夏目漱石の妻は朝寝坊で占い好きな「悪妻」だった?
「悪妻」という言葉を聞いて、どんなイメージを持ちますか?
世界には「三大悪妻」として名高い女性たちがいます。
その中のひとり、哲学者ソクラテスの妻クサンティッペは、「人前で夫を罵倒し頭から水を浴びせたり、現在過去未来、これほど耐え難い女はいないだろう」とまで言われています。
そして日本にも、そんなクサンティッペと並ぶほどの悪妻だと言われている女性がいます。
夏目鏡子。誰もが知っている文豪、夏目漱石の奥さんです。
私が鏡子さんのことを知ったのは、早稲田にある漱石山房記念館に置かれていた『漱石の妻』という小説がきっかけでした。(とても面白い物語です)
朝寝坊で占い好き、料理が下手で浪費家……とひどい評判を立てられている鏡子さん。確かにちょっと(かなり?)マイペースというか、明治時代の良妻賢母の基準とは違う人だったのだろうなあと思うのですが、この本を読んでいると、「悪妻」というエキセントリックな表現が本当に当てはまるのかどうか、考え込んでしまいます。
漱石に対しては一般的に、猫好きで穏やかな紳士というイメージを持つ人が多いと思います。実際、本来はその通りの人格だったのですが、イギリス留学中に神経症を患い、帰国後は頻繁に癇癪の発作を起こして、家の中で暴れていたようなのです。
鏡子さんの言葉を書き留めた『漱石の思い出』という本には、貧乏時代をけんめいに乗り越えたり、瀕死の夫を献身的に支えたり、「鏡子さん、大変だったね」と言いたくなるようなエピソードが次々と登場します。
それなのになぜ、鏡子さんは「悪妻」と呼ばれるようになってしまったのか。
一説には、漱石の書斎に集い、漱石に対して恋愛感情にも似た憧れと尊敬を抱いていた弟子たちの、鏡子に対する複雑な心境が絡んでいるようです。
詳しく説明すると長くなるので、和樂Webさんで記事を書きました。無料で最後まで読めますので、漱石と鏡子の人生に興味を持った方は、読んでいただけると嬉しいです。
どんな夫婦にも、2人にしかわからない物語があるものですよね。
さばさばして、大ざっぱで、でも愛情深く、何があっても漱石の側を離れなかった鏡子さん。
もし、同じ時代に生きていたら、ゆっくり話を聞いてみたかったなあと思うのです。
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