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料理が「義務」じゃなくなった話

――今日は、こんなお話を。

入院していました


健康診断で肝臓の数値が高く
クリニックでエコーを撮るも原因不明で、
大病院を紹介されたのは4~5年前。

お酒も薬も飲まない私は
肝臓を悪くするような要素も特に見当たらず、
CTでも検査入院でも診断がつかない。

対症療法的に薬を服用してみると、
徐々に改善が見られたので
3年近く経過観察を続けていたのですが…
昨年末突如指摘されたのが、腫瘍。

「(多分)良性だとは思うけれど、
 少しずつ大きくなっているみたいだから、
  念のため切った方がいいかも」。
(今回の話の趣旨とはずれるので詳細は省きます)

え、初耳。

けれど、
不安を不安のままおいておくことができない私。

だったら子どもの春休みをターゲットに…と
その場で時期含めて即決して、3月末に手術。
TOTAL10日間ほど入院していました。

全身麻酔13時間の手術


手術は腹腔鏡下でしたが、
直前に難易度高い場所にもう1つ腫瘍が見つかり、
「2か所で6~8時間」という見立て。
が、ふたを開けてみたら、
動脈からの出血などもあったため
オペ室に入室~麻酔から覚醒するまで
13時間近くを擁することに。

「腹腔鏡は痛みも回復も早くて
 なのに長めに入院できるなんて、
 一人時間たっぷりじゃん♡」
と、なかばワーケーション感覚で
POPに準備していた時期もありましたが……
甘い!甘いぞ自分!!

傷口の痛みはもちろんのこと、
長時間の手術に体力をごっそり持っていかれて、
あちこちに不調が出る。
(声がガラガラとか、
 嚥下障害っぽくむせまくるとか、
 頭痛とか頭痛とか頭痛とか。 
 眠剤の 副作用と思しき
 ムズムズ脚症候群(手も)に襲われ
 気晴らしにスマホすら握ってられない状況とか)

術後2日目に
note主催のウェビナーの予約をしていたことからも
どれだけ私が楽観視していたかがお判りでしょう。
結果、体に5本の管突っ込みながら
ベッドから聴講しましたが、
「ううう、なんだかつらみ…」と
熱を測ってみたら、37.8度。
そりゃそうだ。

病院食に思う


そんななか、唯一?の楽しみと言えば食事ですが…
まぁ病院食ですからね、
「おいしぃ~!!」というわけにはいかない。

さらに私は術後1週間、
肝臓の栄養ドリンク「ヘパンED」を
1日600ml摂取するのが最優先。

飲むごとにツイートして、モチベーション保ってましたけど。
(いや、正直4日目くらいで一度心折れた)

栄養ドリンクというだけあって、
これだけで1日およそ600kcal。
さらに膨満感的なものにも襲われるので(私の場合)、
ハーフ食をさらに残して
お腹の余白を調整するなどもしており、
食事を純粋に楽しめなかった。

むしろ「食事のあとはヘパン飲まなきゃ…」と、
飲むのも食べるのも憂鬱になった時期もありました。

でもね、
そんな中でもすごくいろんなことを感じたんです。

軟飯から通常食に切り替わった時の焼そばが、
人生一のおいしさだったこと。

梅やドレッシングの酸味が
涙がでるほど食に刺激をあたえてくれること。

許可された間食がすさまじく明るい希望となり
ヘパンさえも前向きモードにしてくれること。

薄味生活の合間に口にする一粒のクッキーが
じんわり身体にしみわたったこと。

自分の口で食べると、少しずつパワーが湧いてくること。

食べるって、こういうことだったんだ!


――以前、こんなインタビューをしたことがあります。

ご自身の病気をきっかけに、
40代から大学に入り直して栄養学を学んだ茂木さん。

このお話、とても感銘を受け心震えたのですが…
いま考えると、頭でしか理解していなかった。

今回の入院でこのインタビューが蘇り、
自然に「わかってしまった」んですよね。

自分が口にしたものが染みわたる。
食べることは喜びである。
この一口が、命になるんだ!

「小さな祈り」を込める日々


もともと料理嫌いではなかったけれど、
それでも毎日となると、
やはり義務感は生まれるもの。

マックも大好きだし、
隙があるなら家事さぼりたい。

――けれど、今回の入院を経て
料理は「義務」から
「小さな祈り」の時間
になりました。

病院食で
野菜の調理のバリエーションや
素材の使い方に触れられたこともよかった。
手間をかけた一品!というより
ほんのちょっとの下ごしらえレベルでできる
簡単な副菜を少しだけ増やす。

味付けも、これまでは濃すぎたとわかったので、
メリハリつけつつ、
塩だけにたよらない調味にしてみる。

「料理」というより、
「命を作る」感覚でキッチンに立つようになりました。
私と家族の健康と幸せを祈りながら。


生きている――それで十分だし、もうすべて叶ってる。


……と、こんなことを書いて
「みんな!食は大事だよ!ちゃんと料理しようね!!」
と説教したいわけではないし、
やっぱり私はこれからもファストフードは大好きです(断言)。
なんなら1か月後には
「やっぱり料理めんどくさ~い」って言ってるかも。

じゃぁ、今回私がこの記事で何を伝えたかったのか。

私たちはつい「自己実現」とか「達成」とか考えちゃいがちだけど、
それって人生のボーナスポイント的なものに過ぎなくて、
「この体と心が健やかに生きている」ってことが
そもそものすべてであり、
それで十分じゃないのか、って思ったわけです。

みなさんが、今日も素敵な命を紡げますように。
生きていることそのものを、喜べますように。

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