見出し画像

フランス映画に学ぶ赤(靴下)

私もフランス映画の虜になる前は、哲学的で難解な印象を持たれがちなフランス映画に少し苦手意識を持っていた。今のようにフランス映画を大好きになったきっかけは、エリック・ロメール『友だちの恋人』(1987)を観て、その色彩感覚に感動したからである。色彩の魔術師ロメールが、最も色で遊んでいるのはこの作品だと思う。

この作品のキーカラーは青と緑だと思うが、
それ以上に赤の登場回数がとても多い
文化庁に勤める主人公ブランシュのファッション。
彼女こそ私のファッションリーダー。
こんな小さいバッグを通勤に使う人がいるのか…


ロメール作品を観ていると、赤がいたるところに散りばめられていることに気がつく。というか、赤だけでなく、ほとんどのシーンに赤・青・白が使われているのだ。それからロメール作品を観るときは、色彩を追うようにしてみた。絵画のように一枚絵のなかで色彩を計算するのはもはや当然なのかもしれないが、動き続ける映像においても全シーンここまでの色彩設計がなされているっていったい何事なんだろうか。凄すぎる。

『レネットとミラベル/四つの冒険』(1986)
「青い時間」という題の一編で、
真っ赤な服を着ている登場人物。
『緑の光線』(1985)
孤独な主人公だけが赤を纏う。
それを取り囲むのは白のみ。


フランス映画の「赤使いの名手」はロメールだけではない。哲学・政治・芸術・難解……フランス映画に対して抱かれがちなイメージの代表的存在であるジャン=リュック・ゴダールもまた、「赤使いの名手」である。

『女は女である』(1961)
ゴダール初カラー作品でこの完成度。
赤セーター×赤タイツという奇抜すれすれな
組み合わせ以外にも目を向けてほしい。
手前に映るブーケは、白バラの束のなかに
一本だけ赤いバラが挿されていることに…。
『中国女』(1967)
政治的な意味も多分に含む、鮮烈な赤
『気狂いピエロ』(1965)
あまりに有名すぎて言及不要。とにかく良い。
ちなみに私は大学の卒業アルバムの写真で、
このアンナ・カリーナの格好をしていた(?)
『気狂いピエロ』(1965)
この作品で助監督を務めた
ジャン=ピエール・レオのカメオ出演シーン。
世界で一番赤が似合う男。


フランス映画は鮮やかな色彩に溢れている。赤色を我が物顔で身につけたい人は、フランス映画からその極意を学ぶといい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?