ケルアンの夏、泣く大人とイスラームの太陽
18歳の夏、初めてチュニジアに渡る飛行機で読んでいたのは、江國香織の『泣かない子供』というエッセイだった。対になる『泣く大人』と一緒に買ったものの、エッセイが苦手で3年ほど読まずに置いていたその本の、『月の砂漠のツアーバス』という章は、彼女のチュニジア紀行文だった。
私が "泣かない子供" として家を出て就職したり、チュニジアに行くことになったりしたのも全て、立派な運命だったのだ、と思った。神様が決めたことなのだから間違いないと。
江國香織が憧れ、江國香織に憧れた通り、こ