見出し画像

【静岡】シラス漁に同行したときのはなし

三保原屋本店は静岡の家庭用品専門店。創業は1687年といわれています。

2023年に静岡市のモチーフをつかい、オリジナルの手ぬぐいをつくり販売をしました。
モチーフでも使った「シラス漁」に同行する機会をいただいましたのでnoteでまとめます。(※瑞穂水産さんのご協力のもとご機会をいただきました!


静岡県はシラス消費量1位

静岡はいろいろなものに恵まれており・・
住んでいると気がつかないことが多くあります。

シラス消費量が全国1位ということも、住んでいると「当たり前」のように感じてしまうのかもしれません。

地元でシラス(茹でシラスや、ちりめん)を買ったり食べたりすると、
・ちょっと大きなイワシ
・小さなエビ、カニ、イカ
などが含まれており、そんな海の幸の楽しさをテーマにした手ぬぐい【リンクはこちら】もつくらせていただきました。

この時「シラスを頂く機会に恵まれているのに、シラスについて知らないことが多いな・・」と思い、用宗の瑞穂水産様にシラス漁同行をお願いしました。

シラス漁概要

シラス漁の漁船

船を2隻だして網を引き、その2隻で引いた網で収穫されたシラスを港まで運ぶ「運搬船」の合計3隻で行われます。

私が同行させていただいた日は朝6時30分出航でした。

シラスってどこにいるの??

シラスはイワシの稚魚。もちろん海でとります。

広い海のどこかにはいるのですが
・群れの大きさ
・群れのいる深さ
にいるかは、その日によって違うそうです。

また、黒潮にのって駿河湾に運ばれているので、だんだんと西から東に流されていくのだとか。
広い海でシラスの群れを探すことの大変さを、このあと身をもって知ることとなります・・。

①シラス漁スタート

港をゆっくりと出た船が、塊となり港の出口で少しだけとまります。

海の状況や、仲間の船との情報交換から「今日はどのあたりにシラスがいそうか?」を判断し、「どこに船を向かわせるのか??」を決めている時間なのだとか。

突然の全速力!

ある程度の漁場の推測がつくと、みんな突然全速力で船が走り出します。

無理やり例えるのであれば・・
「椅子取りゲームを初めて見た」
ような感覚・・。
ゆっくりしていたと思ったら、今度は思ってもいない速さで物事がすすみます。

さっきまで穏やかだった駿河湾が、突然日本海のような絵になります。

この日は、前日に豊漁だった用宗漁港の東方面(大谷方面)に船を進めるもののシラスの反応がなく・・
今度は、西方面(焼津方面)に船を進めることとなりました。

広すぎる海で約1時間。
シラスの群れを探して船は爆走を続けました・・。

他のシラス漁船も、
・東方面、西方面(漁港からみて、左・右)
・おか側、おき側(漁港から見て、手前・奥)
と、右往左往。

他の船の様子も見ながら爆走を続けます。

この「漁の場所を決める」ということがシラス漁のメインイベントのような気がしました。

もともと、あんな小さな魚(イワシの稚魚)の群れを探して、広い海に出ること自体が、すごいことだなと船の上では思いました。
(魚が大きいから簡単ってことではないのですが。)

魚群探知機(船の下に魚群がいるかどうか)などの装備はあるものの、シラスの群れがだいたいどの位置にいそうか??
という大きな見当をつける仕事は、経験値や勘といった言葉に頼らざるを得ないのかなと思いました。

②網を投下!

魚群探知機に反応があり、漁場を決めたらすぐに、網を投下します。

網は2隻の船で引きますが、この際、
①網を積んでいる船から網を出す
②手船と呼ばれる、もう一隻が寄る
③網を2隻で引けるようセットする
という作業をスムーズにこなさなければなりません。

船上は急に忙しくなりました。

③網をひく

「ここ!」と決めた漁場で、網をひき、シラスをとります。

この間も
・魚群探知機
・運搬船からの情報
でシラスの群れの位置を推測・察知しながら、網を引きます。

この日、シラスの群れがいると思われる水深は15m~20mほど。
小さな群れが散らばっていそうという予測だったので、比較的長い時間、網を引いたそうです。

④網を回収する

またまた船があわただしくなります。
今回同行させていただいた船は機械で網を巻き取る方式。
次の漁でもすぐに使えるようにキレイに網を巻き取ります。

シラス漁は、2隻体制で網をひき、その網にかかったシラスを回収し「運搬船」で漁港まで運びます。
網を回収するタイミングを見計らって「運搬船」が近づいてきます。

魚群探知機にうつっていた影が、シラスなのか、他のもの(たとえばクラゲ)なのか・・・。
引き上げてみないと分からないことだらけです。

その「運搬船」にのりうつり、巻き取った網の先についている袋から、シラスを出す作業が始まります。

シラスがどんどん引き上げられます。
そのシラスの鮮度が落ちないよう、すぐさま氷水で冷やします。

とれたてのシラスはとてもキレイ。
すきとおっており、形もプリプリしています。

実は船上で食べさせていただきましたが、スーパー等のシラスとは比較にならないほど美味しかったです・・!

・プリプリしている
・食べても口が生臭くならない
(薬味が一切いらないくらい美味しい)

物流がいかに進化したと言えど、このような鮮度で食べることができることは現地でしかできないことですね。

※瑞穂水産さん【リンクはこちら】は、用宗漁港目の前に直売所があります!

⑤漁港までシラスをもってかえる

やはり鮮度は時間との勝負。
「運搬船」は全速力で用宗漁港までとれたてのシラスを運びます。

一方で、網をひいていた2隻はシラスの群れを追いかけて2度目の漁場を探します。

漁港までもどってきた運搬船は、仲買人さんの待つ市場へ。

半透明にすける、生シラス・・!
ここから水で洗い、販売されることになるそうです。。

今日のシラス漁同行はここまで。

⑥瑞穂水産さんの内部へ

瑞穂水産さんでは、シラス漁も行っていますが、
・加工
・販売
も行われています。

シラス漁の後に少し工場に伺わせていただきました。

実は今回拝見したかった作業のうちの1つがこちら。
シラスに含まれる他の魚などを取り除く作業です。

野菜すら工場でつくられる時代ですが、人間の手でなければできない作業が実際にあります。
その作業を毎日されている方がいて、安心して私たちは食事をとることができていると感じます。

特にシラスは赤ちゃんから食べる食材。とても大変な作業だと思います。

この日は地元スーパーさん等に向けた商品のパッケージをつめる作業。

大手スーパーさんに向けて出荷される商品のパッケージ作業などが行われていました。

日持ちしにくいシラスを機械でパックすることで、日持ちを長くさせることに成功したと伺いました。

最後に

瑞穂水産の社長さんに、静岡県のシラス消費量は日本一だと伺いました。

なにかのブームや、後付け、つくられた地産地消ではなく、本当に純粋な地産地消が行われているシラス消費が、とても良い形だと感じました。

(強烈なプロモーションなどによるブームは確実に終わりがありますが、シラスに関しては根強い地元消費があり、その地元情報を得た県外の方がシラスを求めて用宗に来るのかなと思いました。)

今後も「シラス」が、地元の人がおススメする本当に美味しいものとして食卓に並び、県外の方からもより広く認知される静岡の海の幸であって欲しいと願うばかりです。

※シラス漁は漁期があります。
※悪天などにより漁ができない場合は生シラスは直売所にも並ばないことがあります。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?