Mifu☘️デザイナーの紀行文

Timersで働く25歳のデザイナー✏️ Sketch, Figma, Ai, Ps, …

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Timersで働く25歳のデザイナー✏️ Sketch, Figma, Ai, Ps, Lr, Af, Ru, Dn, iPadのカリモク家具3Dでなんでも作ります🛠 石川と東京のデュアルライフ中🏠 🇰🇷🇭🇰🇮🇹🇫🇷🇹🇳🇮🇪🇬🇧紀行文🌻

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  • 21歳の夏、紀行文

    夏を終わらせたくないので、 ソウル、香港、ローマ、ナポリ、モナスティル、ケルアン、ナントに飛び出しました

最近の記事

ダブリンの冬、英語に疲れた逃避紀行

アイルランドのダブリンに来た。 英語圏での旅行というものはどうも疲れて苦手である。 旅行7日めにして疲れている理由は他にもあるけれど、そこにいる人がみな流暢に英語を話す姿を見て疲れてしまうなど、なんとも失礼な話である。 2017年にアメリカのニューヨークとノーフォークに行った時にも、看板やバスの電子掲示板、挙句メニューやジャムのパッケージまでが全て英語で書かれているのを見て、そして3割ほどの単語が初見で理解できないことが、私を疲れさせた。 日常をひた隠す家族旅行、旅に求

    • モナスティルの夏、羊の肉と女のドラマチックな人生

      「ドラマが欲しい」 モナスティルの外れで羊のバーベキューを食べながら、Sの妻がいう。もっと仕事も人生もドラマチックにしたいと。それを聞いた男たちが往往にして反対するので、おかしくて笑ってしまった。 チュニジアの女たちは活発で働き者だ。 コーランで推奨される事項について、人々は独自の見解を持っており、信仰心の体現はそれぞれに一任されている。さらさらしたヒジャブを折ってゆるやかなカーブで髪を隠したり、露出を控えたり、金曜にはモスクに礼拝に行ったりする。そしてあるいはしなかったり

      • ケルアンの夏、泣く大人とイスラームの太陽

        18歳の夏、初めてチュニジアに渡る飛行機で読んでいたのは、江國香織の『泣かない子供』というエッセイだった。対になる『泣く大人』と一緒に買ったものの、エッセイが苦手で3年ほど読まずに置いていたその本の、『月の砂漠のツアーバス』という章は、彼女のチュニジア紀行文だった。 私が "泣かない子供" として家を出て就職したり、チュニジアに行くことになったりしたのも全て、立派な運命だったのだ、と思った。神様が決めたことなのだから間違いないと。 江國香織が憧れ、江國香織に憧れた通り、こ

        • ポンペイの夏、イタリアらしさが足りないまちかどで発光する猫

          朝5時、サマータイムのポンペイでは、あたりはもう朝の空気に守られていて、観光客らしき人や土産屋の店主など、すでに人々が街を闊歩している。 昨夜の赤ワインによる小さな頭痛を抱えながら、遺跡に沿って歩き、ロザリオの聖母の巡礼聖堂の大きな入り口に腰掛けてカメラの設定をいじる。 もう5年にもなるのだ。祖父の遺品として、このカメラが私のものになったのは。ストロボ部分にプリントされているFUJIFILM fine pix s6000fdと言う文字もところどころ削れている。15年前の機種

        ダブリンの冬、英語に疲れた逃避紀行

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        • 21歳の夏、紀行文
          8本

        記事

          ローマでは夏でなくともガチョ・エ・ペペを食べる

          もう午後の3時に近いのに客の多い、レストランテ・イル・ピッコロ・モンドのガチョ・エ・ぺぺは、うねりのある太めのパスタに、濃厚なペコリーノ・ロマーノチーズとブラックペッパーを和えたものだった。 私にはイタリアでのルールがあり、ローマではガチョ・エ・ぺぺを食べると中学3年生の時から決めている。 金曜の夜、妹とだらだら観ていたテレビ番組の中で、このパスタは「シンプルながら一番イタリアの素材が引き立つ料理」と紹介されていた。幼少期から一番好きな食べ物がスパゲッティであった私にとって

          ローマでは夏でなくともガチョ・エ・ペペを食べる

          イタリアの美しい夏に思いを馳せるのは間違いか

          立体駐車場の出口をくぐった瞬間に、楽しみにしていたイタリアをすぐさま抜け出したくなった。 イタリアで乗ることが夢だったFIAT500をレンタルして喜び、地中海らしく青い底抜けの空も、燦々と照らしてくる太陽も、全て美しい。はずである。 夢心地も束の間、車内のエアコンは壊れており、ただ温風を吐き出すヒーターと化していることに気が付いた。加えて、目の前には一向に進まない渋滞が待ち受けている。 34℃と、まさに夏として申し分ない気候の中、窓を開けて涼んでみるものの、生ぬるい風のみが

          イタリアの美しい夏に思いを馳せるのは間違いか

          香港のこの夏、世界にとって特別な夏を見ないふりしてすり抜ける

          免税店にシャッターが下りた深夜の空港はひんやりしているのに、みな忙しなく「パスポート!」だの「こちらに並んでください!」だのと大きな声を出している様子が雰囲気をちぐはぐにしている。 香港を揺るがすデモは、4日前香港国際空港にも到達した。深夜にも関わらず、このように人々が忙しなく走り回る様を、私は関心を持ちつつも何もできることがないので達観している日本人女性を演じながら手荷物検査の列に並んでいた。 たくさんの航空便が遅延や欠航を繰り返している。 仁川ー香港便は1時間遅延し、

          香港のこの夏、世界にとって特別な夏を見ないふりしてすり抜ける

          ソウルの夏はどうしても苦しくなる

          雨が降ったらしく、とても涼しい気候だった。 仁川国際空港は少し肌寒いくらいだったので、夏を追いかけているはずが寒くて風邪をひきそうだ。神様、「大人なんだから遊びたいだの楽しみたいだの言いなさんな」ということでしょうか。 知り合いの美容師さんに髪を切ってもらった帰り、「独立おめでとう」と書かれた小旗が電柱に掲げられているのを見た。韓国の8月中旬、いつも私は口を噤む。 おととし、8月15日もソウルにいて、友達に 「明日は韓国の独立記念日だよ」 と言われた。何も考えていなかった

          ソウルの夏はどうしても苦しくなる

          大人は好きなタイミングで夏を終わらせることができる、なぜなら大人だから

          みんな、「夏は終わった」と言う。 小さな頃の私にとって、夏の終わりとは8月31日の夏休みの最終日だった。 その時は、もう休みにも飽きて、やることもなく、中途半端に最後までやったと言えなくもない宿題をランドセルにつめ、みんなに会いたいなとふと思いながら小麦色になったおいしそうな腕を見て、みんなにからかわれるだろうかと不安になったりした。 高校生の私にとっても、夏の終わりはこれまた夏休みの最終日(しかし8月20日頃)であったが、夏の終わりにはヒグラシが鳴き始めるということを友

          大人は好きなタイミングで夏を終わらせることができる、なぜなら大人だから