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【イベントレポート】SNS医療のカタチTV 2022 〜医療の分断を考える〜

こんにちは!
病気で悩む人が支え合う患者SNSアプリ「ミライク( @MiiLike_ )
コンシューマー・マーケティング(看護師・保健師)の藤澤です。

9月4日に開催されたイベント「SNS医療のカタチTV2022」に参加しました。
想像以上に胸熱で、この素敵なイベントを、より多くの人に知ってもらいたいなと思い、レポートをお届けします!

ツイッター上では「今年もSNS医療のカタチの季節がやってきた」との声もあり、医療従事者ツイッタラーの中では夏の定番とも言えますでしょうか。

SNS医療のカタチとは?

医療に関する情報が今まで以上に適切に交換されるよう、医療コミュニケ―ションについて考える啓発プロジェクト。

医療技術が大きく発展する一方で、医療を取り巻くコミュニケーションは問題を残したままです。

患者さんからは
「医者の一言に傷ついた」
「インターネットをみても何が本当かわからない」
「病気をして友人との距離が遠ざかった」
「家族が気持ちを理解してくれない」など、
医療情報の問題や心のケアの遅れなど、多くの課題を指摘した声が聞こえてきます。

私たち一般社団法人医療リテラシー研究所は、こういった医療とインターネットの普及に伴って生まれた知識や心のギャップを解消しようと集まった有志でつくる集団です。「医療におけるコミュニケーション・エラー」を少しでも減らすため、2018年から4人の医師がSNSを中心に、活動しているのが「SNS医療のカタチ」です。

#SNS医療のカタチ

SNS医療のカタチTV 2022について

SNS医療のカタチTVは今回で3回目。
当初は”医療系のフェスを開催しよう!”と始まりましたが、コロナ禍で3回ともオンラインで開催しています。(イベント詳細はこちら

SNS医療のカタチのコンセプトのひとつに「医療情報をやさしく伝える」というものがありますが、やさしさと先生方の情報発信への熱量が溢れているイベントでした。

正しい情報を伝えたい”

この溢れんばかりの先生方の思いに、胸を打たれました。

正しい知識を手に取ってほしいと、
ここまでの熱心な思いを持って、患者さん目線で情報発信をされている先生方がいることを、知ってほしい。そんな気持ちになりました。


ちょっとだけ先生方の講演の紹介

市原 真(病理医ヤンデル)先生
( @Dr_yandel )

「病理医ヤンデルと学ぶWeb3.0時代の医療情報発信と受信、それとあとちょっとわりと聴いてよかったなという話」

あなた(市民)の周りには、マスメディア・Webメディアといった情報の整理をしてくれる方々がいます。これはとてもありがたい。
けど、マスメディアも医療情報の専門家ではないことが多いので、その都度「これかな?」と思うものを頑張って選んでいる状態。
これをもうちょっと整理したい。
医療者の中には、メディアのやっていることもわかるし情報の海からどれを手に取ればいいかもわかる、考え抜いている人たちがいる。
一次情報(科学の細かい情報)とメディアの間にもう1段階何か入らんかな、情報の交通整理をしたいと思ってSNS医療のカタチに参画したのです。

山本 健人(外科医けいゆう)先生
@keiyou30 )

医療健康情報から「身を守る」ために

私たちは「見たいものを見て、信じたいものを信じてしまう」
自分の背中を押してくれる情報を探そうとしてしまう。
「こうかもしれない」「こうだったらいいな」そう思って情報を探している時点で、中立的でニュートラルな情報収集は難しくなっているかもしれないと思った方がいい。科学は時として自分にとって不都合だったり納得しづらいものだったりする。
けど、それが中立的な目で見れば正しい事実だったり命を守ることだったりする。
本当にいいものは、わかりやすい答えは書いていない。最後に問いかけを読者にするのが、誠実な本。
こういうことを念頭に置いて、安全に医療健康情報を収集してほしいと思います。

大塚 篤司(大塚篤司【医師’医学博士】)先生
@otsukaman )

SNSから始まる新たな「創薬入門」

病気を治したいという思いから医者になりました。その時に、治せる病気の方が実は少なくて、治せない病気の方が多い。そうなると、薬をつくるしかないと思って研究を始めました。
アトピー性皮膚炎では「ステロイドを使う派」と「ステロイドを使わない派」で分断が起きています。それは誤った情報が流れているからだけではなく、医者の対応にも責任がある。多くの患者さんはステロイドを一旦使ってから脱ステロイドにいっている。「なんでこんなひどい状態になるまで放っておいたんですか」と初対面の患者さんを叱る話をよく聞きます。そんなふうに言われたら、多くの患者さんは医療不信に陥ります。
分断を乗り越えるには、3つ大事なことがあるかなと思っています。
①コミュニケーション:患者さんに親切にわかりやすく、やさしく情報を伝えること。
②制度と規制:ガイドラインやどこの病院に行っても同じ治療を受けられるように整えることと、間違った医療への規制
③医学の発展:一番大事なのは医学の発展ではないかなと思います。アトピー性皮膚炎を治せるようになればこれらの問題はクリアできるのではないかと思っています。

僕は医者になってからCredoと言って、自分が医者になった時の初心を書いていて、医者になったからには患者さんを治すための薬を作ろうと思って、時々見返しています。


堀向 健太(ほむほむ@アレルギー専門医)先生
@ped_allergy )

原点を思い出しながら根拠のある知識へのアプローチを考える

「エビデンス(根拠)エビデンス」と話をしても、実際には苦しんでいる患者さんには情報が伝わりにくいという話が出てました。それで、エビデンスベースドメディスン(根拠に基づいた医療)は行きすぎているんじゃないかというところもあって、そこで出てきたのがナラティブベースドメディスン。物語的なところも含めて話をしていこうという医学の話。苦しんでいる方にとっては、わかりやすい話は伝わりやすい。もちろん出典や根拠に基づく発信が大切だが、そういうことを考えた上で情報発信をしていくことも大事。SNSで医学知識にアプローチするには、多くの方々の力が必要だと思っている。ということを、3年前に話していた。

でも、今は「博物館に展示物を置いていく」根拠のある情報を展示物として置いていくことを考えよう。芽が出るかわからない種をまく。その情報は、同じ情報だとしても、医療者以外の方にも、医療者にも、専門医にも、学会の関係者にも届く種をまいていこう。芽は、発信者が芽吹かせるのではない。たまたま置いてあったものを受け取ってくれた方々だと思っています。

最後に

正しい知識を手に取ってほしいと、ここまでの熱心な思いを持って、患者さん目線で情報発信をされている先生方がいることを、知ってほしい。
そんな気持ちになりました。

チャット欄では「学会化してほしい!」との声や、感動の拍手が鳴り止みませんでした。先生方も、チャットに入って盛り上げてくれる一体感が素晴らしかったです。

誰しもが、病気になった時、情報の海に溺れます。私だって、きっとそうだと思います。

看護師の資格を持っていたって、ひとたび自分が患者になったら、わからないことばかりだと思うんです。

でも、そんな時に、今日の内容を情報の選択で迷った時に、まず思い出したいと思います。

SNSとともに、情報をとっていく時代、
こんな心強い先生たちがいると知っているだけでも、安心できる気がします。

SNS医療のカタチTVは、9/11(日)に後編が放送されます!
楽しみ!きっと今回もチャット欄は大盛り上がりのことでしょう!

SNS医療のカタチTVのチケットは、大盛況の声にお応えして9月30日まで購入できるようになったそうです。
気になる方はこちらからぜひ!

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