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編集とライティングと、働くこと

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未経験から編集者を目指していた2017年以前の私に向けて、編集者の仕事、参考になるnote、編集者となった自分はどんなことを考えて日々働いているかをまとめています。
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#エッセイ

書き続けたら見えてきた

ほんの数年前は、誰かのエッセイを読んでも面白いと思うことが少なかった。 ふうん、とか、そう、とか、理解したんだかしてないんだかわからないような感想しか出てこなくて、小説ばかりを好んで読んでいた。誰かのいつもの日常を聞いても、なんだかしっくりこなかったのだ。 いま、村上春樹と星野源のエッセイを、同時並行でちょっとづつ読んでいる。 村上春樹のエッセイは、小説の時とは全然違う世界を描いているはずなのに、どこか著者らしさがしっかりと含まれていて面白い。坂道を転がるように止まらず

どうして書いているのだろうか

誰に何を伝えたくて、このnoteを書いているのか。 誰に何を伝えたくて、“伝える仕事”をしているのか。 ブレずに、堂々と、自分の「伝えたいこと」のために動いている人は、多いのだろうか、少ないのだろうか。きっと多いに違いない。 作ることや、書くことばかりに気持ちを向けてしまうと、何のために作っているのかがわからなくなってしまう時がある。誰かに言葉が届くときは、書き手の込めたメッセージを、読み手が受け取った時なのだから。 何のために書いているのか。どうして伝える仕事をして

愛が動かす人と筆

はて、と頭をかしげた。そしてもう1度、今度はもっとゆっくり読んだ。 それでもギモンは残ったままだったけれど、読書会の時間になってしまった。 inqureで開催している読書会では、「高校生のための文章読本」を一編ずつ読んでいる。参加者が各段落を順番に音読し、その感想を伝え合う。今回の範囲は、森茉莉さん著「9 猛獣が飼いたい」だ。 "犬を抱えながら新聞を読んだり、黒山羊にミルクを飲ませたり、豹に髪の毛をかまれて首をすくめている十六歳のシャアリイさんの幸福さに私は羨望のよだ

どうして毎日書いているの?

今にも目が閉じてしまいそうだ。 5分に1回のペースであくびが出る。ベッドが私を呼んでいる。けれどnoteのネタがまとまらず、パソコンの前で30分が経過した。 * 「どうして毎日書いているんですか?」と聞かれ、ぱたりと脳が停止した。何か質問をされるとたいてい、脳が一時停止する。微妙な間が生まれてしまうと恐ろしくて、なかなか話に集中できなくなってしまう。そんな間を作りながら、ぽつりぽつりと話始めた。 最初は、スキルアップ。毎日書けば文章もうまくなるかと思ったから。毎日書い

国によって違う、文章への向き合い方について

文化、お作法、相手が思ったこと、感じたこと、相手の事情を知らないで話すことに、迷いがある。 文章に迷った時、オフィスで「新しい文章力の教室」を読んでいたら、台湾国籍の同僚に「そういうの読むんだね」と話しかけられた。台湾では、文章力にまつわる本はどれも日本語からの翻訳で、台湾人はあまり気にしていないという。読むとしたら、キャッチコピー力や企画力をあげる本なのだそう。 そういえば以前タイ語の編集者とインドネシア語の翻訳者と話していた時も同じことを言っていた。恐らく日本は、「綺

休むのが怖い

「土日は休み」と決めた人は画期的なアイデアマンだ。 本腰入れて複業を始めて1年。気が付くと私の「休み」はどこかに消えていて、とうとう限界を感じ1か月ほど複業分を休もうと思った。去年は頑張れたのに、なんで今年は頑張れないんだろう。むなしさがこみ上げる。 お世話になっている人へメッセージを送ろうとslackを開く。頭の中で文章を考える。そして「お疲れ様です!」と打った時に、恐ろしいくらいの不安が襲ってきた。 私は本当に、休んでも良いのだろうか。 バリバリ働いている編集者の

熱量高い仕事でも、頭はクールに冷静に。

最近ようやく日の目を見た仕事について、アツく語った。 プロジェクトもすごく共感しているし、木こりさんから木や川などの自然にまつわる話が聞けるので、自分の興味関心ド真ん中なのである。 さらに、一緒にお仕事している方々も熱量があり、プロジェクトに対して前のめりにやっていきたくなる。幸せな仕事環境だと、一緒にご飯を食べた友人に向かってマシンガントークだ。頭も心も熱い。カッカしてる。 そんな気持ちをなだめるかのように、友人は1つ1つ聞いてきた。 「どうして森を整えるの?」

「誰に届けたいか」で表現はガラっと変わる

はらわたが煮えくりかえるほど怒った、と友人が静かに言った。 その内容は、「認められるように言語化しろ」といわれたことから始まったらしい。参加したワークショップの内容について、「仕事で発信する文章を書いて」と言われて書いた時に、上司から心無いフィードバックをもらってしまったのだそうだ。 メッセージ上で行われた上司と友人のやりとりを見せてもらったり、友人の意見を聞いていると、どうやら二人は届けたい対象が違ったようだった。(おそらく)広く浅く万人向けに、何が起こったかをレポート

毎日noteを8か月間続けて変わったこと

タイトルについて質問を受けた時、うまく答えられなかったので改めて考えることにした。毎日noteを書いていてよかった、と思っている。けれど何がよかったのか、突然言われると難しい。 毎日noteを始めた理由と8か月後の今始めた理由は文章力アップのため。2017年4月に転職したので、キャリアも実績も全然ない。早くスキルアップするには平日昼間の仕事だけじゃなくて、たくさん書いて読むのが1番だと思った。具体的に数値のある目標ではなかったので、実際どうなったかは明確にわからない。けれど

モチベーションの源

この人のために頑張りたい、と思う人がいる。職場環境がすごくいい。 訪日観光客向けに作る日本語の記事は、ほかの言語に翻訳した後のリーチが重要になる。海外の人がターゲットとなると自分の感覚はほとんど通用しないので、数値で見るか、ネイティブの編集者の意見を聞きながらどんな記事を作っていくか検討する必要がある。 今、隣で働いている同僚は、女性の台湾人編集者だ。鈴のような声をしていて、よく笑い、よく怒り、よく観察する女の子。ブロガーで作家でもあり、さいきん台湾で自分の本が出版された

生きてるうちは書いていようと思った

高校を卒業してから全く漫画を読まなくなってしまった。小学生の時は毎週ジャンプを読んでいたり、兄の本棚からスラムダンクや浦安鉄筋家族を借りたり、いとこからもらった50冊近い、マーガレットで連載された単行本を粛々と読破していたのに、最近はあまり読む機会がない。 ページをめくるのがハラハラするくらい興奮したのは、スラムダンク。はじめて漫画で泣いたのは、世紀末リーダー伝たけし!のとある金魚の話。そして、初めて声を出して吹き出した漫画が、さくらももこさんのコジコジだ。 コジコジをは

日々の仕事を例えてみる

取材のスケジュール立てに苦戦している。 所属している会社のメディアは、訪日客向けに全国各地の観光情報を発信している。最近では海外の人に人気はあってもまだ記事が少ない場所へ、編集部で直接取材に行って記事を作るべく動いているのだけれど、そのスケジュール立てに苦戦中だ。 * 昨日の飲み会で「起業で活躍する人と、組織というベースを使って活躍する人はそれぞれ異なるスキルを持っている」という話になった。0から1を作る人、1を10に変えていく人は違うという。ふたつの違いにどんなことが

読者に寄り添う記事を作るには

まるで隣で話しかけてくれるかのように、書き手が語りかけてくれる記事がある。 同僚が書く記事がまさにそれで、記事チェックの時にいつもワクワクしながら読んでいる。まるで道案内をされているような気分になるときもあれば、ディズニーランドのアトラクションに乗り込む前の、キャストが繰り広げる演出や、ちょっとした注意事項を聞いているような気持ちになったりするのだ。 作っている内容はスポットのまとめ記事だったりと、一見ほかのメディアと変わらないような内容だけれど、実際現地に行ってみたり、

「不安」という名の言い訳

「こんなこと言って、もし場違いだったらどうしよう」「何もない毎日が、一生続いてしまったらどうしよう」「別の仕事も進捗悪いし、今の仕事をしながら気になってしまう」などなど…… 不安の原因はたいてい、未来を考えることから起こる。「常に私は将来を見ている」なんて言ってしまうとポジティブだけれど、今どうすることも出来ない事にもんもんとエネルギーを注ぐだけの、すごく効率の悪いことだ。 今のことには目をそらして、必死になって未来を考える。「今、ここ」と向き合えないのは何が原因なのだろ