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私がUXリサーチの本を書く理由

いまUXリサーチの実践本を同僚と執筆しています。きっかけはこのツイートで、有り難いことにいくつかの出版社の方からDMをいただき実際に本を書くに至りました。

UXリサーチの本を書きたいな〜というのはずっとぼんやりと思っていて、それには2つのモチベーションがありました。

自分たちの経験から知識を創造したい

まず1つ目。私がメルペイにUXリサーチャーとして転職するきっかけに、CIIDのサマースクールに参加してまだ誰もやったことがない領域で理論の実践にチャレンジすること、そしてそこから得られる新しい学びや知見にこそ価値があると考えるようになったことがありました。(詳しくは退職エントリーに書いています)

実際に転職して2年経ちますが、大激戦のFintech領域で次々に新規事業を立ち上げる中、スタートアップにしては珍しいUXリサーチ専門職として、今ここにいるからこそ積めた経験が本当に多くありました。世の中には先人のおかげでサービスデザインやUXデザイン、UXリサーチなどのフレームワークやナレッジ、研究などの知識は沢山ありますが、これまで実践してみて役立ったもの、そのままではうまくいかず自分たちの文脈に合わせてアップデートして取り入れたものなど様々です。また、私はずっとインハウスでやってきたので、経験した事業領域や使うスキルが偏っていてリサーチャーとしては未熟だなと思うことが多々あります。ただ、インハウスでずっとやってきたからこそ、事業の立ち上げからグロースまでの長い時間軸で、そして背景にある事業戦略や組織課題など深いところまで見えることもあると思っています。そういった自分たちの経験から生まれた知識を創造し、世の中に発信してみたい、というのが大きなモチベーションです。

UXリサーチ初学者のメンターになりたい

2つ目。一時期採用目的で外部イベントに積極的に露出をしていたのと、UXリサーチに関するnoteをいくつか書いているのがきっかけでUXリサーチについていろんな方から相談をいただく機会が増えました。特にスタートアップ界隈では、UXリサーチの必要性を感じていながらも周りの協力が得られなかったり、見様見真似でやっているもののこれが正しいのかわからないし相談できる人がいない…と孤軍奮闘している方が多いことに気づいたのです。私自身振り返ってみると、前職でリサーチをやりたいと思ってからマーケティングリサーチチームに兼務をつけてもらい調査会社出身の先輩にビシバシ指導していただく機会がありました。今も同僚に相談したりフィードバックをもらったりできていて、周りにリサーチャーがいる環境というのは当たり前ではなく非常に恵まれていたのだと思います。そこで、UXリサーチ初学者に何か還元できないか?と考えた時に、彼らにとってメンターのような本にしたいなと思うようになりました。現場で困った時に立ち返り指針を得られるようななるべく実用的な本にしたく、まだ構想段階ですが単に本を出して終わりではなく、本をコミュニケーションツールとして勉強会やイベントなどもできたらいいなと考えています。

UXリサーチ実践者をリサーチするMeta UXR Project

実際に執筆を始めるにあたり、同僚にも一緒に書いてもらえないかお誘いし快諾いただきました。二人でなぜ本を書くのか?どういう本にしたいか?などブレストをしている中で、リサーチャーらしくUXリサーチ実践者をリサーチしながら書いていきたい!という話になり、執筆と共にMeta UXR Projectという活動をはじめました。ちょっとややこしいのですが、UXリサーチャー自身がメタ的にUXリサーチ活動をリサーチする、ということでこのように名付けています。これまで以下のような課題探索・仮説検証の活動をしながら執筆を進めてきました。

課題探索としてのUX BIG BANG

もともと採用目的で開催していたUX BIG BANGというイベントを、引き続きコミュニティ活動としてゆるやかに継続しています。6月に実施した回では「UXリサーチことはじめ」というテーマで、UXリサーチ初学者の皆さんとこれまでの実践でつまづいたこと・困ったこと・UXリサーチに立ちはだかる壁などを共有し解決策を考えるワークショップを行いました。ここで得たUXリサーチ初学者の悩みを分析し、本の構成にも活かしています。

仮説検証としてのMeta UXR channel

本の構成が大まかにできたところで、各章で書きたい内容をディスカッションする編集会議をstand.fmで公開し始めました。いずれも台本なく一本撮りしており、後から音声を聞いて文字起こしし実際に本の内容にも反映しています。あえて本の編集会議を公開しているのは、プロトタイプの検証のごとくフィードバックをもらえたらと思っているからです。stand.fmにはレター機能があり、匿名で質問や感想をもらうことができて参考になっています。本の全体像については一通り収録し終えたのですが、引き続きフリートークをゆるやかに更新しているのでぜひお聴きください。

仮説検証としての編集会議

このMeta UXR Projectに関心を持ってくださった方を中心に、slackのコミュニティにお誘いして1-2ヶ月に1回程度、編集会議を企画しています。編集会議では本の構成や実際の原稿を見ていただき、フィードバックをいただいています。毎回入れ替わり立ち替わり色んな方に参加していただいていて、自分たちにはなかった視点に気付かされて本当に感謝でいっぱいです。協力していただいた皆さんにささやかなお礼として、編集会議の最後にUXリサーチ相談コーナーを設けていて、皆さんの現場でのお困りごとをお聞きしているのですがそれ自体も本の参考になってます。

本の共創へ参加しませんか?

最後に、このMeta UXR Projectへのお誘いです。現時点でおおよそ全体を書き終えたものの、まだまだ細かい修正や図の作成など執筆は続きます。今後も編集会議を行って本の一部分や、全体通読をしてフィードバックをくださる方を募集する予定です。このMeta UXR Projectにご興味を持っていただけた方、stand.fmを通じてレターをいただけるのも嬉しいですし、slackに参加したい方は私のtwitterへDMをいただければご招待させていただきます。(所属やUXリサーチへの関わり方も書き添えていただけると有り難いです)

出版自体も楽しみにしていただければと思います!

大学院で使う本を購入させていただきます!