上海 夏の思い出の味 #日々雑記
日本と同じく海が近い上海の夏はとにかく蒸し暑い。
上海で語学留学をしていた夏のある日、うだるような暑さから救いを求めて売店のアイスが入った冷凍庫を開けた。
中はなにやら緑色のパッケージがぎっしり。
これは一体…
手に取ると、それはパッケージに緑色の豆の写真がプリントされたアイスキャンディーだった。豆のつぶつぶが何だか気味が悪い。
見慣れない緑色のアイスを異様に感じ、思わず立ちすくむ。
そんな私の横で、中国人の女の子がそのアイスを買い、その場ですぐに袋をあけて美味しそうに食べだした。その後も男女問わず次々とそのアイスを買っては、少しも待ちきれないといった感じですぐにその場で食べ始める。
しばらくその様子を眺めていたが、そんなに美味しいならば試さないわけにいかないと、ついに怖いもの見たさで買ってみた。
一口かじってまた驚いた。
こ、これは、あずきバーではないか!!
そう、それは日本でお馴染みのあずきバーにとてもよく似たアイスキャンディだったのである。
しかも、あずきバーより濃厚なのにあっさりしていて、むしろこちらのほうがおいしい。
その夏はすっかり緑豆バーにハマってしまった。
ご飯を食べに行った帰りに緑豆バー、散歩の途中にも緑豆バー。
外でアイスの冷蔵庫を見かけると、ふらふらと吸い寄せられるように近づいてしまう。食べると冷たくて体がスッとして気持ちいい。
夏の間どれだけ食べたか知れない。
面白いことに、地方に行くと、別のパッケージの緑豆バーが冷蔵庫にこれまたぎっしり。どうやら、いろんなメーカーが緑豆バーを出しているようだった。それぞれ味に違いがあり、食べ比べも楽しみの一つになった。
そのうち、お気に入りの緑豆バーもできて、それが置いていないときはガッカリするようにまでなった。
上海でよく売られていて私のお気に入りだったのは、「緑色心情」(緑色の気持ち)だったような気がする。緑の豆のつぶつぶが描かれたパッケージに似合わず、そのかかわいいネーミングに愛着すら感じる。
バニラアイスにパリパリチョコがマーブル模様状についたアイスも好きだったが、地方に行ってもどこに行っても必ずあった安定の緑豆バーは思い出深い。
今ではアイスの種類も増えて、お店の冷蔵庫で緑豆バーが占める割合は減り、すっかり存在感が薄れてしまったが、中国の定番アイスとしてなくなることはないだろう。
命の危険すら感じるほど暑かった今年の日本の夏、なんだかやたらとあの緑色をしたアイスキャンデーを懐かしく感じた。
※薬膳を学んだ今では、この頃のようにアイスをバクバク食べることはしませんけどね♪ その理由は、またどこかで書こうと思います。
※1枚目の写真はあずきバーです。現在は日本在住で緑豆バーが売ってないのでイメージ。
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