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平安時代はいとおかし

紫式部と清少納言、友達になれるんだったら、断然、清少納言の方がいい。

そう思うのは、中学生(もしかしたら小学校5~6年生かも?)の頃に読んだ『むかし・あけぼの』という小説の影響が大きい。田辺聖子さんが、枕草子を元に描いた清少納言の物語。ここで描かれているのは、ミーハーで、目立つことが好きで、褒められることも好きで、頭の回転が早すぎるから嫌味にもなりかねないのに、絶妙なバランスで憎めない人物。(そして、圧倒的に魅力的で、何があっても慕っていきたい存在である定子さまの存在感が忘れられない。)

平安時代は、十二単を着たお姫様が、お人形のように座っていた時代ではなかった。現代とは少々文化は違えども、日々の生活の中に楽しいことを見つけて過ごしたり、ささいなことで張り合ったり、自分の生きる道を見出したりしていたんだなぁ、と思う。

清少納言はその中でも、何気なく見過ごしてしまう身の回りのことに目をとめ、人に伝える着眼点が秀逸だった。今ならインスタを主戦場にしていたに違いない。(ついでに言えば、徒然草はツイッターっぽくて、更級日記はオタクブログで、土佐日記は「なりすまし」だなぁ、と思うので、人のすることは、何百年経とうとも、ツールが違うだけで大して変わらない。)

そんな訳で、友達にするなら清少納言の方がいいけれど、『むかし・あけぼの』を読んだ頃、「源氏物語」にも、ちゃんとハマった。

『あさきゆめみし』という源氏物語を題材とした漫画がちょうど人気があり、田辺聖子現代語訳『新源氏物語』も出版されたばかりだった。(田辺聖子さんのマイルドさと明るさが、小中学生くらいの私にとって古典に触れるにはちょうど良かったんだろうなぁ。瀬戸内寂聴さんの現代語訳が出版されたのはもう少し後だったけれど、最初が寂聴訳だったら、また印象が違っていたのかもしれない。)宝塚でも、源氏物語を演っていたなぁ。(♪恋のまんだら五十四条~♪という歌だった。)

同じように、「源氏物語」にハマった友達がいて、2人でよく遊んだ。安っぽいビニール製の造花に手紙を結んで、結び文ごっこをしたり、色の違う便箋の端をずらして重ね色目合わせごっこをしたりした。自分だったら、どの女性になりたいか・・・を考えるには、幼すぎて、誰にも共感できなかったけれど、タイプの違う女性たちの描写を見比べるのは楽しかった。

紫式部が主人公となる大河ドラマが始まった。清少納言の方がいいんだけれど、と言いつつも、雅なようでいて、人々が、人間くさく生きていたこの時代には興味がある。
発表されている配役を見る限り、政治劇もきっちり描かれそう。この時代は、女性たちの立ち居振る舞いまでもが、政治の一部だったと理解しているので、いい意味で複雑な人間関係が展開されるんじゃなかろうか。

初回を観て印象的だったのは、少女時代の紫式部が小鳥を逃がす、明らかに「若紫」のオマージュ。
この先、ドラマの主題とは直接関係のないような遊びの部分で、源氏を知る人には、おや、と思える描写があるのかもしれないな。

幾重にも色々な側面を持ちそうな平安時代。歴史の動きの中で、1人1人が、どう感じどう生きていたのか、とても気になる。
楽しんで観られるドラマになるといいな。

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