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私はカスタマーサクセスですだなんて言えない

と、ずっと悩んでいました。


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こんにちは。freee Success Advent Calendar 2022、15日目を担当します。freeeカスタマーサクセス、セルフサクセスチームに所属しているmihoiです。

私はカスタマーサクセスじゃない

ずっとずっと私が悩んでいたこと。社内の人と話しても、社外の人と話しても、名刺はカスタマーサクセスなのに全然カスタマーサクセスじゃない気がする。意味分かんないなと思っていた自分。

正直そう思うのもおかしくないと思います。だって、いわゆるカスタマーサクセスの主要KPIと呼ばれるChurn rateとかNPSとか追ってないし、オンボーディングもいまはしていない。だけどずっと所属だけはカスタマーサクセス。一般的なカスタマーサクセスの期待値で来られると、期待に応えられないもどかしさ。

じゃあ何をしているの?

といいますと、freee会計のコア機能である外部連携サービス機能のUX改善のプロジェクトオーナーをしています。プロダクトデザイナー1名とエンジニア4名とのガッツリチーム開発です。

外部連携サービス機能は、その名の通りfreee側のプロダクトだけで完結するお話ではないので、ユーザーさんからすると機能を利用する上で様々なつまづきが発生してしまうことがあります。そしてその場合は、大半がユーザーさんに"操作してもらう"という協力を得ることが必要です。

そもそもつまづきを根っこからなくす観点はもちろんのこと、できれば出会いたくないつまづきにユーザーさんが図らずも出会ってしまったとき、

「ちょっとやってみよう」
「なんかできそうな気がする」

立ち向かう事象自体がポジティブではないからこそ、こんな感情とともに向き合っていただくことができたら、よりスムーズに機能を利用していただけるはず。

そんな思いや視点をチーム一丸となって持ち、日々UX改善の施策に取り組んでいます。

定量的には、「プロダクトコミュニケーションが適切にできていれば、"問い合わせる"という不要な工数をユーザーさんが割かなくて良くなる」という観点から、問い合わせ数の削減をKPIに用いています。

施策に深みをもたらす全員野球

今あるUXを改善したいのなら、今あるUXの課題を明らかにすることはマストです。その課題を明らかにするためにどうしているのか?

答えは簡単、愚直にひたすらユーザーさんからサポートに届いているお問い合わせを目視でめちゃくちゃ見ます。それはもう本当にとにかく見ます。

正直、すべてテキストで入ってくるので文字数に圧巻されるので心が折れそうになるときがあります。ただ、それ以上に"問い合わせをする"という労力のかかることをしてまで解決しようとしてくださっているユーザーさんのことを考えると、んなこと言ってられません。見ます。分析します。

他には、ユーザー対応のプロであるサポートチームと個別に1on1をし、インサイトを得るなんてこともあります。

ここで課題を言語化し、それに対する打ち手を考えます。私のチームの場合は、このタイミングでがっつりプロダクトデザイナーに入っていただきます。プロダクトデザイナーはUXの検討と、課題を解決するためのUIを考えるプロです。めちゃくちゃ議論します。

打ち手に具体性が見えてきたら、次は実現可能性はいかがなものか?を検討しなければいけません。ただ残念ながら私もプロダクトデザイナーも開発はできないので、自分たちで判断できません。

ここで我らがエンジニアの登場です。課題と打ち手を共有したら、エンジニア的観点でどんどん打ち手をブラッシュアップしていきます。
ここで別の課題が見えるときもあるし、考えていた打ち手がエンジニアの提案により、根っこからコードで解消できてしまうこともあります。なんて素晴らしいシナジー。

こういったことをひたすら繰り返します。UXに妥協しない姿勢がチームでそろっているので、とある施策では議論の末2日間で3回方針が変わったこともあります。

ここまでくると打ち手がほぼ確定となり、具体のUIが出来上がってきたり開発要件に沿ってエンジニアに調査/実装に着手していただきます。つまづきをなくしたりつまづきにくくするという目的、いわゆるMVPは、この時点でだいたい満たしています。

施策には、エッセンスを

ただここであえて、デザインフィロソフィに則っているかを立ち止まって考えます。

「実はこのエラーって、エラーではなくて定期的に必要な"作業"だから、エラー感はなくしたいよね」

「これは正直待つ、が行動として正しいけど伝えられてないね。待つ、を解決策として記載した上で、イラストでゆったり感を出してみる?」

だいたいこのあたりで出来上がってきているUIやUXは、こんな会話を上流からすでにしているので、自然とデザインフィロソフィのどれかに当てはまっていることが多いです。が、きちんと言語化します。

なくてもいいけど、あったらいい

そういったところに、ちょっといいUXが生まれるはず。冒頭に記載した通り、私たちが取り組む領域は"事象がポジティブじゃない"からこそ、きちんと向き合いたい。無駄だと言われたとしても、ちゃんと考えたい。

そういったUXの積み重ねが、freee会計というプロダクト全体を利用する上でのユーザーさんのサクセスに繋がると、私は思います。


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やっぱり私はカスタマーサクセスだ

カスタマーサクセスとは〇〇です、という絶対的な定義があるのならば、私はやっぱりカスタマーサクセスではないかもしれないです。

しかし、自身が取り組む領域からfreee会計のUXを起点としたサクセスを生み出したいと考えている時点で立派なカスタマーサクセスだと、最近は思います。

先日Spectrum Tokyo Design Fest Day1に参加し「どこからどこまでUXデザイン?」というセッションを拝見したのですが、この考えに基づくと私はUXデザイナーなのかもしれません。はたまた、立ち振舞的にはPMなのかもしれない。

結局は所属や肩書は関係ない。ユーザーさんの体験 = UXをいちばんに考えている、ユーザーさんのサクセスを自分なりに定義してそのサクセスを実現するために奔走している、ユーザーさんの声に耳を傾ける、ユーザーさんの話を聞く。

こういったことをしていれば、誰しもが立派なカスタマーサクセスなはずです。

今あるものを、日々を、ちょっと良く、ちょっとおもしろく

これは私が仕事を通して実現したい価値観です。今はこれが、業務を通して経験できています。

この思いは変わらないので、フィールドがfreeeであれどそうでなくても、しっかりと価値を使ってくださる人々に届くように、"カスタマーサクセス"を続けていきます。


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ここまで読んでくださりありがとうございました。freeeでは、一緒に働く仲間を募集しています。

私みたいなちょっと変わったカスタマーサクセスもいます。ぜひ、いろいろお話したいです。

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