「やりたいことに全力で向き合うために～」川副泰門（かわぞえたいと）さん 理学療法士連盟主催、1ヶ月パワーアップチャレンジ・イベントレポート
こんにちは、理学療法士でライターのみっこです。本日はリハビリテーションに関わる全国の皆さんに耳寄りなイベントについてご紹介。
１ヶ月パワーアップチャレンジ
その名も「1ヶ月パワーアップチャレンジ」！
日程：6月12日～7月9日
時間：20:00～21:00
視聴方法：Zoomウェビナー（無料）
公式サイト：日本理学療法士連盟青年局
公式LINE：日本理学療法士連盟
理学療法士連盟青年局が主催するオンラインzoomセミナー。
1ヶ月間ノンストップで行われていて、若手理学療法士やその学生さんのお悩みを解決するヒントやワクワクするような話題を提供しています。
本記事では開催12日目の6月24日（金）に開催されたセミナーの内容を一挙公開！
ファッション×リハビリテーションという異色な掛け合わせで、「誰もがおしゃれを楽しめる世界」というテーマを掲げ活動している川副泰門（かわぞえたいと）さんのお話を深掘りしていきます。
「やりたいことがみつからない」「どうやってやりたいことを実現していけばいいんだろう」と悩んでいる方はぜひ読んでみてくださいね。
■「Fashion×Rehabilitation＝やりたいこと×強み」服飾療法士/川副泰門（かわぞえたいと）さん
今最も勢いのある若手理学療法士、川副泰門さん。彼は「Fashion×Rehabilitation」と題し、障害の有無に関わらずファッションを楽しめる世界を作るという夢を追いかけています。
落ち着いた口調ながらも溢れ出すパッションに、ウェブセミナーにもかかわらず会場全体が引き込まれていることが伝わってきました。
まずは川副さんの経歴をご紹介します。
川副泰門（かわぞえたいと）さん
川副泰門（かわぞえたいと）さん
長崎県出身の25歳。
国際医療福祉大学・福岡保健医療学部・理学療法学科に在学中、有名雑誌でのモデル出演や自作の服を販売するなどの活動を行う。
卒業後、名古屋市にあるベンチャー企業『合同会社Think Body Japan』に理学療法士として入社。
現在勤続3年目。現場責任者として働きながら、同社で昨年12月に発足した事業「Think Fashion」にて『障害の有無にかかわらずファッションを楽しめる』ことをコンセプトに”服飾療法士”として活動中。
今年6月、日本理学療法士協会が開催した理学療法士としての夢への挑戦を応援する大会「Little Physio」では、大賞とオーディエンス賞のW受賞を成し遂げた。
今最も勢いのある若手理学療法士として、目を離せない一人である。
一本気で進んできたように見える川副さんですが、大学4年生から今までいくつものターニングポイントがありました。
◇ターニングポイント①「学生時代に出会った義足の男の子がつぶやいた一言」
川副さんが障害のある方と制作過程を共有したファッションブランドを作ろうと考えたきっかけは、大学４年生のときに出会った義足の男の子がつぶやいた一言でした。
「当時、僕は奈良県香芝市にあるGood Job Centerという就労支援施設を見学して、素敵な制作物が並ぶなか『障害のある人と洋服を共作できたら、理学療法士としてなにか役に立てるかも』と、なんとなく考えていました。
その頃、ご縁があり義足の男の子と話す機会を頂いたんですね。義足のつなぎ目部分に服が引っかかってしまったり、義足を使用していることで左右の足の長さに差があったりとで、すぐに服が破けてしまうという悩みが挙げられました。」
「どうすれば悩みを解決できるのか考えていた僕は、別れ際に聞いた男の子の一言がずっと忘れられません。
“でもどうせどの服も破けるし”と……。」
目の前に現れた大きな課題が川副さんの心を動かしました。
障害のある方の洋服の悩みについてより深く知るために、約6ヵ月にもわたる調査を独自に決行。たった一人で名古屋市周辺で街頭調査を行ったのだとか。
すると、車いすを利用している方はこのような多くの悩みを抱えていることが分かったのです。
・車椅子を操作する上で袖口や裾の長さが不便である
・すぐに汚れてしまう
・機能性を重視して選んでも理想的な服に出会えない
そこで、彼がその地道な調査の中で思いついたのは、「障害のある方の生の声を反映し、共に制作すること」だったのです。
◇ターニングポイント②「理学療法士が強み、目の前のことに真摯に向き合った先に答えがある」
「理学療法士として就職して1年経とうとしていた頃、僕は焦っていました。
『このまま理学療法士として働いていても服を作れない。早く一着作ってみないと』って。
そこで、会社を退職して起業すると、社長に刺々しく伝えたんですね(笑)。
すると社長が、
“泰門くんのブランドの強みは理学療法なんだよ。そこを適当にして作っても何の価値もない。本当に魅力があるのは、誰かのために作ったもの。目の前のことに真摯に向き合って、その先に答えがあるはずだよ。”
と、おっしゃったんですね。
とても胸に刺さりました。ほんとアホだったなあと。」
その後、理学療法士の仕事にまい進しながら、自分の強みを活かしたブランド作りについてもう一度一から練り直します。社員の方にも協力を得てアイデアを固め、今度は会社のプロジェクトの一つとして稼働することになったのです。
「試行錯誤を重ね方向性が決まり、『Think Fashion』が2021年12月23日に誕生しました。“障害のある方と制作過程を共有したファッションブランドを作り、ファッションショーを催す”というミッションを掲げています。まずは1着作り上げ、その作業工程をマニュアル化し就労支援に繋げようと考えています。」
実際、社内のプロジェクトでは両麻痺の方をモデルに、車いす利用者にも使いやすい服の制作をすすめているのだそう。
「着やすい・着せやすい・着心地やシルエットに違和感が無い・動作時に邪魔にならない」などのポイントを押さえながら、利用者様から寄せられた悩みやファッションの要望を解決するアイデアを取り入れて制作されています。
これが川副さんの学生時代からずっと描いていた夢が動き出した瞬間でした。理学療法士として真摯に行動したからこそ、答えが見つかったのです。
◇ターニングポイント③「Little Physio出場、そして優勝！」
そんな川副さんのもとに理学療法士やその学生の夢への挑戦を応援するピッチコンテストである「Little Physio2022」という大会の情報が舞い込みました。
その本選では5月から6月の約1ヶ月間、自らの課題に挑戦しその成果を発表するといった内容です。
そこで、川副さんの頭に一人の女性が浮かびます。
それが株式会社 CREIT（クレイト）の高橋尚子（たかはししょうこ）さん。
高橋尚子（たかはししょうこ）さん
動画クリエーター・起業家・活動家
高校3年生に遭った事故で頚髄を損傷し、以後車いすでの生活を送っている。
最近では株式会社 CREIT（クレイト）を設立し、複数の企業との商品開発を行うなど精力的に活動中。
「心のバリアフリー」を掲げ、パンテーンのCM出演や東京オリンピックの聖火ランナーに抜擢されるなど活躍の幅をさらに広げている。
「尚子さんとは昨年、SNSを通じて出会いました。僕のやりたいことに共感してくれて彼女の服を作る約束をしたんです。
フォーマルな場に出る機会が増えたとおっしゃっていたので、このピッチコンテスト用にデザイン性と機能性を兼ね備えたシンプルなシャツを制作することにしました。」
しかし、その道はとても険しいものでした。
「通常洋服を作るには約3ヶ月かかります。今回は大会期間中の1ヶ月間で制作する必要があり、とてもハードスケジュールでした。通常業務のあとに取り掛かり、深夜2~3時に就寝するような生活でしたね。」
さらに完璧な仕上がりを目指した彼は、愛知から高橋さんの住んでいる熊本へ２回も足を運んだそう。
細かい採寸や機能面の改善などを繰り返し、世界に1つだけのシャツを制作していきます。
そして、大会でいい結果を残すには「伝える技術」も必要です。
スライド作成と本番さながらの予行練習を150回以上も行い、移動時間には自分の声を録音した音源を何度も聞いてプレゼンテーションを分析したのだとか。
そうして勝ち得た優勝には、たった一人の女性の悩みを解決しようと必死になった背景がありました。障害のある方が着たいと思う洋服作りの道が、また一つ開けたといえるでしょう。
大賞・オーディエンス賞を受賞！
■やりたいことを舐めてはいけない、一直線で突き進む。
川副さんのお話を聴いて、「やりたいことは誰も教えてくれない」という言葉が印象に残っています。自分で行動して手繰り寄せた先に、やりたいことやチャンスが巡ってくるのだと強く共感しました。
彼は最後に、やりたいことを持つには3つの要素があると伝えてくれました。
「1つ目は圧倒的な行動力、2つ目は一流に会う、3つ目は全てを捨ててでも向き合える覚悟。
本当にやりたいことなら、一直線で突き進む。やりたいことを舐めてはいけない。」
画面越しでも、彼の瞳には強いパワーを感じざるを得ませんでした。
■悩める理学療法士・学生のための「１ヶ月パワーアップチャレンジ」に参加してみよう！
人間、誰しもいきなりやりたいことは見つかりません。
まずアンテナを張って行動してみることから始めてみてはいかがでしょうか？
今後も1ヶ月パワーアップチャレンジのセミナー配信はまだまだ続きます。興味がある情報をぜひチェックしてみましょう。
セミナーはZoomウェビナーで行われ、匿名でも参加できるため気軽な雰囲気です。また、質疑応答はチャット式で「恥ずかしくて質問できない」という方にも安心ですよ。
「1ヶ月パワーアップチャレンジ」に興味がある方はこちらのURLをチェックしてみて下さいね！
公式サイト：日本理学療法士連盟青年局
公式LINE：日本理学療法士連盟
この記事は、川副さんのご協力のもと執筆させていただきました。すてきなお話をご提供いただきまして誠にありがとうございます。
川副さんの夢への挑戦をファンのひとりとして楽しみにしております。
川副泰門さんのSNSはこちらから
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