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ローマでは夏でなくともガチョ・エ・ペペを食べる

もう午後の3時に近いのに客の多い、レストランテ・イル・ピッコロ・モンドのガチョ・エ・ぺぺは、うねりのある太めのパスタに、濃厚なペコリーノ・ロマーノチーズとブラックペッパーを和えたものだった。

私にはイタリアでのルールがあり、ローマではガチョ・エ・ぺぺを食べると中学3年生の時から決めている。
金曜の夜、妹とだらだら観ていたテレビ番組の中で、このパスタは「シンプルながら一番イタリアの素材が引き立つ料理」と紹介されていた。幼少期から一番好きな食べ物がスパゲッティであった私にとって、イタリアは聖地であり、その聖地を一番に感じることができると言うのだから、それはもう食べなければならない至高の食べ物なのである。

去年の夏ローマを訪れた時、初めてガチョ・エ・ぺぺを食べた。言うまでもなく期待以上である。イタリアでは、それぞれのレストランが様々なパスタやチーズを使っていて、どのレストランに入っても全く外れることがない。
「もしやガチョ・エ・ペペと一概に言っても、他のレストランではまた違ったガチョ・エ・ペペを口にできるのでは。」
そう気が付いてしまい、夢を叶えた今日にも、ローマに行けばガチョ・エ・ペペを食べるのである。

料理がとてつもなく下手くそだった中学3年生の私と、小学5年生の妹は、テレビを観た次の日、簡単そうだから作ってみようと、茹でたパスタにバターをたっぷり和え、クラフトのパルメザンチーズとブラックペッパーをかけて食べてみた。これがまた美味しいのである。これだけでディナーとして成立してしまう。ぜひとも、そう騙されたと思って、試していただきたい。そしてローマに赴くことがあれば、本場のそれぞれのガチョ・エ・ペペを堪能していただきたい。

ガチョ・エ・ペペを生み出したローマ帝国時代の羊飼いたちへ、ありがとう。

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