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zoomを使った一週間の英語集中講座を担当して:良い点と注意点


zoomを利用して企業研修を1週間担当する機会に恵まれましたので、実際にオンライン研修を担当して感じたことをまとめておきます。

形式:今回担当したのは社員の英語研修で、生徒の人数は10人程度。お昼休憩を挟んで、1日当たりの受講時間は約6時間です。研修はビジネスシーンにおける英語力強化を目的とした四技能に働きかける内容で、過去に対面で実施した経験があるものでした。受講生の手元には印刷したテキストがあります。

私のオンライン会議システムの利用経験:以前在籍していた企業では電話会議/オンライン会議を行っていました。しかし、セミナー形式に限れば、受講生1~2名に対する英語授業のみでした。


結論: とても良い!

機能の使い方は分かるけれど、スムーズに操作できるだろうか。受講生の集中力を維持することが出来るんだろうか。そんな気持ちを抱えつつ臨んだレッスンですが、終わってみれば私は大満足。受講生にも直接問いかけてみたのですが、違う土地に居ながら一緒に授業を受けるのは面白いし、対面と遜色ないように感じたとのことで、嬉しい限りです。

個人的には、オンラインの方が疲れない。「オンライン授業は凄く疲れる」という方もいらっしゃるのですが、私にとって人混みの移動がないのはもちろんのこと、内向型人間なので休憩になった瞬間に一旦プライベート空間に戻れるため、休憩が文字通り休憩になっていることも大きかったように感じます。

今回は、実際にオンライン研修の講師を勤めてみて良かった点、注意すべきだと感じる点についてまとめたいと思います。


良い点① 一体感を感じられる

画面を通して常にお互いの顔が見える状態と言うのは、各々のエンゲージメントを高め、結果としてクラスとしての一体感に繋がるように感じました。

zoomのギャラリービューを利用すると、講師を含めて全員がお互いの顔が見える状態になります。10人程度というクラスサイズもギャラリービューに丁度良かったからかもしれません。対面のグループレッスンにおいては、どんなに座席配置を工夫しても、受講生同士が常にお互いの顔を見て講義を進めるという状態を作るのは難しいです。

しかしながら、グループの雰囲気は受講生の性格や意欲にも左右されますので、一体感があまり感じられない場合もあります。実際にこういうクラスにも遭遇しました。


良い点② ON-OFFの切り替えがしやすい

授業⇔休憩のON/OFFの切り替えがしやすく、その結果、より授業に集中出来たように思います。自宅から参加される場合、ONの時間は画面に集中し、OFFの時間は画面から抜け出して、例えばベッドで5分横になって休憩する、ということも簡単に出来ます。研修ルームだとこうはいかないですよね。

1日中研修ルームに籠って授業を受けるのは、結構息が詰まります。特に私のような内向型人間は、合間に人とのつながりがOFFになる時間が欲しくなるので、「休憩」と言った瞬間にベランダに出て深呼吸したり、一人で温かいお茶を入れてみたりするだけでも、ON/OFFの切り替えができます。

一方で、家から参加をしていると気が緩んで、逆にON-OFFが切り替えられないという人もいるかもしれません。とはいえ、研修後半になるとお疲れモードの方が多くなるのが一般的にもかかわらず、全体を通して受講生の集中力は一定のレベルを保っていたように見えました。


良い点③ グループワークが捗る

ブレイクアウトルームを使わないのであればzoomである必要はないくらい便利な機能だと思います。全員が一斉に話すというのは仕組み上難しいので、全体で行うパートは講義(一斉授業)になりがちです。したがって、ブレイクアウトルームを有効に使う必要があります。

対面と同じで少人数の方が議論が発展しやすく、更に個室に入った状態なので周囲の声に振り回されず課題に集中できているように見えました。講師が各ルームを無言(ミュート/ビデオオフ)で巡回しているのも分かっているので、手を抜くと言うことはありません(笑)

受講生もシステムに慣れるにつれて、私が現れると話しかけて来たり、ヘルプボタンで呼び出したりしてくれるので、対面と変わらないくらい自然なコミュニケーションに発展していきました。


注意点① 休憩のタイミング

今回は30~45分でおよそ1タスクを準備しました。原則、1タスク終わると5分休憩、次のタスクが終わると10分休憩というように、short breakとlong breakを交互に取るようにしました。

特にヘッドセットを利用している受講生は、長くなりすぎると耳元や頭が痛くなってくるようで、頻繁にヘッドセットを気にする仕草を見せていました。画面共有が多くなる講義の場合、一番ストレスを感じやすいのはスマホユーザーです。1コマは、どんなに長くても60分以下にする方が、ストレスなく授業に参加できると思います。

また、他の先生に尋ねたところ、ちょこちょこ取るより、大きな休憩を取る方が良いという受講生の意見もあったそうです。受講生の好み、使用しているデバイスなどを考慮し、話し合って決めるのも良いかもしれません。私のクラスでは、タスク毎に小休憩スタイルが合っていたようです。


注意点② ウォームアップ

レッスンの開始時、休憩から戻ってきた時には、何かしらのウォームアップアクティビティを入れると良いでしょう。全員で同じアクティビティをすることで一体感を取り戻すことに繋がります。

完全に打ち解けたグループですと、休憩中に談笑しているので何もしなくても自然に授業に戻ってこられるので、ウォームアップは開始時だけでも構わないと思います。休憩中に全員がOFF(ミュート/画面オフ)になるようなグループには、ウォームアップを入れてあげると良いと思います。

私はL/Rの発音ゲームなどを取り入れていました。例えばlightとright、一人の受講生にどちらかを選んで発音してもらい、Lなら手を上げる、Rなら上げない。こんな些細なことでも、一緒に何かをやると少し打ち解けられます。


注意点③ 話すスピード・タイミング

まず、ハッキリと話すこと。話し手と受け手の環境にもよりますが、電波に乗った声は聞き取りづらくなることもあります。大人向けの講義で変に明るくふるまう必要はないと思いますが、電話に出る時のようなワントーンUPした話し方を意識すると自然とハッキリとした声になるのではないでしょうか。

続いて、緩急をつけること。私の方でもプロの音響機材を使っているわけではないので、常に心地良い音声を届けられているわけではありません。受講生の集中力を維持し続けるためには、対面の時以上に話すスピードに緩急を付けるべきだと感じます。言葉でサラッと流しても良い部分は早めに、重要な部分はゆっくりハッキリと。ジェスチャーも取り入れると更に効果的だと思います。

最後に、間の取り方です。何人かが同時に話してしまうとお互いの声が聞こえなくなってしまいます。もし受講生に何か話して貰うのであれば、講師は、きちんと最後まで話を聞いてから発言します。急がない焦らない。そのためにも、対面授業よりも更に余裕を持った進行をすることも大切です。また「質問ありますか?」と問いかけると、こちらから何も指示しなければ、受講生は首を振ったり、手を振ったり、無反応だったり、様々な反応を返してくれます。ゆーっくり1・2・3・4・5カウント分待って次に進むのでも良いですし、「次に進んで良いですか?」と聞いて良いなら腕で〇を作ってもらうなど体を動かして貰うのも良いと思います。


私の今後の改善点

ウォームアップのアクティビティをもっと盛り込めば良かったな、と思います。特に静かなグループに対してですね。クイズとかストレッチなど英語学習とは関係ないものの方が良かったかもしれません。英語のクラスは当然レベル別なので、集団の中の自分の立ち位置は一目瞭然なんですよね。それについて一番コンプレックスを感じているのは、中間層の受講生だと思います。もっと配慮してあげられたら良かったと感じています。

また、グループワークに時間をかけ過ぎて、全体でのシェア・フィードバックが駆け足になってしまった箇所があったこと、はもう一つの改善したい点です。実際課題に取り組む時間の他に、画面遷移したり、ミュート/アンミュートを切り替えたり、という余分な時間が生まれることが十分に考慮しきれていなかったことが原因だと考えます。やはり、余裕を持った進行を準備しておく必要がありますね。


率直に、実施してみて感じたことをまとめてみました。今後利用される方のご参考になれば幸いです。

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