見出し画像

今こそ顧客関係を構築&強化すべき

COVID-19によるパンデミックの中、様々な企業が広告出稿中止、イベント開催中止、新商品の発表延期など、顧客とのコミュニケーションを抑制し希薄になっている。

だが、今だからこそ目先の売り上げを追いかけるパフォーマンスマーケティングや、ファンたちとの直接交流でエンゲージメントを深める事ではなく、生活者たちの心の奥底に響き、感謝され、長期的な関係性を築くための施策を練り、実行すべきではなないだろうか。

もちろん、世界各国の様々な業界で多額の資金の寄付や、自社サプライチェーンを変換して医療関係者へのマスクやガウンの提供、生活者への消毒液の製造などが行われているし、これだけでも自社の売り上げや利益に大きなダメージを受けている時に実行できる企業は本当に素晴らしいと思う。

ただ、更に、困っている人達のサポートを多方面からアイディアを捻って実行しているブランド(企業)がある。

・Gucciは寄付金の提供のみならず、世界中に数百万フォロワーがいるGucciのSNSのアカウントをWHOと共有し、#GucciCommunityというハッシュタグでWHOからの注意喚起やニュースをフォロワー達へ届けている。(参照:Gucci)

日本のニュースでも、先週末の東京と外出自粛について知らなかった若者が多いと流れていたが、ニュースを定期的にウォッチしていないセグメントへは、普段からフォローしているより多くのブランドや企業のアカウントから注意喚起をする事で重要な事を届ける事が出来るし、自分たちの顧客を守る事に繋がる。

画像1

・ラルフローレンは、ラグジュアリーファッションブランドの中で最多の$10million (約12億円)を現在までにWHOなどに寄付しているが、$1million (約1.2億円)は、VOGUE/CFDA(アメリカファッション協議会)財団のA Common Threadというコミュニティーを通して、パンデミックによって影響を受けているファッションデザイナー達への救済処置として使われた。(参照:VOGUE

ファッションブランドが大切にすべきは勿論顧客だが、その顧客を魅了するものを創造するデザイナーと、情報を届けるメディアも大事な企業の顧客。ファッション業界を守り、多くのファッションデザイナーを救済するために、ラルフローレンのCEOは資金を提供した。下手をすれば彼らは自社ブランドの競合かもしれないにも関わらず、他社デザイナー達を助ける事。それは、彼らの短期的な資金繰りのサポートになるだけではなく、今後何らかの形でラルフローレンへ感謝の気持ちを表す事になるだろう。それが、ブランドのコラボレーションかもしれないし、ラルフローレンのデザイナーに喜んで着任する事かもしれない。VOGUE USの有名な編集長アナ・ウィンターは、寄付について直接電話で聞いたときは、感情を抑えきれないくらい感動したという。(参照:VOGUE

画像2

・KFCを展開するYum Brandは、チキンを無償で寄付するだけではなく、CEOは2020年1年間の給与(約1億円)を手放し、代わりに従業員たちへボーナスとして配布する。(参照:CNBC

従業員たちは、ブランド(企業)の最大のファン。CEOが自らを犠牲にして、従業員との関係性をこう言った形で強める事は、さらなるブランドロイヤリティーに繋がるはず。また、チキンをフランチャイズ店に無償で提供することで、それぞれの店舗の従業員が、さらにその先の自らの地域コミュニティーに対して役に立っているという気持ちになり、良いブランド(企業)で働いていると実感し、今後の離職率なども下がる事だろう。

画像3

・AAロードサービスは、英国のNHS(国民保健サービス)機関で働いている全130万人にむけて、無償で車の緊急故障サービスを提供する。AAの会員でなくても、NHSのIDを提示すれば受けられる。(参照:Yahoo news)

医療従事者は、今までにない切迫した日々を毎日余儀なくされている。通勤時のトラブルは、更なるストレスを引き起こしてしまう。そんな時に、この様なサービスを提供してくれる企業に対して、とてつもない感謝の気持ちを持つに違いない。AAの会員であれば、今後も会員を続けて恩返しをしたいと思うだろうし、非会員であればAAの新規会員になろうかと考えるだろう。

画像4

サポートの仕方は寄付だけではない。資金がないブランドも、既に構築されたサービスやネットワークを使って、今少しの犠牲を払っても、本当の意味での長期的な顧客との関係性を築いていくために、実行できる事があると思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?