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人生で2度、生死をさまよった。管理栄養士兼パーソナルトレーナー・早瀬友美さんが語る、食と健康への想い

早瀬友美さん
管理栄養士兼パーソナルトレーナー。1991年生まれ、栃木県出身。大学卒業後、フィットネスクラブの管理栄養士として5年間勤務したのち、人材派遣業や飲食店の立ち上げ、メニュー開発を経験。現在は管理栄養士として業務委託で特定保健指導を行う傍ら、食と栄養、運動を包括的にサポートをするコミュニティ「食deケーション」を主宰。食事やダイエットに悩んでいる人に向けてデトックスを中心とした体質改善や食生活のサポートをするほか、理想の体づくりに向けたパーソナルトレーニングも行っている。

初めて経験した「食べられない」つらさ

――早瀬さんは業務委託の管理栄養士として働きながらパーソナルトレーナーとしても活動されていますが、そもそもなぜ管理栄養士になろうと思ったのでしょうか?

運命の相手に出会ったときのことを「びびっときた」と表現する人がいますが、私にとって「管理栄養士」という職業がまさにそれでした。
高校3年生の5月、原因は不明なのですが授業中に突然意識を失って倒れてしまったことがありました。当時は看護師を目指していて、高校の授業でAEDの訓練実習を受けている最中のことです。当日は体調も良く前兆は全くなかったのですが、気づいたときには病院にいました。倒れたときの衝撃で外傷性クモ膜下出血を引き起こし、3日間ほど意識不明の状態が続きました。

意識が回復してからも身体が思うように動かず、食事を出されても口は上手く開かないし、スプーンの握り方すらおぼつかなくなっていた。人生で初めて、「食べられない」という経験をしました。私は食べることが大好きで、朝ごはんを食べ終わったらすぐにお昼ごはんのことを考えてしまうほどなので、とてもショックでした。意識が戻って数日、徐々に回復して食事を摂れるようになってきたときに、「食べられることの幸せ」を心の底から感じました。

入院中に食事の説明をしてくれたり、体調を気にかけてくれたのが病院の管理栄養士さんで、そこで初めて管理栄養士という職業を知りました。「食事で人を助けることができるなんて、なんて素晴らしい仕事なんだろう」と感動して、管理栄養士になることを決めました。

――大学卒業後は病院の管理栄養士ではなく、どうしてフィットネスクラブでの勤務を選ばれたのでしょうか?

もともとは病院勤務を目指していました。しかし大学4年生のときに行った病院実習で、現場における管理栄養士の扱いや待遇の悪さに衝撃を受けたんです。就活を控えていたのに、「病院の管理栄養士にはなりたくない」と将来の夢を見失ってしまって。ちょうど進路に悩んでいた時期に、同じ大学の卒業生から就活生に向けた仕事説明会があり、そのときにフィットネスクラブの管理栄養士として働いている先輩と出会いました。

フィットネスクラブの管理栄養士の仕事は、肥満の人や糖尿病予備軍の方に食事や運動のサポートをして、病気の発症を予防するというもの。自分が高校生の頃に原因不明の病で倒れた経験もあり、私は食事で人の体調を良くすることよりも、病気にならないように食事を整える「予防医学」の分野がやりたかったのだと気づきました。それ以降は一気に方向転換をして、フィットネスクラブに就職しました。

独立への想いが芽生えたフィットネスクラブ時代

――フィットネスクラブで勤務していた頃から独立したいという想いはあったのでしょうか?

仕事でいろいろな経験をするうちに、だんだんと独立への想いが強くなっていきました。フィットネスクラブには5年間勤めましたが、自分にとっての天職なんじゃないかと思うくらい楽しく充実していました。レッスンの担当や栄養指導といった通常業務以外にも、栄養のセミナーや、料理教室の企画から開催まで、本当にいろいろなことを経験させてもらいました。

糖尿病や腎臓病を患っている方、妊婦さんの指導など、管理栄養士としてやりたいことは一通り経験したところで、会社以外の場所でも活動したいという想いが出てきたんです。私はお客さんと会話したり栄養指導をしたりと現場で働くことが好きだったのですが、勤務年数が長くなるにつれ社内での立場が上がり、現場に立てる機会も減ってしまいました。そこでビジネスの勉強をしたり、起業している人に会いに行ったりと、独立の準備を少しずつ始め、5年経ったところで退職しました。

――退職後はすぐに管理栄養士として独立されたのですか?

退職してからはフィットネスクラブ時代のご縁で人材派遣の仕事をしたり、知り合いにお願いされてイタリアンレストランのメニュー開発をするはずが、気づいたら店長を任されていたりと(笑)、なかなかすぐに独立とはいきませんでした。

店長として働いていたレストランがコロナ禍で営業を縮小することになり、空いた時間で始めたのが現在行っている特定保健指導です。今後は管理栄養士兼パーソナルトレーナーとして、食事と運動の両面からその人の健康を支えるサポートができるようなサービスを始めたり、自身でコミュニティを立ち上げたりして、本格的に独立の準備を進めています。

特定保健指導で感じた限界

――特定保健指導は、個人に食事や栄養の指導を通して健康のサポートをするという点では、早瀬さんの今後やりたいことと近いイメージがあります。あえて独立を選ぶのはなぜでしょうか?

特定保健指導とは、生活習慣を見直すサポートのことで、対象となるのは生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる方たちです。これまでは主に40代以上の働き盛りのサラリーマンの方々をサポートしてきました。

特定保健指導を行うなかで感じたのが「指導の限界」です。この指導は国が関わっている事業なので制限が多いのが特徴で、個人の体質や生活スタイルに必ずしも合っていないことも、ルールとして言わなければならないことがあります。例えば「糖質は1日〇gまでにしてください」といった内容です。

その人の体質に合っていない指導内容だと効果が発揮されにくく、すぐに効果が出ないと指導を受ける本人もやる気がなくなってしまいます。本人が生活習慣を改善することが重要なのに、やる気がなくなってしまい生活習慣が改善されない。そうなると、さらに指導の効果が出にくくなるという悪いサイクルになってしまいますよね。そのような現状に課題を感じ、「食事や運動のサポートについて個人で動いていきたい」という想いが強くなっていきました。

――早瀬さん個人のサービスではどのようなサポートを行っているのですか?

食事やダイエットに悩んでいる方に向けて、デトックスによる体内の浄化と食事サポートをメインに行っています。また私が一方的にサポートをするだけでなく、栄養の知識もしっかりと身に着けていただくので、「何をどれだけ食べればいいのか」が自分で判断できるようになり、プログラムが終わった後もリバウンドすることはありません。

食事改善の難しいところが、筋トレのように即効性がないところなんです。しかし続ければ体は確実に変わるので、「どうしたら継続できるか」を第一に考えた内容になっています。無理な食事制限は一切ないですし、24時間体制でサポートしているので、その人の生活スタイルに合わせて、二人三脚の体制で理想の体づくりに取り組めます。希望する方にはパーソナルトレーニングのサポートを行いますが、あくまで補助的な位置づけで、基本は体質改善と食事サポートがメインです。

食べることを心から楽しめる人を増やしたい

――普段の生活に落とし込めるような食事と栄養のサポートになっているんですね。どんな人にサービスを受けてほしいですか?

ダイエットがうまくいかない人や、食に対してネガティブになっている人の力になれたらと思います。
私が伝えたいのは、「食べるって楽しいんだよ」ということ。私の周りでも無理なダイエットから摂食障害になってしまったり、高額なエステやサプリメントを試してもなかなかダイエットがうまくいかなかったりと、食べることに振り回されている人を何人も見てきました。

実は私、人材派遣の仕事をしていた頃にも、過労で一度倒れているんです。意識を失って集中治療室に入って治療を受け、回復した後も右手に麻痺が出ていました。高校生の頃と合わせて、人生で2度も生死をさまよって無事に回復しているので、きっと何かのご縁によって生かされているんだと思います。だからこそ、健康の重要さをを伝えていくこと、健康に生きられる人を増やすことが自分の使命だと感じていますし、食に苦しんでいる人を助けてあげたいと強く思っています。

私の夢は、食に関する正しい知識を身に着けて、自分で選択できる人を増やすことです。なので、本気で自分を変えたい、食や栄養について学びたいと思っている人に受けてほしいと思っています。
ただやせるだけではなく、理想の体型を手に入れた上で、一日3回、毎日の食事を心から楽しめる人が増えることを願っています。

早瀬友美さんのInstagramはこちら


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