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コロナ騒動も2時間の時差

私が働いている会社では、日本人でも「訪日観光客向けにコンテンツを考える」ので、日本語編集者は日本語のほかにも、違う言語の担当を抱えている。

私が主にみているのは、中国簡体字、インドネシア語、やさしい日本語。各言語にどんな記事が必要か考え日本語の記事を企画したり、翻訳者とチャットツールでやりとりしながら施策を練ったり、メディアの数字や目標を一緒に掲げ、定期的に振り返るミーティングをしている。今日は月に1度の、インドネシア語の翻訳リーダーとのミーティングだった。

先月のミーティングでコロナウィルスの状況を聞いたときは、「まだ具体的に死者も感染者も少ないから、マスクが買えなくて困るくらい」と聞いていたが、今日はずいぶん状況が違う。1か月で死者が300人以上にのぼり、急に感染への危機感が国中へ広がったそうだ。

「コロナウイルスの感染対策で本業の方でリモート導入制度をすぐに作らなくてはいけない」とか、「"神に祈ればコロナになんかかからない"という人と、パニックになって日用品を買い占める人と、いろんな人が出てきた」とか、少し話すだけでもインドネシア国内が混乱している様子がひしひしと伝わってきた。彼女も、先月楽しみだと言っていたスキマスイッチのライブが延期になってしまって、少し口をとがらせるように「いつまで続くんでしょうね」なんて話している。

まるで始まったばかりのような雰囲気で話す彼女をみて、なんだか1か月前の日本を見ているような気になった。日本はリモート推奨になって1か月近く経つし、自粛要請でイベントも中止、外出も控え続け、そろそろみんなの身体がなまってきたころ。「自粛ばかりもしてられない」と、次の危機感が芽生えているように感じる。一方、インドネシアではこれからリモートに切り替えなのだ。

インドネシアと日本の時差は2時間。夜が本格化するころに、インドネシアでは夜を迎えるくらいの、僅差の時間。コロナの騒動もまるで、その僅差の時間で動いているような不思議な感覚が芽生えた。住むところが違うだけで、社会の流れはこんなにも違うものなのか。本当に、自分には見えている以外に、限りなくいろんな世界が広がっているのだ。そして、コロナ終息もオリンピックも、もちろん今のメディアも、日本の状況だけで決められないなと痛感せざるを得ない。


日本について何か言われているかと聞いてみると、「今は社会が混乱していて、日本のことどころじゃない」と彼女。そうだよなぁ、自分の国の不安と恐怖でいっぱいだよなぁ。

けれどきっと来月には、今の日本が自粛要請にぐったりしているように、「あぁ早く海外旅行がしたい!」と希望を膨らませてもらえるように。日本旅行が楽しみになるコンテンツを、コツコツ作っていくしかないんだろうな。早くメディアの数字が元通りになって、翻訳リーダーへ嬉しい報告ができますように。

去年の毎日note


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