舗があるそう*。まるでタイムスリップしたかのような空間で懐かしさを感じることができます。この商店街にはコンビニエンスストアが1店舗しかなく、チェーン店の存在感がほとんど感じられないのです。「何かを買わなきゃ、楽しまなきゃ」そんなプレッシャーが町に漂っておらず、ゆっくりと自分のペースで町を味わえます。
* 参照)JRおでかけねっと「鞆の浦・尾道・しまなみエリアのスポット情報」
商店街にある、「パン屋航路」
商店街には新しいお店ももちろんある。その一つが、「パン屋航路」。
小さな店内は朝7時の開店からたくさんの人が訪れます。ベーグルやキッシュ、カレーパン、クロックムッシュなど、種類は豊富。
隠れ家のような、「本と音楽 紙片」
古本と新書、絵本や尾道の作家さんの作品、CDが置かれているここは、「紙片(しへん)」。「あくびカフェー」の建物のある通路を奥へ進むと、ちょこんとあかりの灯った看板があります。さらに奥へ行くと、まるで秘密の場所のような入り口が現れます。
店主さんと少しお話をしていると、「実は今、子猫を保護しているんですよ」と、小さな黒猫を見せてくれました。いつもは本を読みながら店番をしているけれど、この子が来てからなかなか本のページが減らないんです、と優しい表情で語る姿に、私まで幸せな気持ちに。
今はまだ「ネコ」と呼ばれている子猫。次に行くときはどんな名前になっているのかな、と楽しみです。
階段を登った先には、ご褒美がある
踏切を超えて、階段のつづく道を登っていきます。この道には古い家が残っており、「どんな人が住んでいたんだろう」「もしかしたら文豪が居た場所かもしれない」と想像が膨らみます。
ゆっくりと、20分ほど階段を登ると、千光寺(せんこうじ)に到着。振り返ると、尾道の町が広がっていました。かわら屋根の輝きと、少し古びた商店街、どこかへ向かう船と、たくさんの人を乗せて走る鉄道。晴れた日はしまなみ海道を見ることができるここからの景色は、一見の価値ありです。
千光寺ではおみくじを引きました。出たのは、小吉。今の私に必要な教えが書かれていて、ちょっとびっくり。不思議なものですね。
不思議で、懐かしくて、また帰ってきたくなる町
1泊2日のみじかい滞在となった尾道。入ったことのない小道や、行ってみたいお店が、まだまだたくさんあります。次はどこへ行こうか、どんな出会いがあるだろうか、楽しみが尽きません。
また帰ってくるまで、しばらく「行ってきます。」
All photo by みかやん
camera:RICHO GR lll
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