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編集とライティングと、働くこと

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未経験から編集者を目指していた2017年以前の私に向けて、編集者の仕事、参考になるnote、編集者となった自分はどんなことを考えて日々働いているかをまとめています。
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#ライター

理解されない仕事のこと

自分が就いた仕事は例外なく解像度が高くなる。具体的な仕事内容はもちろん、やり遂げることの困難さは身に染みるほど。 素敵な話を聞いたのに、いざ自分が文字に起こすとその感動が失われてしまったり、「こんなはずじゃない」と何度も書き直したり。数行の文章でも、場合によっては何時間も悩まされ、「もっとちゃんと届けられるようになりたい」と、研究や勉強に励む。 何にどのくらい時間がかかるのか、それができるようになるまでどんな努力が必要なのか、自分が体験していれば呼吸をするように理解できる

初心者ライターがつくってしまいがちな構成のパターンを桃太郎で整理した

あれはざっくり5年ほど前でしょうか。 イベント取材を終え、編集者から「初稿の前に構成いただけると幸いです」と言われた駆け出しライターは、10分くらいで構成を作成し終え、どや顔で送付しました。イベント取材中のメモに申しわけ程度の見出しをつけ、一切インデントをせずに羅列しただけのドキュメントを、です。いま、彼女に向かって言ってやりたい言葉はひとつだけ。 「お前が作成したのは構成じゃなくて議事録だからな...!」 とつぜん失礼しました。inquireで編集やライターをしている

坂道をころがっていくようなことば

せっかく書くなら読んでほしい。 せっかく書くなら届けたい。 だから扱うことばを意識するし、"いい文章"を書くために脳みそを酷使している。もちろん、書くこと、特にnoteを書くことは、自分のための要素も多くあるけれど。せっかく書くなら、自分に近い人のところにも届けたいのだ。 以前のnoteで、文章のリズムについて書いた。 リズム感のよいフレーズを取り上げて、どうしていいなと思ったのか考えたものだ。結局うまい具合に言語化はできなかったけれど、今回もまた、リズム感が心地よい

その原稿、伝えたいことが見えなくなってない?【インクワYMO会レポート vol.7】

こんにちは、ライターのもりやみほです。先週、inquire主催のYMO会に参加し、私が執筆を担当したインタビュー記事について振り返りました! YMOをしてもらったのは、とある企業の社員さんのインタビュー記事。さらに今回は特別に、初稿と完成稿を見比べて、編集が入ったことで記事がどう変化したかも話し合いました。 どんな佳き・モヤっとが出たのか。とても学びになった会の内容をお伝えします! YMO会とは? inquireでは原稿のスキルアップに向けて「YMO会」という集まりを開

「書くうえでやめてほしい2つのこと」をやめてみる

スマホアプリの中には読んでよかった記事たちがあちこちに散らばっている。GW中にそれをひとつへ集約すべく、保存されている記事をもう1度読み直し、このまま保存しておきたいものなのか精査することにした。 読んだ当時はとても重要だと思ったものも、日が経つと「もう読み返さなくてもいいかな」と思うものに変わることがある。それは例えば、編集者になりたての時に必要だと思った、スマホユーザーに合う「書き方」の決まりなど。参考書のように何度も読んで実践して、おかげさまで頭の中に叩き込まれていた

読後感を作る盛り上がりポイントを考える【インクワYMO会レポート vol.3  】

こんにちは、もりやみほです。ライターとしてお世話になっているインクワで、YMO会に参加しました! YMOしたのはインタビュー記事2つ。1つは私が執筆の記事をYMOしてもらいました。どのような話をして、どのような学びが得られたのかシェアできればと思います! YMO会とは? inquireでは原稿のスキルアップに向けて「YMO会」という集まりを開催しています。YMO会は、原稿における「Y・M(佳き・モヤっと)ポイント」を複数人で見つけ合ってディスカッションし、最終的にそれぞれ

上下ではなく、同じ方を向いて

編集を「教育」と言ったことばに、ずっとモヤっとがひっかかっていた。 確かに編集者の赤入れは学びになるし、それによって記事が何倍も素敵に変わるけれど、編集者側から「教育」と言うのは、なんだかちょっと違うような気がする。ちょっとしたモヤっとを自分の中に潜伏させ、時々生まれる違和感に気持ちの悪い思いをしていた。 それが顕在化され、そしてやさしく消化されていったのは、とある記事のフィードバック会だ。参加者の書いた原稿を読み、みんながコメントを入れていく。 ギモンが多めに出てくる

必要?不要?「~という」

文章の中で不要な言葉は極力省く。もたついた言い回しにならないよう、すっきり、簡潔に記事を作ることは、ライターが気を付けることの1つに入っているはずだ。 中でも不要だといわれることが多い言い回しのひとつに、「~という」がある。たとえば、「ありがとうという感謝を表す言葉がある」も、「感謝を表す言葉、ありがとうがある」などと言い換えて、余計な言葉を極力書かないようにする。 もちろん私も気を付けているし、ライターさんから上がってきた原稿で「~という」を消したりするけれど、一概にす

編集者の必要性

取れ高のいいインタビューは気持ちがいい。話ははずみ、インタビュイーも楽しくなり、聞いているこっちもワクワクしてくる。 「いいインタビューだった!」と胸をときめかせ、「いい記事かくぞ!」と意気込み、文字起こしをしてハタと気が付く。切り口がいっぱいありすぎて、まとめ方がわからなくなっていることに。 昨日公開したサーティワン企画の記事が、まさにそれだ。インタビュー前にどんな話を聞きたいか、誰に向けて書きたいかは考えるものの、「これまでどう生きてきたの?」から聞いていくため聞きた

ライターは「情報」を「言葉」に変える仕事

仕事で各都道府県の"ガイド記事"なるものを作っている。 いわゆるキュレーション記事。編集部内で記事の要素、構成を考え、ライターさんへ依頼。上がってきた原稿をチェックして公開している。複数のライターさんに類似した構成の記事を依頼して感じたのが、書いてもらった記事が「情報の羅列」なのか「紹介文」なのかで記事のクオリティが全然変わるということだ(改めて言うにはあまりにも当たり前のことかもしれないけれど)。 例えば由布院とは?の説明に「大分県由布市にある温泉」と書いたとき。「ふぅ

熱量高い仕事でも、頭はクールに冷静に。

最近ようやく日の目を見た仕事について、アツく語った。 プロジェクトもすごく共感しているし、木こりさんから木や川などの自然にまつわる話が聞けるので、自分の興味関心ド真ん中なのである。 さらに、一緒にお仕事している方々も熱量があり、プロジェクトに対して前のめりにやっていきたくなる。幸せな仕事環境だと、一緒にご飯を食べた友人に向かってマシンガントークだ。頭も心も熱い。カッカしてる。 そんな気持ちをなだめるかのように、友人は1つ1つ聞いてきた。 「どうして森を整えるの?」

「誰に届けたいか」で表現はガラっと変わる

はらわたが煮えくりかえるほど怒った、と友人が静かに言った。 その内容は、「認められるように言語化しろ」といわれたことから始まったらしい。参加したワークショップの内容について、「仕事で発信する文章を書いて」と言われて書いた時に、上司から心無いフィードバックをもらってしまったのだそうだ。 メッセージ上で行われた上司と友人のやりとりを見せてもらったり、友人の意見を聞いていると、どうやら二人は届けたい対象が違ったようだった。(おそらく)広く浅く万人向けに、何が起こったかをレポート

ライターになって心がけた「守破離」

これまで、ライティングのスキルアップは「守破離」でPDCAを回してきた。 「守破離」は修業の理想的なプロセスを3段階で示したもの。師や流派の教え、型などを忠実に守る「守」、それを疑い、自分なりのやり方を模索する「破」、新しいものを生み出す「離」だ。 「守」で意識している2つのこと私がライティングで行う「守」の部分は、2つ。 ひとつは文章そのものの型を守ること。これはハウツー本などに載っている内容を実際の記事で使ってみたり、取り入れたりすることを指す。私が参考にしているの

ライティングスクール2つ通って結構人生変わったかも。

最初のライティングスクール受講は、社会人5年目の秋。とあるライターさんがきっかけで、「Webメディアの運営」なるものに参加し、そこで「役に立ちたい」と思ったことから通い始めた。 今では転職までしてしまったので、何がそんなに良かったのか(もう何年も前だけど)まとめてみることに。通ったスクールは2つ。「思い浮かべて書く教室(現:コトバ大)」と、ライティングコミュニティ「sentence」で当時募集していた「sentence school」。 目次 ◆それぞれのスクールの内容・