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「ごんぎつね」を読んでみる 6

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 そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。兵十は物置で 縄をなっていました。それでごんは家の裏口から、こっそり中へはいりました。
そのとき兵十は、ふと顔をあげました。と狐が家の中へはいったではありませんか。こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが、またいたずらをしに来たな。
「ようし。」
兵十は立ちあがって、納屋にかけてある火縄銃をとって、火薬をつめました。
そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。ごんは、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。家の中を見ると、土間に栗が、かためておいてあるのが目につきました。
「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。
「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
 兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。


そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。

ごんは『引き合わない』と思っていたのに、兵十に栗をもっていく。

ごんの兵十を好きだと思う気持ちの強さ。

こないだうなぎをぬすみやがったあのごん狐めが、またいたずらをしに来たな。

兵十はごんがうなぎをぬすんだと思っている。

ごんは『ちょいと、いたずらしたくなった』だけ。

兵十にとってごんは悪いきつね。

兵十はごんが栗を持ってきてくれていることを知らない。

兵十はごんの気持ちをまったく知らない。

【兵十のごんに対する気持ちと、ごんの兵十に対する気持ちがまったくすれ違っているんだ。】

兵十はかけよって来ました。

ごんから見た兵十。

ようやく自分を見つけてくれたというごんの気持ち。

家の中を見ると、

兵十はごんがいたずらをしたんじゃないかと思って家の中を見た。

ごんがまだ悪いきつねだと思っている。

「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。

栗を見つけた兵十は、ごんが持って来たのだとわかった。

神さまだと思っていたのがごんだった。

「ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは」

兵十のごんへのありがとうという気持ち。

兵十のごんに対する気持ちが変わった。

ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

兵十がごんの気持ちに気づいてくれたという、ごんのうれしい気持ち。

【ごんと兵十の気持ちが、はじめてぴったりかさなった。】

【気持ちが通じ合うことの大切さ。】

兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。

兵十はごんをじゅうでうってしまった。

ごんにあやまりたくてもできない。

取り返しのつかないことをしてしまったという後悔。

青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。

じゅうをうったということ。

ごんが死んでしまったということ。

【ごんは兵十ともう友達になれない。】


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