15歳の歌声と校長先生のなみだ
会社を辞め夢の和菓子屋開店の為、内装や備品集めに忙しく、なかなか更新できずにいました。同時進行で、娘二人の行事もこの時期目白押しで、行ったり来たり。
以前書いた鼻歌爆音 超絶ポジティブな長女は、3月で義務教育卒業を迎えます。
今年 娘の通う学校も、コロナ騒動で、何もかも中止になりました。課外活動が多く、豊富な体験ができることで有名な学校なのに、
遠足も、
登山も、
極めつけは、修学旅行も
何もかも全て中止。
そして、最後の行事、音楽会だけは、一旦保留でしたが、2月に発令された緊急事態宣言を受けて、”中止”との報告があったのは先月のこと。
でも、生徒たちは、こんなときだからこそ歌を歌いたい!と先生に直談判しはじめた。娘も、校長室にまで行って、直接校長先生に、お願いをしてきたらしい。お願いしてきたこととは
・コロナ禍 登校も許されない中で、自分たちのいつもそばにあって、寄り添ったくれたものが、音楽だったこと
・この苦しかった一年であっても みんなで支えあえた感謝の想いを、歌で伝えたい
・コロナというものをしっかりと15歳の自分たちが受け止め、理解するために、自分たちが率先して完全な感染予防対策を行った上で、音楽会を開催したい。
・何もかもできないと諦めることなく、こうすれば、安全に行事ができるということを実現、成功させて、後輩たちへの範を示したい
そして__何度も何度も、先生たちの間で会議が行われ、保護者のアンケートなどもとったうえで、
何とか、本来の形ではないけれど、開催されることが決まりました。
”やった~!!先生が許可してくれたよ!音楽会!!”
と帰宅した娘。
ただし、学校では密になってしまうため、別の広いホールを借りて、
各クラス1曲限定 さらに無観客なら・・という条件付きで、中止になったはずのその幻の音楽会は 東日本大震災10年目という節目を迎える 3月11日に開催が決定しました。
ここ1か月、娘のいつもの爆音鼻歌は、もちろんこの日に歌う合唱曲。何を歌うかは当日まで内緒にしとくからね・・って言うけど、そりゃバレるよ 笑
いよいよ迎えた・・その朝。
いつもなら朝から聞こえる爆音鼻歌が、今日は聴こえない
娘は泣いていた__。
本当にこの日が迎えられるか、不安だった・・・と。
そして、今日で、楽しくて仕方がなかったこのクラスメートと歌を歌うことも最後なんだ__。と。
起きてきた次女も、つられて泣く・・もちろん私も泣く・・・。
当たり前だけど、苦しかったのは、大人だけではない。
コロナウイルス感染症によって、子供たちから、今まで当たり前に経験できた学校生活が奪われてしまったことの大きさを痛感した瞬間でした。
子どもたちなりに、
その現実を受け止めようと、”今”を必死で、生きている__。
音楽会の開催されるホールまでは、電車で行かなければなりません。
さあ、涙をふいて__
今日は、思いっきり楽しんでおいでね・・と娘の涙を手で拭い、送り出しました。
時間になりました。
親たちは、zoom視聴で、スタンバイ。
まずは、一年生から。
男子が変声をする時期の一年生。初めての音楽会ということもあってか、緊張も。とても、初々しい。
そして、2年生。
この一年のアドバンテージは大きいんだなと感じさせてくれる歌声。その成長を、声のボリュームやエネルギーがはっきりと示してくれています。本当に素晴らしい。
そして、3年生__。娘たちのクラスの番になりました。
まだステージに並んだだけで、指揮者の子が出てくる前なのに、
娘の肩が上下に揺れているのが見えました。
泣いている__。
そして、他のみんな全員、泣いていました。
そして、一人、男の子が前に。
”僕たちは、このコロナという目に見えないものに対して、ぼくたちなりに考え、親や先生たちに相談をしながら、決して逃げることなく対峙してきました。
ときには、友達と喧嘩になり、うまく意見がまとまらないこともあって、先生に怒られ、泣いて・・。
当たり前だったことが、当たり前でなかったことに気づき、当たり前だったことが、どれほど大切かに気づかされました。
それでも前を向いて、根を張り、芽を出し、茎を伸ばして、蕾をつけてきた僕たちは
今日、やっと
その花を咲かせることができます。
歌をみんなで歌うことで、言葉でははっきり言い表せないかもしれないけど、”答え”が見えた気がしました。
その”答え”を、その目に焼き付けてください。”
コブクロ ”蕾”「つぼみ」
涙 こぼしても 汗にまみれた笑顔の中じゃ
誰も気付いてはくれない
絶やす事無く 僕の心に 灯されていた
優しい明かりは あなたがくれた 理由なき愛のあかし
娘の鼻歌で、この曲だとはわかっていたけど・・。
感情が溢れ、ほとんど記憶にないほどに、涙が・・。
その15歳の子供たちの歌声は、恐ろしいほどに純粋で、ちょっと大人で・・・。
どこまでも澄んでいました__。
そして、その”答え”が、はっきりと一本の線のように見えたんです。
信じた夢は咲く場所を選ばない
全クラスのが合唱が終わり
校長先生が壇上へ__。
校長先生が、泣いていた。
そして__
用意していた紙を、破ってポケットに。
長い沈黙からやっと口を開いた先生。
”私は、うれしくてうれしくて、ずっと泣いています。
この一年、みんな本当に
苦しかったね・・・。”
この音楽会を開催するにあたって
みんなが、先生に教えてくれたことがあります。
自分で考え、自分の言葉で伝え、自分で行動するということを。
そうすれば、人を動かすことができると証明してくれました。
本当は、先生が、君たちに教えるべきことなのに、君たちから、
教えてもらうなんてね。
一生、君たちの歌声を忘れることはないでしょう。
ありがとう
目を腫らして、帰宅した娘。
”心が震えたよ。ありがとう”と声をかけると、我慢していた涙がまたあふれ出す__。
素敵な友達、素晴らしい先生たちに囲まれていた3年間。
感謝しかありません。
”桜が落ちてたけど、もう咲いている桜ってあるんだね♪”って、照れ隠しのように、小さい桜を私に渡した娘。
そしてまた、いつもの鼻歌が聞こえる__。
このコロナ禍で、失ったものは多いかもしれません。この苦しみは、同じ量、同じだけ、平等に降りかかったもの。
でも__。
その次に踏み出す一歩は、それぞれに、任されています。
その中で、何を感じ、何をつかみ取ることができるでしょう。
何かの物差しがないと、動けないでしょうか?
自分の判断基準を明確に見つけて、動くべきだと私は子供たちから
教えてもらった気がします。
その判断基準とは、
何が好きで、嫌いで、何ができて、できないか__。
早すぎるだとか、遅すぎるだとか、
できない理由を並べて、できない選択をいつまで?
”今”というときは、二度とはないのです。
これを意識して生きていくのと、意識しないでいきていくのでは、
10年後、
全く違う人生になっている。
”今”なにをするのか、自分で考え、自分の言葉で伝え、行動しよう。
その桜は、蕾ではなく、ちゃんと花が咲いていました__。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます☆彡
今日も素敵な一日を。
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