泣いた日。においを探した日。
久しぶりに声を上げて泣いた。
お風呂で、シャワーを浴びながら、大声で泣いた。
泣けてきた。泣こうとか、泣いてる自分に酔うわけではなく、涙が、というか、泣きたい、感情がみぞおちから突き上げてきたのだ。
男に振られたわけじゃない。
多分、男絡みではよく泣いている、はず。
その日は悔し涙を流した。
バイトで手を切った日。血がドバドバ流れた日。
給料日前の予想していなかった出費をした日。
思ったより帰りが遅くなった日。
人間には、悪いことが重なる日がある。
昨日はめちゃくちゃにいい日だったのに、というタイミングでやってくる。
私はプライドが高い。
たぶん、そのプライドを守るためにも努力するし、勉強するし、沢山働く。
でも最近は、そんなプライド捨てちまえ!という気分になったりしていて、
初めて会った人に、私はこんなものです、とか言わずに、
西加奈子とごはんと、恋愛が好きです。
なんて言えたりしちゃっていた。
でもやっぱり性分は変わらないし、負けず嫌いは変わらない。何より典型的な獅子座な性格を捨てることは、積み上げられた過去の自分が許してくれなかったみたいだ。
仕事。私は仕事で上司とぶつかって泣いた。
悔し涙だ。プライドがヅダボロだった。
前のnoteでも書いた通り、私のライティングがまだまだ未熟で、編集も手間を掛けてしまっていた。
そのことで、申し訳ない気持ちはたしかにあったし、次こそは!編集を少なく!と毎回意気込んで書いていた。
そもそも、私はライター採用で今の会社に働いていない。企画制作面で一緒に働こうと言われたし、ビジネスライティングは向いていないことも言われていた。
だからこそ、勉強しながらコラムニストになればいい、自由に働いてくれたらいいと言われてジョインした。
実際はというと、流れで毎週一記事任されるようになり、企画会議よりも、はじめてのビジネスライティングに右往左往している毎日だった。
とにかく必死。何度見直しても、編集される。何で気づかないんだ〜!の繰り返しを重ね、
自分でいうのもなんだが、だんだん書くにつれて、上手くなっているのも分かった。
編集が少なかったり、言葉がするするでたり。
前回書いたように、今の生活に仕事を組み込めなくて、生理が止まったりもしたけど、
また生理は復活。友達や家族に会う時間も取れるようになってきた!
という矢先。
今週の記事は、びっくりするくらい修正が入った。
それも結構自信のある記事。やっと自分らしく且つビジネスライティングができたじゃん!の矢先。
「来週からは編集も少なくなるようにしましょう!」
と言われた。
もう分からなかった。いや!分かるんだが、修正されたら、でも、何で元の文じゃだめなんだ。それに勉強段階の私は編集を二人担当される。一人目の編集で直したところを、二人目の編集で元に戻るような編集にされることもあった。
私は思わず、
「混乱してます!勉強段階ならもっと分かりやすく教えて下さい!!!」
というような趣旨の返信をした。
それが引き金で、相手に火がついた。
メールでの冷戦ほど、むかむかするものは無い。
ビジネスである以上、プロとしてやってくれ。
他の媒体じゃ、通用しない。
noteでやれ。
などなど。
はじめは、分かりやすく教えてほしい、と言ったところから、今の私を全否定されるとこまで話が及んだ。
いや、分かるんだ。相手の気持ちも。採用の時や、日々調子がいい時に、朝日さんはそのままでいいよーなんて言っても、
仕事が立て込んでいたり、私が結果を出せなくなれば、イライラする。
勉強段階だなんだと言ったところで、ビジネスには変わりない。
でも!いまそれ関係あるんかああああ?!
ということまでいわれると、
こんな性分なもんで、
「とりあえず、修正負荷をかけなければいい問題なので黙りますね!悔しいので来週頑張ります!」と、返信。
もうひとりの編集の人をCCで巻きこみ、その方にも謝り、熱くなった自分にも、結局、結果を出せばそれでいい事実も、全てが悔しかった。
結果を出せない私が悪い。
色々言われたことは頭にきたけど、
それで片付けて、片付けられてしまうレベルに自分が今いることに、腹が立った。
もう書きたく無い。こんな、こんなことを言われてまで、必死にやっていた今までを見ている人に、結局結果だよ、なんて言われたら。
知ってるよ!(もやもやいらいら*1○+926×〒9○2538591491)
と心の中は真っ暗。
ああ、神さま。少しの余裕もいけませんか?
ちょっとだけ、自分のリズムをつけたり、好きな人と出かけたりしてはいけないのですか?
昨日は好きな人と過ごしたから。明日少しお出かけしようとしていた矢先だったから。
だからですか?
そんな風に思ったら、私は一生せこせこプレッシャーを受けながら、正しい、ことだけ、していればいいのか、みんなみたいな休息や幸せをとるからこんな辛いことが起きるのか。
なんて思っていたら、涙が、泣きたいが、体の底から止まらない。
泣いて泣いて泣いて、顔はぱんぱんに腫れて、真っ青でヘロヘロで、ベッドに倒れこんだ。
そして携帯を開くと、
あれ?
あれ?
あれ真っ暗。
通知音はするのに、真っ暗。
携帯も壊れていた。
ああ、なんてこった。ライティングも仕事の連絡も携帯がないとできない。
もう、バチが多すぎやしないか。
怒る気力もなく、眠りについた。
朝起きて、なんとかともだちと連絡を取り、お出かけをしたものの携帯の修理代は無いし、仕事のメールが届いていないか心配で、それどころではなかった。
ああ、私は仕事に身も心も支配されている。
どうあがいても、携帯は壊れたままなので、私は修理代を借りに行くという名目で実家に帰った。
逃げたかった。いまの状況から。
その道中、長い電車の中でぼーっとするのは考えごとをしてしまうため、本を読んだ。
大好きな西加奈子のエッセイ。
ごはんぐるり。
そこには生きた文字が詰まっていた。エジプトでのごはん、入院中の牛乳の味、活字のエッセイレシピのはなし、ゲテモノの料理。
においがした。文字を追って、においがしたのだ。
ああ、これだ。私が好きなのは。
こんなことばたちに私は育てられたのだ。
プライドがなんだ、結果がなんだ、言った言わないそんなの文章には関係ない。
読む人には関係ない。
きっと、この本だって西加奈子とはいえ、めちゃくちゃに売れてるわけではないと思う。(西さんごめんなさい。でも聞いてね。)
だけど、この文章に救われる人はこの私以外にもいるはずなんだ。
私は、私が頑張っていたことは、読者のためなんかじゃない。
会社のためだ。
仕事にまみれ、神さまを恨み、生活を楽しめない人のことばを誰が読みたいだろう。
西さんは人生を生きていた。仕事じゃなく、人生だ。
私は人生を生きているだろうか。
腹が減り、においを探し、味わい、眠くなったら寝て、起きて、喉の渇きを感じているだろか。
ただ、腹を膨らませる。幸福感を得るために食事していないだろうか。
こんな、人として人間活動ができない私に読者が恋い焦がれる、思い出す、好きと思える文章は書けない。
と、電車に揺られて、ごはんぐるりの文字を咀嚼しながら思ったのだ。
実家で、母の作った料理を食べた。
味わって手作りのごはんをたべたのはいつぶりか。
おかげで2キロ太った。幸せ太りだ。
上司には謝ろうと思う。
でも、意地やプライドで結果を出すことはできないと、しっかり着実に読者に届く文章を書きたいと伝えよう。
何と言われるか分からないけど。
太った代償はデカイ。かがみに映った丸い顔をみるとため息が出る。
でも、げっそりと白い顔で、張りの無くなった胸を見てプロテインバーを食べるより私らしい。
次の課題は、美味しいものを食べながらダイエット。
あれ?矛盾?
これも私の人間活動だ。
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