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21歳の夏、紀行文

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夏を終わらせたくないので、 ソウル、香港、ローマ、ナポリ、モナスティル、ケルアン、ナントに飛び出しました
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2019年8月の記事一覧

大人は好きなタイミングで夏を終わらせることができる、なぜなら大人だから

みんな、「夏は終わった」と言う。 小さな頃の私にとって、夏の終わりとは8月31日の夏休みの…

ソウルの夏はどうしても苦しくなる

雨が降ったらしく、とても涼しい気候だった。 仁川国際空港は少し肌寒いくらいだったので、夏…

香港のこの夏、世界にとって特別な夏を見ないふりしてすり抜ける

免税店にシャッターが下りた深夜の空港はひんやりしているのに、みな忙しなく「パスポート!」…

イタリアの美しい夏に思いを馳せるのは間違いか

立体駐車場の出口をくぐった瞬間に、楽しみにしていたイタリアをすぐさま抜け出したくなった。…

ローマでは夏でなくともガチョ・エ・ペペを食べる

もう午後の3時に近いのに客の多い、レストランテ・イル・ピッコロ・モンドのガチョ・エ・ぺぺ…

ポンペイの夏、イタリアらしさが足りないまちかどで発光する猫

朝5時、サマータイムのポンペイでは、あたりはもう朝の空気に守られていて、観光客らしき人や…

ケルアンの夏、泣く大人とイスラームの太陽

18歳の夏、初めてチュニジアに渡る飛行機で読んでいたのは、江國香織の『泣かない子供』というエッセイだった。対になる『泣く大人』と一緒に買ったものの、エッセイが苦手で3年ほど読まずに置いていたその本の、『月の砂漠のツアーバス』という章は、彼女のチュニジア紀行文だった。 私が "泣かない子供" として家を出て就職したり、チュニジアに行くことになったりしたのも全て、立派な運命だったのだ、と思った。神様が決めたことなのだから間違いないと。 江國香織が憧れ、江國香織に憧れた通り、こ