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国際女性デー2022に寄せて ~感謝の気持ちは未来に伝えなさい~

今日は、国際女性デー。国や民族、言語などを問わず、女性たちが達成してきた功績を祝福し、ジェンダー平等を考える日です。

昨年は、日本スポーツ界の事件を機に日本社会が大きく前進した年で、希望をもって迎えたことを記憶していますが、今年は、勇気と感謝をもってこの特別な日を迎えています。

今年度から始動した、スポーツビジネス界の女性活躍推進を目指す「Her Pivot プロジェクト」がどんどん広がって、ムーブメントになりつつあるからです。

「Her Pivot プロジェクト」は、米国初の女性副大統領が誕生し「私は最初ですが最後ではありません」のフレーズが有名になった2020年に、NBA傘下のWNBAクラブに日本人女性が採用されたことを記念して、日本人女性として初めてNBAビジネス部門で採用された私として何かできることを、と始めた活動です。本業や他のプロジェクトも運営しながらでしたので、どこまでできるか全くの未知数でしたが、2021年6月のローンチ時には、FIBA事務総長、Bリーグチェアマン、そしてウーマノミクス提唱者のキャシー松井さんから応援メッセージを頂くことができ、またRSA(英国王立技芸協会)から助成を受けることもできました。まずこれだけでも、大きな勇気を頂きました。プレスリリースはこちらから。

そして、プロジェクトを推進する中で、活動の輪が広がり、仲間が増えたことは大変嬉しく思っています。プロジェクトを応援し、ご協力頂いている皆さま、本当にありがとうございます!

Her Pivot プロジェクトは、「スポーツビジネスセミナーでの女性登壇者を増やす」という具体的な目標を掲げており、まずはバスケ界で働く女性に講演スキルと登壇機会を提供すべく、バスケの試合と同じように第1クオーターから第4クオーターまで、四半期ごとに実施事項をステップアップしていけるよう設計して進めています。

前半のQ1とQ2では講演スキルの研修(講義とグループ研修)を提供し、延べ20名近くのBリーグ女性スタッフの皆さんにご参加頂きました。これまでに登壇経験のある方はほとんどいらっしゃらなかったのですが、簡単な自己紹介から自社の事業説明、またご自身のお仕事内容まで、皆さんとてもわかりやすくプレゼンされました。中には、小さいお子さんを育てながら、営業で数十社の新規契約もとり(!)大活躍されている方もいて、私も勇気を頂きました。

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第3クオーターでは note マガジンでジェンダー平等に関するコラムや女子学生スポーツビジネス海外研修のレポートを配信(是非こちらからフォローしてください!)、そして第4クオーターの総仕上げ企画として、3月24日(木)夜に "Her Pivot フォーラム”を予定通り実施できる運びとなり、基調講演にはFIBAの女性活躍推進部門のトップの方(元WNBA選手)をお迎えすることが決定しました。お申込はこちらから。

プロジェクトを立ち上げる時は、どこまでできるか不安で、計画通りに進まなかったり大変なこともありましたが、一歩踏み出してみて、なんとか続けて本当によかった、と思っています。

日本ではあまり知られていませんが、「女性活躍推進」はFIBAの最高決定機関であるセントラルボードの3つの重要課題のひとつであり(そして事務総長はもちろん、FIBAの誰に聞いても同じことを言われるくらい組織内に浸透しています)、IOC初め世界スポーツ界も本気で取り組んでいます。来年はFIBAワールドカップも沖縄で共同開催されますので、是非 Her Pivot プロジェクトを継続し、よりよい未来につなげていけたらと思っています。

ところで、私は独身で子どもはおらず、起業していてお一人様社長なので、仮にこのまま社会の状況が変わらなかったとしても、おそらく公私ともにそれほど困ることはない女性のひとりです。

なのになぜ女性活躍推進活動をしているのか、といいますと、それは、これまで頂いた幸運への感謝の気持ちを伝える方法のひとつだと考えているからです。

世界最高峰のプロバスケットボールリーグで働く機会のみならず、NBAドラフト、NCAAファイナルフォー、そしてマイケルジョーダン氏のチャリティキャンプ等々、私はこれまで様々な貴重な機会を頂いてきました。そういった機会をくださった方々に何度も御礼を伝えた時、彼らはみな、私にこう言いました。

「感謝の気持ちは、未来に伝えなさい。」

君が将来、今の君のような若者に出会った時に、助けてあげなさい、と。何度も何度も、同じことを言われました。

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「日本人女性初」を目指していたわけでは全くなく、気が付いたらそうなっていたというだけです。留学当初は教授から「スポーツと女性の問題についてレポート書いてみたら」と勧められた際「私はスポーツビジネスを学びにきたのに」と思っていました。でも、帰国して、世界ではあり得ない男性ばかりのパネルに衝撃を受けたり、米国大使館主宰の女性リーダー育成メンタリングプログラムに第1期メンターとして参加したりする中で、日本での女性活躍推進の必要性を痛感しました。そして、まずは自分にできることを、という気持ちから始めた小さなステップが今につながっています。

いろいろな考え方があると思いますが、私は、男性だけでなく、女性も変わる必要があると考えています。だから、「男性に比べて女性は自信がない」ことを克服するために女性をより応援しています。講演スキルと登壇の機会を提供することに注力し、「講演は自転車に乗るのと同じ。慣れればできる!」と励ましているのです。

一般的には、ジェンダー平等には根深い、難しい問題が伴うことも多く、一筋縄ではいかないことも、何もしない、関わらない方がラクであることもわかっています。

それでも、私は自分にできる範囲で発信や行動を続けたいと思います。世界のトップリーダーやグローバルスポーツ界の仲間たちがそうしているように。そして、今の女性の地位を確立してくださった先達の並々ならぬ努力と、私に機会をくださったすべての方々のご厚意に感謝と敬意を表するために。

アメリカ大使館主宰女性リーダー育成プログラムの初回セッションで、プログラムを肝いりで立ち上げたルース大使(当時)夫人のスージーさんは「Stand up for others (自分以外の誰かのために声をあげ、行動する)」という言葉を強調されていました。簡単ではないけれど、それができる人は心から尊敬するし、自分もそうありたい、と思います。




最後までお読みいただきありがとうございます。サポートいただけましたら、DV経験のある子どもたちのためのスポーツ活動に大切に使わせていただきます。