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注目企業、新興上場バルミューダの強みとは?

今回は2003年の設立以来成長を続けている、2020年12月16日にマザーズに上場したバルミューダという新興家電メーカーをみていきたいと思います。

また、バルミューダが新たな製品カテゴリーとなる携帯端末事業への参入を発表し、ソフトバンクが国内の通信事業者として独占で取り扱うことが決定したようです。非常に驚きました。

ちなみにバルミューダのスマートフォンは5Gに対応し、発売は2021年11月以降の予定のようです。

ファブレスというビジネスモデルなどももちろんですが、バルミューダがここまで躍進した最初のきっかけである、TKO木下氏との出会いも非常に興味深かったです。

ビジネス的な観点以外でも面白いないようになっているかと思いますので、是非最後までご覧ください。では早速いきましょう!

|バルミューダとは

バルミューダは、2003年に元々バンドマンだった寺尾玄(てらお げん)氏が設立した会社である。社長である寺尾氏の考え方や創業までの経緯が非常に変わっているため、ここでは会社の概要と寺尾氏が会社を立ち上げてからの内容に分けてお伝えしたい。

|会社概要

2003年に当時は有限会社バルミューダデザインという社名で設立。後の2011年4月、バルミューダ株式会社へ社名変更。2020年12月期予想で売上約123億、営業利益約12億、社員数119名。

家電製品などの企画、開発、デザイン等は内製化し、製造は国内外のメーカーに外注するといういわゆるファブレスメーカーとして、主に高価格帯の製品を販売している。

製品分野としては、キッチン商品、空調商品で全売上の約9割を構成。販売チャネルとしては、家電量販店、百貨店、自社のオンラインショップ、海外代理店など幅広く、その中でも家電量販店での売上は約25%を占めている。

|ストーリーズ

寺尾氏は17歳の当時、学校で配られた進路アンケートの用紙にあった「将来の職業」の記載枠に対して、17歳の今将来を決めるということは自分が最も大切にしている「可能性」に対する侮辱になるのではないか、という嫌悪感を抱き、高校を中退。

その後、スペイン、イタリア、モロッコなど、海外を放浪し帰国後、バンド活動を開始し大手レーベルと契約するなど活動専念したが、2001年に解散。そこからモノ作りの道を志し、春日井製作所という町工場に飛び込み、そこで教えを請いながら独学で設計・製造を学んだ。

その後2009年時は、売上高4500万円で1400万円の赤字、3000万円もの借金を抱え倒産寸前だったが、最後に密かに練っていた「The GreenFan」という扇風機で起死回生のロングセラーヒットを生み出した。

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その背景には、当時家電芸人として人気だったお笑いコンビTKOの木本武宏氏の存在があった。

当時寺尾氏はこれまでの普通のやり方では絶対にダメだと思い、木本氏が所属する松竹芸能の事務所に向かい熱烈なプレゼンを行った。

そのプレゼンを受け木本氏はその製品に感動し、是非テレビ番組でプレゼンさせてくれないか、と申し出、その流れで実際にテレビで放映され、放映があった次の日は会社の電話が鳴り止まないほど商談依頼が殺到した。

|商品イメージ

バルミューダと聞いて、企業ではなく、オーブンレンジやケトルなどの生活家電製品を思い浮かべられた方も多いのではないでしょうか。

先程の「The GreenFan」にも多くのヒット商品を世に送り出しています。

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決して安い価格ではないと思いますが、デザイン、機能も非常に洗練されている感じで、パナソニック、日立、三菱電機などの大手の家電とは全く異なる印象ですよね。

近年、モノが売れない時代と言われて久しく、ましてや家電などは更に売れなくなっているというのは大手家電メーカーの業績からも見てわかる通りです。

ただ、バルミューダに関しては、2003年の設立以来右肩上がりに成長を続けており、上場も果たしたことで今後も更なる成長が期待できる新興家電メーカーです。

|直近の業績

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同社の業績は、2019年12月期は売上高約108億(前期比−3.1%)、営業利益約10.7億(前期比−35.4%)であり、今期2020年12月期はまだ予想段階ではあるが、売上高約123億(前期比+13.7%)、営業利益約12.7億(前期比+18.9%)の成長で堅調に推移している。

また、同社の営業利益率はおおよそ10%程度で推移しており、これは同業のメーカーと比べても非常に高い数値であり、冒頭に挙げたパナソニックや日立、シャープなど国内主要家電メーカーの営業利益率は5%前後であるので、それらと比べても約2倍の水準であることが分かる。同業同規模のツインバード工業と比べると約10倍もの差がある。

この要因については後ほど詳しくお伝えできればと考えているが、まず大きな要因として考えられるのが同社のファブレス経営というスタイルであり、高価格帯の商品群である。

バルミューダに関して、今期の業績とコロナウイルスとの関連については、同社の見解では巣ごもり需要というプラス面での影響を受け、特にキッチン系の製品が好調で売上高は堅調に推移したとしている。

これについては、確かに同社が扱う製品は家で使用するものがほとんどであり、今年は例年以上に家で過ごす機会が多くあったため、自宅内の環境を快適にし、より良い生活を送りたいというニーズはかなりあったと考えられる。

|ファブレス経営

2020年12月期予想で売上約123億、営業利益約12億、社員数119名。家電製品などの企画、開発、デザイン等は自社で内製化し、製造工程は国内外の工場に外注するといういわゆるファブレスメーカー

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ご覧のように、大手家電メーカーを差し置いて、バルミューダの利益率は10%程度とほぼ倍の数値です。ちなみに、近しい位置にいるヤーマンも美容家電のファブレスメーカーであり、同様の収益力を誇っている。

実はこのようなファブレス形態で経営をしている会社は他にも複数企業あり、よく知られている企業が実はファブレスメーカーであるということも多くある。

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