出来ることを探し続けた11年間 - 311と私のこと、TBS Newsでお話しました。
私は311 東日本大震災があった2011年まで日本にいて、翌年にNYに国費留学でやってきました。私にとってこの震災は大きな大きな出来事で、ずっと心に重くそのことがのしかかっていました。
震災からずーっと抱え続けてきた思いについて、去年は読売新聞で取り上げてくださったのですが、今年はTBS Newsが取り上げてくださいました。おかげさまで、この度はじめて、このことについてじっくりお話している動画が、残ることになりました。
こんなに心が痛い、重い思い出でも、音楽にできるんだ
震災での体験を音楽にできないだろうかということは、ずっと考えていたのです。2014年にはじめて書いたのはHope for Hopeという曲。これは
という気持ちを唄った曲でした。
2015年にはIf I Were a Wind of Spring という曲を仕上げました。これは
という気持ちを唄ったものでした。ジャズ界のヒーローSteve Wilsonさんが録音してくれました。
この2曲を演奏し、震災の話をしつづけました。日本各地でも、オーストラリアでも、NYでも、フィラデルフィアでも、いつも、観客の皆さんは涙して私の体験と音楽を聴いてくださいました。
これは私にとっては驚きだったのです。
こんなに心が痛い、重い思い出でも、音楽にできるんだ!
音楽にすることで、言葉では言えない感情を分かっていただけるんだ!
と衝撃を受けましたし、思いを一つにすることで、私も救われ、観客も感動して心の痛みを癒やしてくださっているようだ…!!!
と気づいたのです。音楽ってこんなことができるんだ!と、音楽の凄さを思い知る体験になったのです。
311に関する作品を作ってみたい!誰も仲間はずれにならない作品を作りたい。
2019年のお正月、Jerome Foundationという団体から新進芸術家に与えられる報奨金をいただける、と電話がきました。そのときに閃いたのが「このお金で、もっとちゃんと取材して、311に関係する作品を作ってみたい」というアイディアでした。
電話をもらった時、私はNY生活7年目。移民であり、アジア人であり、不安定な職業(音楽家)である私は社会的な弱者で、不公平な体験をたくさんしていました。その時思い出したのがやはり、震災の体験でした。
震災当時って、注目されている場所にばかり支援物資が送られ、本当に必要な方がいても目立たなければ届かない、ということがありましたよね。被災者の方が「他にももっとひどい目に有った方がいるのだから」と我慢してしまうことがあったり。不条理なことがたくさん起きていましたよね。
2019年は、10年の節目の2年前でした。10年の節目が来ても「私は注目してもらえなかった。私だって311で、人生が変わったし、辛かったのに」と思う方がたくさん残っていたりしたら、とても嫌だな、と、ふと私は思ったのでした。
それで、いろんな立場の方を取材して、おひとりおひとりの人生にスポットライトを当てて曲を作るプロジェクトをやりたい!と思ったのです。311で人生が変わった方に、「あなたの人生も悲しみも、頑張りも、大事なのです。誰かと比べてより大事だとかより大事じゃないなんて、無いんです。」と言いたい!と思ったのでした。
曲を書くことで、その方の人生がどんなに素晴らしいか、どんなに意味があることなのか、そこにスポットライトがあたって欲しいと考えました。また、様々な人生を取り上げることで、なるべく幅広い体験をされた方が「私も共感できるな」と思ってくださるのではないかと想像しました。どんな方をインタビューしたかは、こちらでご覧いただけます。
そうして、作り始めたプロジェクトがUnbreakable Hope and Resilience プロジェクトで、その1つ目の作品が『Your Future Story あなたのこれからのことを』だったのです。
この度、TBS Newsで取材いただき、泣きながら正直にお話をしたことで、やっと少しだけ、胸のつかえがとれ、誰かの役に立てたのかもしれないという気持ちにも少しだけなれたように思います。誰かに聴いていただきながら、本当の気持ちを認める、話す、って大事なことなのだと思います。
みなさまは、辛い体験を誰かに、お話できていますか?周囲の方にでもカウンセラーにでも、少しずつお話ができるようになりますよう!
この度のお話は、記事の形でも残してくださいました。TBS Newsの久保田智子キャスター&皆様、本当にありがとうございました。
※日本時間の4/20朝8時よりこのプロジェクトのコンサートをオンライン中継できる予定です。また詳細を投稿いたします。
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