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思い出を撮るときは片付けないで

All photo by 薄氷

いつも私は言うのだけれど
思い出を撮るときは片づけないで欲しい、とお願いしている。

冒頭の写真なんかも、下のタオルを白いタオルにしてしまえば
それこそ『バエる』写真が簡単に撮れてしまうけれども
あえて私はそうしない。

小さな脇役が、思い出を鮮やかに蘇らせることもあるから。


この写真は5年も前の写真だけれども
散らかった小物たちが、有無を言わさずにあの時の状況を、ずるずると芋づる式に引き出してくる。

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ひっくりかえったおしりふきケースはあのとき24時間私のそばにいて頑張ってくれた。赤いタオルは何度もぐしゃぐしゃの涙を拭いてくれた。
遠巻きに見ている犬の様子から、この時の長男はなんでもつかんでむしるモンスターだったこと、むちむちのほっぺとふとももからは、あの時のこの子の可愛さと愛おしさを狂おしいほどに思い出させてくれる。

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きったないスリッパ(草履だけど)を抱きしめているこの子も、今はもう5歳。しっかりお兄ちゃんをやっている。感慨深い・・・。
そしてタオルぐちゃぐちゃだけど、やっぱりいい思い出。

タオルって、意外と家庭の歴史に残るもので
私が産まれた時に撮った写真にあった、私自身がくるまれていたタオルは、私が成人してもいつまでも実家にあったし
無意識に記憶にもしっかりきざまれている。

お気に入りのあのタオルが無いと寝られない!という子供だったせいか、タオルの柄を見て、あ、あんなタオルもあったな~なんて、あのさわりごこちをふんわりと思い出すこともよくある。

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写真に撮るとき、人は愛を残している。
今この瞬間を忘れないよう、シャッターを切っている。
だからこそ、余計なものと排除せず、そのへんの散らかったものもおさめてほしい。
特に育児している時なんかは、その時使っているものというすべてのものが
わりとめまぐるしく変わったりするので、結構貴重な写真にもなる。

どれだけ辛くて大変だったか、しみじみする思い出も、きっと時が経って振り返れば、自分を抱き締めてあげれるいい思い出になるはずだ。




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