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【秋田】曲げわっぱ・おひつができるまで

三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。

2023年3月2日から大館(秋田)の曲げわっぱ職人さん「栗久」の、栗盛さんと実演販売会を行いました。

使ってみたい方は多い道具ですが、選び方やメンテナンスが分かりにくいイメージもあると思います。
曲げわっぱ(木のお弁当箱)の選び方はコチラ
洗い方やメンテナンスはコチラ
と、noteにまとめています。

ここでは、私が大館に行ったときのことをnoteにまとめておこうと思います。


曲げわっぱ

「木のお弁当箱」と言う方もいらっしゃいます。
一般的に、ご飯が美味しく・ご飯が傷みにくいという特徴のある曲げわっぱ。
どのようにつくられているかを見に、実際に工場まで伺ってみました。

【材料】

実は、良質な木材の確保が非常に困難な状況になっており、特に樹齢の長い木は当たり前には採れなくなってきています。

①曲げわっぱの材料

材料はもちろん「木」。
栗久さんは、樹齢200年前後の秋田杉を使うことが多く
・木肌が白く
・年輪が非常に詰まっている

ことが特徴的です。

樹齢200年前後の材料は本当に貴重。一気に消費することは絶対にできないものです。

世の中には多くの商品が出回っていますが、価格の差は、材料造りの差が大きく影響していることがあります。

②材料を整えていく

以前は「木を切りそろえたり、厚みを整えたり、表面に加工をする」という専門業者さんも多かったのですが、現在は非常に少なくなっています。

そこで、栗久さんは自社で材料のカットができるようになっております。
木製品は素材が勝負なので、大切な工程になります。

また、同じ丸太から切り取っても、切り取った部分が違えば製品化する際は必ず個体差が生じるのが木製品の面白いところ。
手作業が続きますが、この個体差を感じながら作業を進める必要があるそうです。

【加工】

③曲げる

私が伺ったタイミングでは、お弁当箱の曲げはしていませんでしたが、違う製品を曲げている現場に立ち会うことが出来ました。

左にある窯で、木を煮立てて、柔らかくなったところで、曲げて、クリップで止める。
そんな仕事をしている様子です。

スギはアクが強く、この工程の前にアク抜きをしています。

④底面を用意する

楕円に切り抜くのが意外と難しく、栗久さんでも時間のかかっていた工程の1つです。
近年は道具化・一部機械の導入に伴い、生産効率が上がりました。

この道具化・一部機械の導入について、伝統工芸士さんの”作品”であれば、いくら値段がかかっても良いかもしれません。
しかし”家庭用品”として品質を保ち、購入可能な金額で商品をつくるというニーズのために、時代に即した進化は必要だと感じました。

⑤くっつける

●お弁当箱の側面の糊しろ部分
●側面と底面の接着部分
に糊を塗ります。

現在の生活スタイルに合わせて、各社商品強度をあげ、現代社会でも使いやすい商品を提案していく必要があります。

⑥固める

型にはめて、乾燥専用の機械を用いて、完全に固めていきます。

そして、、お弁当箱の半分が出来上がりました・・!
(これで、半分ができあがった状態なので、お弁当箱1つの場合は、この2倍の手間と材料がかかります。)

⑦ウレタンを表面に塗布する

栗久さんでは、お弁当の内部にウレタン塗装がかかっていないことが多く、お弁当箱の外側はウレタン塗装されています。
※お弁当箱の形状により異なるため、店頭でご確認ください。

これは、
●内側は、ご飯の余分な湿気をとるために、湿気をすいやすく
●外側は、汚れがつきにくくする
ため。

人が、1つ1つ手作業で、ウレタンをスプレー状にまいて必要な場所にコーティングをしていきます。

⑧完成

木製品は値段が高いイメージがあるかもしれません。
●クオリティが高く
●安心して使えて
●デザインが良く
●できれば、品質と価格のバランスが良いもの

が非常に求められています。

栗久さんの工場では、作業工程の道具化が進み、
●伝統工芸士の栗盛さん以外の方でも、高いクオリティの仕事ができ、価格がある程度抑えられる。
●道具化に伴い、怪我のリスクが低い職場
●後継者不足にも耐えられる環境

という、お客様にも、工場のスタッフさんにも嬉しい状態になっているなと、感じました。

また、工場内部がキレイで、スタッフさんも感じよく、若い方もいらっしゃいました!(工場はだいたい15名くらい)

三保原屋本店では、1階奥の和陶器売り場にて、常設で販売している栗久さんの曲げわっぱ。
このほかにも、静岡の井川メンパ、牧之原でつくられている塩澤さんのお弁当箱も、在庫があれば販売しております。
木のお弁当箱の選び方は、こちらでもまとめています。

選び方のポイントもあるので、是非お探しの方は三保原屋本店までお越しいただき、店頭スタッフにもお声掛けください。

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