【文字迷宮】「日の名残り」カズオ・イシグロ(読書感想文)
流行りのガラスペンを買ったのでタイトルはそれで書いてみました。
あとは愛用の style fit ベビーピンク 0.28です。
この文章にこの字体、絶対黒の方が映える・・・!
分かってはいてもピンクが好きすぎて🤭
🔶【概要】
今はアメリカ人に雇われている老執事が、旅の道中、国を動かす英国紳士に仕えていた日々を思い出すー
そんなお話です。
🔶品格
時は二つの世界大戦の折、激動する世界で貴族たちが屋敷に集まり国の行く末を決めていく。
そこには庶民は政に口出しすべきではないという、特権階級の旧態依然とした価値観もあります。
主人公スティーブンスはそんな価値観の元、主(あるじ)を主(しゅ)として仰ぎ、影から支える立場を貫きます。
「自分」を表に出さないことが、彼にとっての「品格」なのです。
🔶人生のままならなさ
ここに書かれている「紳士淑女」は、英国貴族たちのことではなく、キリスト教的価値観であれば「神」
人によっては「宇宙の真理」と表現したり・・・日本だとなんという呼び名がふさわしいのでしょうか。
「運命を司る者」なんて言うとかなりファンタジー色が強くなりますが。
何かそういう、人の手の届かないもの、そういう風に捉えました。
たしかに、この世界の中で自分でコントロール出来る範疇のなんと狭いことか。
🔶結果ではなく
私は去年の前半くらいまで、「結果がすべてとは言わないが、いうて結果が伴わないと」と思っていました。
けれど俯瞰して見ると人生って最後は必ず沈没する航海なんですよね。
死んで終わる。
それは100%確定しています。
そうすると意識して経験出来ることはすべて航海の道中、過程なんですよね。
そう思った時、もっと過程を楽しまないと、航海を楽しまないと、って思いました。
それまでの私は、「効率厨的な考え方が嫌い」という言葉を聞いた時、「えー??」と思うくらいには効率を意識した考え方でした。
気が付けばあらゆることにタイパを持ち込んでいて。
でも「航海を楽しもう」って思った時、タイパを最小限に抑えるよう考え方をシフトしたんです。
「考え方を変える」なんて時間がかかるかと思いきや、「タイパとかもうやめや」と意識した瞬間に、そういう自分が消えていったように思います。
きっと元々の自分は効率なんてあまり意識しない人で、その上に社会の忙しなさや、とくにネットに溢れている一部のライフハック的価値観が知らぬ間に積もっていたんじゃないかな、って思いました。
「やめや」と思った瞬間に積もっていたものが落ちて、本来の自分が出てきた感じもします。
「結果はどうあれ」、心血を注いだなら、自分なりの精一杯の想いを込めたなら、人生に満足する十分な理由になる。
上の抜き書きした文章にとても感銘を受けました。
🔶夕方がいちばんいい時間
「『夕方がいちばんいい時間』という言葉が「日の名残り」の最後に書かれている」
そう知った時に「日の名残り」を読もうと思いました。
「夕方がいちばんいい時間」その言葉にたどり着く過程を経験したい。
そう思って読み進め、この文章に行き当たった時、予想していたよりも温かい気持ちになりました。
私ちょっと・・・人生の秋を迎えた老人が、けっして夏に戻れぬ自分への慰めに言っている言葉のように思っていたんですよ。
でも全然そうじゃなかった。
語ったのは主人公が海で出会った老人です。
夕暮れの海を見る彼にはまった悲壮的な雰囲気はなく、心から夕方を楽しんでいました。
この小説を、ここまで過程を踏んで読んできて良かったなと思いました。
それと同時に、主人公が歩んできた濃密な時間、その内容と長さを思うと、私ごときが自分の人生の夕方を感じるなんておこがましいことだと思いました笑
私はまだ3時のおやつを食べた後くらいかも、それも夏の😝
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