新天地で、自分を真反対にした
私は、暖色がずっと好き。
ジャイアンツカラーのオレンジはもちろん、持ち物は赤色を中心に暖色ばかり。
ヘアカラーに関してもそれは一貫して、赤寄りのブラウンに染め続けていた。
しかも、高校を卒業してすぐはじめて髪の毛を染めた日からずっと。
もちろん気分転換でオレンジやピンクにしてみることはあるけれど、「暖色である」というところからは1回もぶれず。
そこまで一貫していると、赤色のヘアカラーがアイデンティティになりつつあった。
引越して、ずっと通っていた美容室に行けなくなった。
実家にいた頃から通っていて、一人暮らしをしてからも行けない距離ではなかったのでそこへ足を運んでいた。
私の髪質や好みを理解してくれている馴染みの美容師さんがいて、ふわっとしたニュアンスを伝えればいつも私の好みになっていた、居心地の良い場所だった。
でも、さすがにこの距離では行くことはできない。
限界まで我慢したけれどいよいよヘアカラーがしたくなって、どきどきしながらお洒落なヘアサロンを予約した。
また赤系かなあ、と並べてくれた大量のヘアカラーサンプルをぼんやり眺めていて、ふと目についた色。
「ブルーアッシュ」
一貫して続けていた暖色とは正反対の色。
でもなぜか惹かれて、どきどきするけれど、冒険したい気持ちになった。
1時間半後、鏡の前の自分は真反対になっていた。
透け感たっぷりのアッシュ。
ずっと赤く染めていたのが嘘のような。
ここまで変わると、メイクや服装も変えてみようかななんて、心が躍る。
それに、気持ちまで新しくなり、新天地に馴染めるような、そんな気がした。
イメージチェンジってどきどきするけど、それ以上に自分に勇気を与えてくれる。
久しぶりに大きく外見を変えてこの感覚を味わい、美容の仕事をする身として、自分の仕事がもっと好きになった。
新天地で真反対になって、この気持ちの高揚を、私もいろんなお客様に伝えていけたらいいなと思った日でした。