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不確実性が高い物事に直面した時、PMは「わからない」という感情とどう向き合うべきなのか?

はじめに

こんにちは。GMOペパボ株式会社で、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI byGMOペパボ」のPMをしているマキヤマミルテです。
この記事は、地味PM Advent Calendar 2022 3日目のエントリーです。


自社サービスの話になりますが、今まで「オリジナルグッズ」という物販の領域でサービス提供をしていたSUZURIが、クリエイターの皆様の創作活動の幅を広げる取り組みとして、11月16日から動画や音楽などデジタルコンテンツの取り扱いをスタートしました。(現状は事前登録のみ可能です)

このプロジェクトは今年の夏頃から始まり、自分が担当PMとして進めていたものだったのですが、今までのSUZURIにはなかった「デジタルコンテンツの販売」という新しい概念を取り入れるにあたり、正直最初はわからないことばかりで、特に最初は久々の「全くわからん」という感情が大半を占める日々が続き、「こんなわからないことばっかりで、私って…」と、正直PMとして自信を喪失しそうになることも多々ありました。

ただ、プロジェクトを進めるうちに、だんだん「わからない」ということをポジティブに捉えられるようになり、今ではわからない状況に直面することへの耐性に少し自信がついたように思います。

ということで、このnoteでは、不確実性が高い物事に直面した時、PMとしてこの「わからない」という感情とどう向き合うべきなのか、自分の中で言語化してみたことを記していきたいと思います。


「わからない」という状況に直面する日々が続いてわかった大事なこと

1. 「わからない」状態にある自分を認め、わかるためには何をすれば良いかをまずは明確にする

今回のプロジェクトは、自分が0から起案したのではなく、まず会社の方針として新しい領域(=デジタルコンテンツ領域)に展開していく、ということが決まった上で、それをサービスにどう落とし込んでいくか、というところから自分が上司と一緒にアサインされた案件でした。既存のサービスにはなかった新しい概念でもあり、やるべきことや開発工数も未知数で、だからこそ、久しぶりに「わからない」が大半を占めるところからスタートする案件であったがゆえに、最初はとても悩むことが多い日々でした。

あまりにわからないことが多かったので、1on1で、上司に「久しぶりにこんなにわからないことが多い案件に携わって、「あれもできてない、これもできてない」という焦りの気持ちに日々苛まれている」という旨を吐露したら、こんな返答が返ってきました。

"わからないというのは、そこまでネガティブな話だとは思いません、わからないことを率先してわかるようにする役割が今のミルテさんでしょう"
(大体こんな感じのことを言っていたと思う)

PMとして、自分はビシバシいろんな事を決めて、みんなを引っ張っていかないと!そのためには、こんなにわからないんじゃPMとしてダメなんじゃないか、という気持ちになっていた自分にとって、とてもハッとする回答でした。
「わからない」状態にいる自分を責めても何も意味がない。重要なのは、わからないことはわからない、できないことはできないと認め、今わかっていない要素の解像度を上げるために、今何をすべきか、誰を巻き込むべきかをまずは明確にして、そこから不確実性を減らしていくことなのだ、ということにここで気づくことができました。

2.わからない、という気持ちを表明することは、恥ずかしいことではない

前述の気づきで少し肩の力を抜くことができたあと、10/7に開催されていた日本CPO協会主催のイベント「Product Leaders2022」のインタビュー動画で、NotionのCPOであるMadhu氏が以下のような発言をしており、改めて「わからない」ということを真摯に受け止めた上で周りを巻き込んでいくことの重要性を実感しました。

Notion CPO Madhu Muthukumar氏インタビューより

(過去の自分へアドバイス、というテーマの回答として)
周りは専門家ばかりですから、自分は専門家ではなく信頼できるパートナーになりましょう。プロダクトマネージャーは単純な質問をする立場にありますし、単純な質問はチームが立ち止まって考えるきっかけになります。「なぜその方法でなければならないのか」「こっちはそんなにダメなのか」こうした質問は確かに言い出しにくいですが、私の経験上最も効果的な質問だと思います。若い頃は、良い仕事をしていると思われたくて、いつも自信満々に見せかけていました。

Product Leaders2022, Notion CPO Madhu Muthukumar のインタビューの発言より抜粋

プロジェクトを進めるにあたり、「もしかしたらみんなにとっては当たり前かも」と思っているものでも、とりあえず「これってどういうことなんですか?」「これってなんでこうなってるんでしたっけ」という素朴な疑問を投げかけた結果、「あ、そういえばそこわかってなかった…」なんてことは多々あります。
だからこそ、PMが率先して素朴な疑問(a.k.a そぼぎ)をライトに投げかけていくことが、わからないことをわかるようにする上ではとても重要なことだと実感しました。

最近でも、PMは全部わかっていないといけない、という気持ちについなってしまう時、この言葉を思い出すようにしています。

3.時間をかけて考えるべきところと、そうでないところを自分の中できちんと把握する

わからないことをわかるようにする上で、わかるようにするためのアクションがわかったあと、「早く答えを出したい」という気持ちになることも多々ありました。特に、大規模なプロジェクトは、ゴールが遠いからこそ、時間配分を見誤るといろんなことがずるずると後ろ倒しになってしまうリスクもあります。

一方で、「なぜやるのか」「何を大事にしたいのか」など、大事な部分にしっかり考え、他のメンバーと同期する時間に投資することは、その後の進捗やパフォーマンスに如実に良い影響がありました。だからこそ、「何に時間をかけ、何に時間をかけないか」ということをきちんとPM側で把握することはとても重要なことだということを改めて学びました。

まとめ

改めて、PMとしての自分の仕事は「全てに精通して、常に最高の答えを持っている存在としてまわりをリードすること」ではなく、「周りのさまざまなプロフェッショナルを巻き込み、それぞれの知見や持っている情報を集めてわからないことをわかるようにしていき、その情報を元に現段階での最適な意思決定をして物事をきちんと前進させること」だと考えています。(もちろん、会社の状況によってここは様々なケースがあるかもしれませんが)

そのためには、わからないことはわからないと認め、どうしたらそれがわかるようになるのか?に目を向けていく必要があります。

このnoteを読んでくださった方の中で、「わからない」に直面して悩んでいる方がいらしたら、少しでも参考になれば嬉しいです。


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