私たちがかけている色眼鏡:ダイバーシティを生かす秘訣
最近、「ダイバーシティ」「多様性」の文字を新聞やインターネットで見ない日がないほど、トレンディーワードになっている感があります。
女性比率向上やLGBTの方の権利向上など、それ自体も大切ですが、
企業が多様性を推進すべき理由は、多様な価値観が集まったグループの方がイノベーションが起きやすいからです。
でも多様な人材が集まっただけでその異なる価値が社内で評価されなければ
違いが生かされることはありません。
ダイバーシティの真の価値が、多様な属性の話にすり替わってしまうのは
組織で仕事をするリーダーにとって、もったいないこと。
一見見えにくい違いの中にも、イノベーションにつながる宝物が隠れています。
多様な価値観がある状態って実のところ面倒なことも多いです、笑。
私はインド、エジプト、ドバイ、フランスと異文化の中で働いてきましたが、
自分の当たり前が
相手の当たり前でない
という厳然たる事実にイラっとくることも多い。
でもイラとしても仕方ないのです。かけている色眼鏡がそれぞれ違うので。
私がかけているメガネは
青色のレンズ
相手がかけているメガネは
ピンク色のレンズ
同じ白いボールを見て
「青だ!」
「ピンクだ!」
「いや、ピンクなわけない、青だ!」
と言い合ったところで、どちらが正しいという話でもない。
そして都合の悪いことに、私たちは全員、自分のかけているメガネに気が付かず、簡単には外せません。
そんな違いに遭遇したとき、役に立つ考え方を一つご紹介します。
SARAと呼ばれる認知心理学のモデルです。
S : Shock
自分と異なる価値観に遭遇したとき、最初に生じる反応はショック。
「なんでこんな行動をとるの?!」
「なんでこんなことが起こるの?!」
予想外のことが起こると、まずは驚きます。
A : Anger
続いて怒り。
予想外の出来事や、相手の言動に驚いた後、怒りが湧いてきます。
「こんな行動をとるなんて非常識だ!」
R : Resistance
続いて抵抗。
「自分が正しいはず」と変化や異なる価値観を受け入れることを拒みます。
最後に
A : Acceptance
違いや変化を受け入れる。
最後の「受容」のプロセスに至る秘訣は、3つ。
1つ目は、好奇心を持つこと。
相手はなぜ、ある言動を取るのだろう?
言動の背景には何があるのだろう?
今どんな気持ちなのだろう?
ジャッジする前に
相手に興味を持ってみる。
理解しようとしてみる。
そして2つ目は、強みにフォーカス。
最初のうちは、相手の悪いところが見えてしまいます。
それを反転させて「逆に、その良い点は?」と考え直してみる。
最後に3つ目は、学びを見つける。
「この違いから学べることは?」
「互いの強みを掛け合わせると?」
「弱みをどう補完できる?」
自分を押し殺すわけでもなく
相手を否定するわけでもない
第三の道。
違いから学び、違いを活かす道。
ダイバーシティが真価を発揮するのは
”インクルージョン”が実現するとき。
つまり、異なる価値観を持つ人材が
組織の中で否定されずに受容されるとき。
そうして初めて、違いから価値が生まれる。
簡単じゃないけど、リーダーが目指すべきダイバーシティはこれ。
と、私は信じています。
読んでくださってありがとうございました。
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