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すぐ対応しないと大事になりますよ

こんにちは、お外が大好きなはずなのに、あれ、引きこもりでは?家から出られない、てか布団から出るのも大変っ。動けないから家はどんどん汚部屋になるし、誰から罵詈雑言吐かれてもおかしくない状況です。恐ろしいです。はるのみぃです。

題名は今の取引先から先ほど届いたLINEです。
私は火曜水曜と発熱と頭痛で会社を休み、木曜日は倒れて医師からドクターストップがかかったことにして離職依頼のメールを送りました。
金曜日は起き上がれませんでした。起き上がるために昨日からnoteを始めたと言ってもいいです。今も昼過ぎというのに眠い。胃が痛い。頭痛い。泣きそう。
てか、金曜日1日連絡しなかっただけでこんな脅されるようなこと言われちゃうの?まあ言われちゃうよね。
「今週は休めって言われたんです、明日対応するから許してセニョール」とだけ返しました。友人に来てもらって服の裾をギュッと掴ませてもらって対応する予定です。何も食べてないのに吐きそうです。

というわけで、体が震えているので、怒られることについて今日は書いてみましょう。あーあ、今日も外に出れそうにないなぁ…。(これを書きながら、鼻で笑ってる私、大笑いしている私がいる。)

突然ですが、幽霊は信じますか?
私の意見はまあ置いといて、小さい頃我が家は非常に心霊現象が多かった。林間学校の夜、怪談として話すと何人か大泣きして眠れなくなっちゃう程、怖い事象は尽きなかった。
誰もいないのに鍵穴がガチャガチャ鳴るとか、トイレの水がずっとジャージャー流れてるとか、消えているはずのリビングの電気が点滅してたり、電話に出たらオルゴールの音や雑音や人の話し声が聞こえてきたり(毎日のようにね)。
あとお風呂に入ってる時に、バンっ!と大きな音で扉が開いたけど、そこに誰もいないなんてこともあった。トイレの鍵を閉めてないのに扉が開かないなんてことも。(そのせいで今だに家のトイレの扉を閉めることができない。鍵ではない。閉じ込められたのが怖くて、扉を閉めきれないのだ。)
私は深夜よく床に転がっていたけど、足の影みたいなのがいっぱい歩き回っているのをよく眺めていた。壁の向こうはトイレのはずだけど、人の話し声がよく聞こえた。

当時私が思っていたことは、賑やかで寂しくないなあということだった。
高校生で家を出るまで、怪奇現象はずっと続いていた。
怪奇現象が怖い、と思ったのは家を出てからだった。

新しい家では、怪奇現象が起こらない。でも、いつか起こるかもしれない。
実家では風呂場で目を瞑ると生首のようなものが見えて怖かった。不思議な低音も響いていた。でも新しい家ではそんなものは見えないし聞こえない。
いつそれが起こるのか、起こっていた時は怖くないのに、起こるかもしれないと思うと怖いのだ。何故なのかは今も分からない。

あれ、今日って怒られる話じゃないの?と思ったかもしれないが、怒られることも似たようなことだと感じている。
実家にいた頃、記憶が定かではないが気づくといつも何か怒られていた。何について怒られ始めたのかは記憶がない。
怒られてる時にも「あれ…今いつだろう。また怒られてるのか」と思っていたので、今記憶がないのではなく、当時から記憶がなかった。
母は「黙ってれば終わると思ってんだろ、クズ。そういう奴は社会じゃ生きていけねーんだよ」と言う。そろそろ説教が終わる合図だ。「もういい。時間の無駄。消えろ」と言って、母は立ち去る。
終わったら私は、母からは見えない場所、でも少し探せば目に入るくらいの暗がりで存在感を消して正座する。
この家では常に反省したポーズをとっていないと殴られる。
隠れてもダメだ。被害者振るんじゃないと殴られる。見えると、デカいゴミが視界に入るのはイライラすると蹴られる。
母が家にいて起きている間は私はそっと気配を消す。

…余談だが、そのうち外でも他人から私は見えない存在のようになった。
当番のくせにはるのみぃがいない、と怒る大人の前で「います!私はここです!」と手を振ったが気づいてもらえなかった。これはもう見えていないのだろう、夢でない限り。
自分の勘違いか、夢か、幻覚か、分からなくて何度か試したが、まあ私から見て周りは私のことが見えてないことがあるようだということしか分からなかった。

話を戻そう。
怒られてる時、別に平気だった。
バイト先でも、学校でも、私は常に怒られていたし笑いものにされていた、エンターテイメントの道具にされていた。
私は自分では知らなかったのだが、その間常に微笑んでいた。
高校1年生の時、部活の人に「さっきはるのを見かけて、笑ってるから誰かといるのかと思ったら、はるの1人だったの。1人で笑ってたの。誰かいるみたいに。怖いよ?」と言われて初めて気づいて、吐きそうになった。
ヤバいと思ったし、笑いたくないと思った。でも、顔は勝手に微笑んでいてコントロールできない。
母はよく私を「顔が動かない粗大ゴミのマリオネット」と言った。「眉毛動かせましゅかー?あはは、動かしてるの?動いてないよぉ。口は動かせましゅかあ?マジウケるわー」と言ってからかった。
鏡を見るたびに、どうして私の目にはハイライトが入らないのだろうと不思議だった。角度を変えても、光を当てても、瞳孔に光が入らない。これも私がおかしいからだろうか。
学校では「モナリザ」というあだ名がついていた。微笑んでいるのに目が笑ってないからだそうだ。どうやら私が見えてるものと他人が見えてるものは一致しているらしい。よかった。

そう、怒られるのは怖くなかった。
怖いと思ったのは、自分で働き始めて人並みに稼いで周りから認められることも出始めた頃からだった。

22歳の時だ。当時20歳年上だった彼氏も私も仕事がなく、日本に住んでられなくてインドネシアに渡った。
インドネシアで彼が始めようとしていた事業は早々と失敗の色を濃くし、私は元アニメーターで漫画家だった彼に絵を描かせてお金を稼ごうと思った。
彼の絵で仕事を獲ってくると「僕は先生だよ、そんな下っ端仕事やりたくないね」と言われた。困った。
仕方なく私が描いた。取引先から詐欺だなんだと怒られる。当たり前だ。
毎日寝る時間以外ずっと絵の練習をした。数ヶ月経つとアシスタントという形でなら自分でも少しずつ稼げるようになった。1年も経つと自分の描いた絵がお金に変わるようになった。

その頃初めて、怒られるのを怖いと思った。
描いた絵は取引先から赤線だらけで返ってくる。「こっちはお金払ってるんですよ?それなのに、ただの進行管理の僕の方が絵が上手いんですよ?恥ずかしくないんですか、早く辞めたらどうですか。迷惑だなあ」そんな文章と共に、納品クオリティになるまでダメ出しが続く。

メールを開くのが、怖かった。
彼氏の裾をギュッと握って読むか、代わりに読んでもらうことでなんとか対応した。
どうしても自分で直せない時は彼氏に直してもらった。
そして彼氏もダメ出しを食らっていて(良くなっていたのに急に悪くなった!今までの注意が全部無視されている!と怒られていて、笑ってしまった)、20年先輩でも同じように怒られていることに胸を撫で下ろしながら、怒られる機会は絵の上達と共に減っていった。

そこからしばらく、怖いと思うことはあまりなかった。克服したんだと思った。
久しぶりに怖かったのは、6年前。
私は銀行の立ち上げに参加していて、総務事務の仕事からIT業務に異動になり、会社全体のシステム問い合わせ担当を1人でやることになった。
毎日8時には会社に着き、PCを立ち上げると数十件の問い合わせがある。問い合わせとは言うが、内容はほぼクレームだ。
「システム部署は動いてくれないんですか」
知らないおばちゃんから急にこんなチャットが届く。もちろん何の話かはさっぱり分からない。
「私たちに全部押し付けて何様なんですか」
誰様か分からないけど、とりあえず代わりに謝る。

毎日50人近くから、対応できない顧客クレームを早く解決しろだの、警察対応をやれだの、監査対応のデータ取得、システム部門からの返答がないことのクレームが届く。
間違った回答をすればものすごい勢いで激怒のチャット、そしてリーダーを引き連れてゾロゾロと関係者が来て怒られる。
怖いなんて言ってられない。分からなくても仕方ない。でも全力で必死に対応するしかない。当時はそう思っていた。

月曜日になってPCを開くと、足が震えてお腹がドスンと重くなった。午後には全身が震える。でも、怖くはない。
気づくと土曜日になっていて、記憶が飛んでいた。ドラマをぼーっと流し見てると、徐々に心が戻ってきて涙が流れたり笑ったりして、月曜日にまた死んでいく。そんな日々が続いた。

怖くない。
いや正確に言えば未読のメンションの一覧を見た時は怖い。
でも、内容を読めば、冷静に分析すれば、怖いことなんて何もないって私は知っている。
しかし、メールやLINEを読むのも、怖くなり始めた。
特に私が悪い時、体調が悪くて休日の予定を断る時など、何故かLINEの返事を見ることができなかった。
怖い。
何が怖いのか自分でも分からない。でも、手が震える。

当時婚活もしていて、知り合う人からは辛辣な言葉をもらうことも多かった。
「もっと普通の人だと思ってたのに」
「ちょっと変わり者すぎて。え、本当に結婚できるとか思ってるの?」
「お前みたいな気持ち悪い女、相手にするやついるの?」
「その歳で理解できないって…人と会話できないの?」

心の中では、私も悪かったかも。せっかく注意してもらったんだし、頑張って治そう!と、思った。恋愛は全然やってこなかったから、数をこなすしかない。気にしてたら人生が終わっちゃう!

会社では後輩から、なんかいつも人を傷つけないように言葉を選んで選んで発言してる感じですよねー。何を考えてるかわかんない人って私苦手なんですよねーと笑われた。そうかな?と私も笑った。
言葉を選ぶのは悪いことじゃないだろう。

私の仕事はサポートSEから、花形と呼ばれるフロント業務に変わった。
ネット銀行において、フロントは銀行処理の全てを理解しているスペシャリスト集団だということになっている。設計書があるからね。
誰もできない仕事は全てフロントが引き取る。拒否権はない。
朝8時から23時までの仕事に加えて深夜・休日対応も追加された。指示は絶対。そして周りのおじさんたちが次々と倒れていく。

そんな中で、私はガンダムになった気持ちでいた。私の体は四角い機械みたいなものの集合体で、ああもう無理だなあと思うと足を宇宙に落とす。機体が軽くなる。少し動ける。
また、腕を落とす。
五体不満足になった辺りからドラマくらいでは心が戻ってこなくなった。

会社は、未経験という名の経験3年程度の新人を大量採用し始めた。
3年て私より先輩じゃんと漏らすと、誰もが「ずっとこの仕事だったんじゃないですか?」「ベテランだと思ってました」と言った。
いや、助けてください。素人ですよと笑ったけれど、謙遜としてしか受け取ってもらえなかった。

2年前、燃え尽き症候群になってから私はもう完全に体が動かなくなっていた。ヘラヘラ微笑むことくらいしかできない。
上司は動かなくなった私を毎日罵った。管理職だったので、チームメンバーに私がどれほど役に立たないかを笑いながらなじるように滔々と話した。
他のメンバーが同じことをやられているのをずっと見てきた。自分の番が回ってきただけだ。
それよりも、体が、重い。


宇宙に落としてきた機体はどうやったら体に戻ってくるのだろう。
今こうして文字を書いている間も腕が震えて、胸が震えて、息ができないのは、私に胴体と頭しか残ってないからだろうか。
怖いのだろうか。

何が怖いのだろう。
またあの時みたいに、怒られるんじゃないかって、漠然と考えてしまう。
頭ではないどこかが、震えている。(脳じゃないよ)


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