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本屋さんの話ふたつ

ひとつめ

アマゾンで本を買うようになって早20年ほど経ちました。「いやあ、時代は変わった…」と思っていたけど、そういえば思い出しました。わたしが子どものころも、本は書店に買いに行くものではなく、自宅に届けてもらうものだったことを。これはひとえにわたしの実家の近くに書店がなかったからなのですが。

わたしが子どものころは雑誌「小学〇年生」全盛期で、我が家もきょうだい全員が当該学年のものを定期購読してもらっていました。ちなみに、わたしは末っ子なのですが、もちろん上のきょうだいたちの学年の分も読んでました。なので、何年生の何月にはこの特集とこの付録があるという傾向は完全に把握していましたw。でも、じゃあ一冊買って読みまわせば? ってならなかったのが80年代、90年代なんですよね。人々が、今月出た「自分向け」の雑誌を買うということが本当に当たり前だった時代でした。雑誌そのものの全盛期ですね。

父は仕事の業界誌、母は「きょうの料理」と「婦人百科(※1)」を買っていました。祖父母もなにかを購読していたと思います。発売日になると本屋さんがそれらをまとめて届けに来てくれました。帰宅して雑誌が届いていた日はうれしかったです。今思うと全部微妙に発売日が違うはずだけど、一番遅いものに合わせてまとめて持ってきてくれたのかな。この習慣は一番上の兄の小学校入学から高校卒業まで続きました。

(※1 現在の「おしゃれ工房」の先代コンテンツです。洋裁・手芸がメインで、そのほかに、お花のいけ方とかテーブルセッティングとか冠婚葬祭マナーとか「婦人」が興味ある内容がまとまってました。)

このほかに、何か読みたい本ができると電話で注文し、配達してもらっていました。ほとんどの場合急ぐことはなかったので、次回の雑誌配達日に一緒に持ってきてもらうって感じでした。最大1カ月近く待つってことになるのに、のどかな話ですねw もちろん、たまにはまちのちょっと大きな書店へ行って買い物をすることもありました。

なぜ今この話を思い出したのかというと、つい最近この本屋さんのことが家族で話題に上ったからです。きっかけは、母が外出したときにある方に話しかけられたことです。話しかけてくれたのがまさにその本屋さんでした。定期購読を止めて約30年は経っているうえに、その間、一度もどこかでお会いしたことはなかったのに、顔と名前を覚えていてくれて、話しかけてくれたんだそうです。しかも、子どもがいたことも覚えていてくれて「みんな元気でやってますか」と聞いてくれたとのことです。

母はとてもうれしそうに話しました。やはり、わたしの親の年齢になると、同世代の知り合いが元気でいることを知るとそれだけで心の底からうれしいようです。それにきっと、むかしの知り合いに会うと一瞬でその時代に気持ちが戻るんだろうと思います。まだわたしたちきょうだいがチビで、父も母も若かった時代を思い出したんでしょうね。

ふたつめ

わたしも高校生になってからは自分で書店に行くようになりました。当時、通学路に何軒か書店はありましたが、一番多く利用した書店がありました。そして、このコロナ禍でその書店が閉店していたことを知りました。

この書店について、最近、母から初めて聞く話がありました。

母が結婚するまで勤めていた職場の同僚で、書店を開きたいからといって退職した方がいたそうです。その方というのが、わたしが高校生のころよく行っていたこの書店のご主人だったのです。

母も特別親しかったわけではなかったようですし、今までこの話をしたことはなかったです。が、ひとつめの本屋さんの話が話題になったときに、この話も初めてしてくれました。

周囲からは猛反対されていたそうです。母も「今から書店を開くなんて、それで食べていけるのかなあ」と思ったとのことでした。でも、わたしの覚えている限り、全盛期には駅ビルやスーパーのテナントとして店舗がいくつかあったので成功されたのだと思います。


以上、本屋さんのお話でした。

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