リアルな龍

先日、とある雑貨屋さんに行った時、龍が描かれた雑貨が数種類あった。

それぞれ様々なタッチで描かれており、可愛らしくデフォルメされたものや、狩野派とかの画家が描いたようなお寺などで見たことのあるような画風、その他デフォルメされつつも、カッコよく描かれたモノなどがあった。

お店の中には数人の客がいて、「お寺などで見たことあるような龍」をじーっと見ているわたしに話しかけてきた人がいた。

「この龍はリアルですよねぇ。」
……
《わたしの心の声》(「…ん?リアル?…リアルって何だ?リアルな龍は見たことないぞ。いや、あなただって見たことないはずだ…、何?どこかの世界線にわたしは迷い込んだのか?…リアル??」)

……いや、たぶん「迫力のある絵だ」ということが言いたかったのだろう、、、しかしわたしの脳内は、…リアル?リアル=本物?!り…アル?リアルの定義とは…と一瞬慌ただしくなってしまった。

「リアルな龍は見たことがないから分からないですねぇ。」

一瞬そう言いかけたが、いや、ダメだ、この人はそういうことが言いたいわけじゃないことはおおよそ分かっている、ただのあげあしとりになってしまう、ああ、ダメだ、言いたい、いや、ダメだ…ああ…

「……そうですねぇ。」と言ってわたしは店を出た。

耐えた。

このようなさりげないひと言ひとつとっても、他人と自分が見えているモノゴトは違うと感じる、というお話し。

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