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【短期集中連載】保護者の兄とブラコン妹(第15回)

<前回はコチラ>

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「センパーイ!早くアタシを掴まえて〜」

「よーしサキちゃん、すぐ追い付くからね!」

俺は公園で、サキちゃんと追い掛けっこをしていたが、どうしてもサキちゃんに追い付かない。

「アタシは元陸上部ですよ〜。センパイより走るのは速いですよ〜」

「え~い、絶対に掴まえてやる!」

「キャハハッ!えっ、あっと…」

サキちゃんは小石にでも躓いたか、バランスを崩して転んでしまった。

「サキちゃん、大丈夫?あっ…」

サキちゃんが転ぶ際、スカートが捲れて、パンツが見えてしまった。何故か何処かで見たことのある薄いピンクのパンツだった。

「サキちゃん、痛くない?大丈夫?」

「センパイ…。アタシのパンツ見たでしょ…」

「うっ、いや、その、あの…」

「許せない!」

「えぇっ?」

それまでの可愛いサキちゃんの表情が一変し、突然立ち上がったかと思うと、そこに立っていたのは競泳用水着姿の妹、由美だった。

「え?由美?」

「そうよ。サキ姉ちゃんのパンツを見てヘラヘラして…アタシのお兄ちゃんでも許せない!この、女の敵!」

そう叫ぶと由美は思い切り俺の事を殴り始めた。

「ちょっと、何でだ、由美、待ってくれ、サキちゃーん!どこに行ったの?」

「……」


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「面白いね、サキ姉ちゃん。お兄ちゃんがこんなに夢の中でうなされて寝言言うなんて、初めて見たよ」

「えっ、そうなの?アタシ、貴重なセンパイの寝言聞けたんだね」

「貴重だよ〜。でも残念ながらアタシはそろそろ高校に行かなきゃいけないの」

「そうなのね。アタシは今日は午前の講義が休講だから午後からなの。センパイの時間割は分かんないけど、時間を見て起こすから」

「ゴメンね、サキ姉ちゃん。お兄ちゃんがあんなにビールに弱いとは知らなくて」

「アタシも…。でも自分で何やったか覚えてないよね、きっと。後でジワジワとセンパイに教えて上げるね」

「じゃあ行ってきまーす。お兄ちゃんのこと、よろしくお願いします!」

「了解しました!行ってらっしゃい、由美ちゃん」

月曜日の朝、由美の登校を咲江が見送るという、一風変わった光景が展開された。

「さて…どうしようかしら」

咲江はニコニコしながら、まだ夢の中の正樹を眺めていた。

「よーし、由美ちゃんには悪いけど、ちょっと冒険しちゃお」

咲江は着ていたパジャマを脱ぐと、下着姿になった。

ブラもパンツも純白だが、かなり凝った刺繍が施されている高級品だ。

「昨日せっかくお風呂の後に、センパイにこっそり見てもらおうと思ったのに…全然起きないんだから」

そして下着姿のまま、正樹が寝ている布団の中へと潜り込んだ。

「エヘヘッ、いつ気付くかな、センパイは」

しかし一晩正樹が寝た布団は適度に温まっていて、そこへ春らしい穏やかな朝の光が交じると、咲江もついウトウトとそのまま眠ってしまった。

しばらく春の朝、一つの布団で正樹と咲江が一緒になって寝ていたが、先に目が覚めたのは正樹だった。

「うー、俺は一体昨夜どうなったんだっけ?やたらと頭が痛いのは二日酔いってやつか……わぁっ!?さ、サキちゃん!ちょ、ちょっと!」

流石に下着姿のサキちゃんが同じ布団にいるのには驚いた。

「うーん…。あぁ、気持ち良かった〜。あ!センパイ、おはようございます」

「おっ、おはよう。それより、その姿は一体?」

「あ、ビックリしました?エヘッ、本当なら昨夜、センパイにお見せしようと思ってた下着ですよ」

「えっ?そ、そんなサキちゃん、大胆な子だっけ?」

「…センパイ、素直に言いますね。アタシとセンパイは付き合ってから2ヶ月経つのに、バレンタインの日にキスしただけ…。サークルの時のお喋りも楽しいんですけど、全然先に進まないから…。昨日由美ちゃんから電話をもらった時、センパイとの関係を、少しでも進めたいって思ったんです」

「ごめん、サキちゃん、淋しい思いをさせてたんだね…」

「ううん、センパイは優しいから、アタシのことを大事にして下さってる、それは分かってるんです。でもね、やっぱり友達の恋愛話とか聞くと…ちょっと…不安が…」

「そっか、そうだよね。俺が悪かったね。昨夜もよく覚えてないんだ…。俺、あんなにビールに弱かったっけなぁ。居酒屋でバイトしてるのにね」

「アハハッ。センパイが寝ちゃって、色々お話し出来なかったのは残念だったけど、由美ちゃんと女同士で盛り上がったよ〜。センパイには言えないような話もしちゃったし…エヘッ」

「わぁ、寝たのが悔しいな…」

「でもセンパイ…。今のアタシを見てほしいな」

俺は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。

由美も言っていたが、咲江の胸は本当に綺麗だ。白いブラジャーに包まれ、存在感をアピールしている。

俺が下着姿の咲江に見惚れていると、咲江から俺に近付き、ギュッと抱き締めてきた。

「センパイも…して」

「うん…」

俺は咲江を抱き締め、唇を重ねようとした。その時…

階下から駆け上がって来る音が聞こえた。

「ヤバい!サキちゃん、布団に隠れて」

「え?えぇっ?」

しばらくすると、案の定、玄関のドアが開いた。

由美だった。

「どうした、由美。忘れ物?」

「ハァハァッ、うんっ、体育、あるのに、ブルマッ、ブルマを忘れてたのに、気付いたの!」

由美は、由美のスペースにあるミニタンスからブルマを取り出してその場でスカートの下に穿くと、

「じゃ!」

と言って、再び高校へ向かって駈けていった。

俺は布団の中に隠れたサキちゃんと目を合わせると、お互い笑わずにいられなかった。

「なんか、由美ちゃんらしい〜」

「アイツ、アパートが高校から近いから、忘れ物しても休み時間に取りに行けるから大丈夫って思ってるんだよね。これで何度目だろ?」

「そんなに何回も?」

「うん。この4月前半だけで、今日が2回目」

「ハハッ。ブルマならアタシも高校の時に忘れたことあったけど、友達に借りたりしてたかな?」

「えっ?女の子ってブルマの貸し借りとか、してるの?」

「普通にしてるよ?え?男子は短パンの貸し借りとかしない?」

「しないよー!気持ち悪いよ、そんなの」

「そうかな〜。男と女の違いなのかなぁ」

と悩む咲江が可愛かったので、俺はそのまま布団に潜り込んだ。

「キャッ、センパイったら〜。もう…」

キスより先へ、少しは進めそうだ…。


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「お兄ちゃん、今度の試練は、これだよ~」

バイトがなく、俺が先に帰宅し、洗濯や夕飯を作っていた時に由美が帰宅し、俺にプリントを渡した。

「ん?何々…家庭訪問!来たか、遂に…」

新年度恒例の学校行事だ。中学までは確かに必要だろうと思っていたが、高校でもやるのか~と、俺が高1の時に驚いた覚えがある。
なんといっても高校に通ってくる生徒の住まいは広範囲に渡るからだ。

「えっ、ということは?担任の先生が来るんだよな…。由美の担任は市村先生から変わってない…よな?」

「うん。お兄ちゃんが中二病だった時に実習に来たという、市村先生のままだよ」

「中二病は余計だって。フムフム…。高校から近いグループ、中距離のグループ、遠距離のグループに分かれて期間が指定されるんだな。ウチみたいに徒歩5分の近距離グループは…来週頭?」

「そうみたいね。近距離なら調整しやすいってのもあるんじゃない?まあアタシは部活があるから、先生と1vs1で中二病の思い出話出来るチャンスかもよ?」

「だから中二病は余計だっつーの。で、希望日時を書いて、明後日までに提出か…。こんなの早く終わらせたいから、来週のバイトのない月曜日の夕方にしてくれよ」

「してくれよ、じゃなくて、保護者が自筆しなきゃダメなの!」

「面倒やなぁ…。ハンコまで要るのか…」

「まあ、生徒が勝手に書いて、揉めないようにってことじゃない?」

「じゃあ後で書いとくから、テーブルに置いといてよ。もうすぐ夕飯出来上がるから」

「わっ、今日は何?」

「とんかつ!いい肉見付けたからさ、4人分買っちゃったよ。俺と由美で2枚ずつな」

「えー、凄い!ラッキー!それならサキ姉ちゃんも呼べばいいのに!」

「うーん、実は帰りに誘ったんだけど、おウチの方から、行き過ぎるなって言われてるらしくてさ」

「わぉ、お兄ちゃん、将来は怖い義理の父母と付き合わなきゃいけなくなるのね…ご愁傷さま…」

「な、なんだ義理の父母って。結婚なんてまだ早いぞ」

「えー、でもサキ姉ちゃん、結婚する気満々だったよ?」

「誰と?」

「お兄ちゃんに決まってるじゃない!もう…鈍感なんだから」

「んなこと言われても…。いつそんな話したのさ」

「お兄ちゃんが缶ビール1本で酔っ払って寝た時。サキ姉ちゃん、優しいんだよ。お兄ちゃんがイビキかいてても気にならないって。アタシなら五月蠅ーい!って蹴るのに」

もうサキちゃんは俺との『結婚』を意識してるのか?どれだけ純粋なんだ…。

だがその『結婚』話をしている間、由美は悲しそうな表情を一瞬だけしたのを、俺は見逃さなかった。

(由美、今見せた悲しそうな顔は…一体、なんだ?)

<次回へ続く>


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