書く時に大事な「あるものさがし」
「ストーリーのように構成立てができないんです」
そんな質問へのアンサーで届いたとある本。「その悩みにぴったり当てはまるものじゃないけど、読んでみると面白いよ」と教えてもらい、さっそく購入してページをめくった。
タイトルの『脚本教室』という言葉から、「ストーリーの書き方術みたいな本なのかな」と予測を立てて読み始めたものの、「はじめに」からすでに想定を超え、読み進めるのが少し怖くなっている。
そこに書かれていたことは、よき脚本を書くために必要な、「自分自身と向き合うこと」だったのだ。
大切なのは「ないものねだり」ではなく「あるものさがし」です。
よき脚本を書くための技術は後からついてくる。今はまだ自身に備わっていない技術をほしがるよりも、“あなたらしくノビノビと書ける”シナリオを把握することが大事。自分自身の中に眠っている潜在能力を引き出すことが大事だ、という。
その部分を読んで、一昨日noteに書いた内容を思い出した。
著者の偏愛がたっぷり詰まった文章は、その人だけが見ている世界を切り取り、その人にしか書けないことが書かれている。「あるものさがし」もまさにこのこと。自分が書けることは何なのか、自分だから書けるストーリーは一体どんなものなのか。それが問われている。そして、自分だから書けることが理解できてくると、ほかの人には真似できない、オリジナルの脚本が作れるようになるのだろう。
私はこれまで(たぶん今も)、「ないものねだり」が天才的に優れていた(る)。自分は何も持っていないと思っているので、何かを持たなきゃ、ほかの人ができることを私もできるようにならなきゃと、自分ができないことを見つけては一生けん命追いかけた。
けれど人のもちものは、自分が楽々手に入れられるものでもない。さらに“手に入れたい”と本気で思えるものでもなかったように思う。周りと同じくらいできなきゃという謎の使命とともに、自分のもっているものを確認もせず、持てないものばかりを追いかけてしまっていたのかもしれない。
自分がいま持っているものは、一体何なのだろうか。自分だから書けることは、どういうものだろうか。新しいアイテム探しだけじゃなく、自分のもちものを整理して、何をどのくらいもっているのか、理解することもはじめていきたい。
気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだスミヨ。さん。月~金までのうち、私は月・木を担当しています。
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