ジャズトロンボーンの王者Slide Hampton が街の英雄になり、私たちはお祝いのライブを。
2023年5月の頭に嬉しいライブがあった。
Slide Hamptonという人を皆さまご存知だろうか。
ジャズトロンボーン界の英雄で、アメリカではジャズの人間国宝のような賞NEAジャズマスターにも選ばれた彼は、2年ほど前に惜しまれつつ90歳目前で亡くなった。私は彼が80代になってからVanguard Jazz Orchestraのリーダーであり世界有数のバストロンボーン奏者であるDouglas Purvianceダグラス・パーバイアンスに紹介してもらって、仲良しになった。
私にとって家族のような存在になったスライドをおぼえて、このイベントは開かれた。
スライドが亡くなる直前まで住んでいたのはOrangeという名前のニュージャージー州の小さな街だった。その街の英雄を讃える賞のようなものにスライドが選ばれて、祝賀会が生前彼が住んでいたアパートの広場で行われたのだった。
スライドはとにかく、ジャズトロンボーン奏者なら誰でも憧れる大スターだった。
演奏テクニックは超絶神レベルで、そのうえ音が深くて素晴らしかった。通常より大きなベルの楽器を使ってより太い柔らかい音を出そうといつも挑戦していた。その上ソロのフレーズも深く心に沁みてきて、書く曲もかっこいい曲ばっかりだった。
その彼が「ワールド・オブ・トロンボーンズ」というプロジェクトを始めたときに皆、びっくりしたそうだ。なにせ「トロンボーンの世界」という名前のグループで、トロンボーンばかり8人集めたり4人+伴奏楽器を付けて演奏したり、とにかく地味だと思われていたトロンボーンという楽器の凄さをガンガンにアピールする内容だった。
そこに当時のトロンボーン大スターたちを集めたので、これまた注目を浴びて。若きダグラスは、その中に選ばれて、その活動によって超有名になったらしい。以下の録音でRound Midnightのメロディを吹いているのがダグラス。
今回のイベントでは、スライドといえばその「ワールド・オブ・トロンボーンズ」だろ!ということになり、当時の楽曲をやることになったから、集まったメンバーがすごかった!なのに会場はアパートの前の広場という緩さでこのギャップが最高。
私は生前のスライドと家族のようだったので、この超強力なバンドに入れていただけた。
誘ってくれたダグラスにお礼を言ったら、you earned it みぎわが自分でこの席を獲得したんだよと言われてじーんときた。
Band:
TROMBONES
Rob Edwards
Jason Jackson
Steve Turre
Robin Eubanks
Clarence Banks
Peter Lin
Doug Purviance
Max Seigel
PIANO
Migiwa Miyajima
BASS
Tom DiCarlo
DRUMS
Jerome Jennings
SPECIAL GUESTS
Frank Basile - bari sax
Todd Bashore - alto sax
Freddie Hendrix - trumpet
プログラムは名曲揃いで、いずれもスライドのアレンジによるもの。
Chorale (just trombones)
The Way
Caravan
Just friends
Milestones
スライドの家に行く〜スライドはもういないのに〜というこの事実ザワザワして最初は変な気持ちで、パステルカラーの彼のアパートの壁が遠くから見えたときは息が止まるかと思った。でも到着したら、スライドを大好きだった友達に山ほど会えて幸せでいっぱいに。
みんなでスライドの家にいる感じが懐かしかったなー!
ここ最近何故か異常なほど働き詰めで一つ一つのイベントを報告する時間が足りず困っており、、、写真多めにすれば投稿ができるかな?と気づいたのでこのやり方をしばらく試す予定です。気長に見守っていただければ幸いです😃
最後に、私がYouTubeで見つけた中で一番好きなスライドの動画をご紹介。これ、曲を書いたのも演奏もスライド。こんなに凄い作曲家なのにいつも私に「ミギーが作曲のレッスンしてくれない」と文句を言い続けていたのはギャグのようであり涙が出そうになる感動的な逸話でもあり。スライド、大好きでした。I miss you!
はっ、このビデオも出てきた。スライドの85歳のお誕生日ライブ!このバンドのリーダーは上記したバリトンのFrank Basile(フランク・バシリ)で。フランクの左は私のビッグバンドのメンバーでもあるSam Dillonだ。後ろの席のリードトランペットTony Kadleck さんとは今週来週でやっている仕事で一緒。この日私は「スライドの家族が座るテーブル」に光栄にも座っていて、色んな人から「あの人どう見ても家族じゃないよねえ、アジア人だよねえ」という目で見られつつも凄く誇らしく有難かったのだ。スライド用の椅子をささっと用意している気が効く人がダグラス。私はこれをすぐ斜めで見ていて、脳卒中で倒れて復帰したあとで85歳でこんなに吹けるこの超人を感動しながらじーっと見ていた。人の人生って本当に深くて面白くて、何歳になってもその人はやっぱりその人なんだなあと思う。
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