フランス映画に学ぶ赤(靴下)
私もフランス映画の虜になる前は、哲学的で難解な印象を持たれがちなフランス映画に少し苦手意識を持っていた。今のようにフランス映画を大好きになったきっかけは、エリック・ロメール『友だちの恋人』(1987)を観て、その色彩感覚に感動したからである。色彩の魔術師ロメールが、最も色で遊んでいるのはこの作品だと思う。
ロメール作品を観ていると、赤がいたるところに散りばめられていることに気がつく。というか、赤だけでなく、ほとんどのシーンに赤・青・白が使われているのだ。それからロメール作品を観るときは、色彩を追うようにしてみた。絵画のように一枚絵のなかで色彩を計算するのはもはや当然なのかもしれないが、動き続ける映像においても全シーンここまでの色彩設計がなされているっていったい何事なんだろうか。凄すぎる。
フランス映画の「赤使いの名手」はロメールだけではない。哲学・政治・芸術・難解……フランス映画に対して抱かれがちなイメージの代表的存在であるジャン=リュック・ゴダールもまた、「赤使いの名手」である。
フランス映画は鮮やかな色彩に溢れている。赤色を我が物顔で身につけたい人は、フランス映画からその極意を学ぶといい。
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