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小学3年生のフィンランド留学体験記 第7章(全9章)

第七章 5月

目次

1.ヴァップで学校休み
2.足を軽く捻挫で話し合い
3.柴犬の操り人形完成できず!?
4.アルバニアライネンのエリオン
5.パデルレッスン
6.ピアノ担当に立候補
7.日本語の誕生日ソング
8.ユフデッサの演奏練習
9.ナイトスクール!お泊り会
10.弟を救え!
11.虫歯治療
12.僕は外国人クラスの通訳者
13.3年生のジャイアン
14.春祭りのリハーサル
15.スオメンリンナ島とヘルシンキ図書館オーディ
16.クラスメイトとおにごっこ
17.教室でピクニック
18.ユフデッサ発表
19.春祭り
20.外国人クラスお別れ会


 
登場人物
りくと:主人公。フィンランドの小学校の外国人クラスに通う。
エンミ先生:担任
カリナ先生:サポートの先生
アラン:2年生のクラスメイト。親友。クルド人。
アルティン:6年生のクラスメイト。りくとの憧れ。アルバニア人。
エレナ:同い年のクラスメイト。トルコ人。
ネヒル:4年生のクラスメイト。トルコ人。
ジェレン:4年生のクラスメイト。トルコ人。
ゼフラ:6年生のクラスメイト。トルコ人。
マリアム:5年生のクラスメイト。トルコ人。
バンカ:4年生のクラスメイト。ロシア人。
ジェシアン:4年生のクラスメイト。アルバニア人。
ブレタ:5年生のクラスメイト。ジェシアンの姉。アルバニア人。
フランチェスコ:5年生のクラスメイト。イタリア人。
 
 

1.ヴァップで学校休み


フィンランドでは4月30日と5月1日の2日連続で春の訪れを祝う。それがヴァップだ。4月30日は日曜日だったけれど、5月1日は月曜日だったので学校はお休み。特に月曜日は晴れてポカポカと暖かく春の陽気! ヴァップにふさわしい天気だった。火曜日にはクラスでヴァップ休みにどう過ごしたのかを発表し合った。僕は4月29日の土曜日にアランのおじさんのサマーコテージに遊びに行ったことを絵に描いて発表した。魚釣りをしたりモルック(フィンランド発祥のアウトドアスポーツ)をしたり、一緒に日本のカレーを作って食べた。アランも同じことを発表した。驚いたのはクラスメイトのうち3人も学校が休みで悲しかったと発表したこと。僕はすぐ
「学校が休みで嬉しかったな!」
と言ってしまい、理由を探すのに少し戸惑った。学校が嫌いなわけじゃないんだけど、どうしよう。先生も学校好きのクラスメイトもしーんとして聞いている。そこでひらめいたのが習い事のせいにしてしまう事だった。月曜日はピアノの練習をする日だから忙しくて……というと、先生もクラスメイトもニッコリ笑って
「なるほどね!」
と言ってくれた。あー良かった。僕は先生もクラスメイトも大好きなんだよな。学校が嫌だと思っていると思われずに済んでほっとした。
こうして始まった5月。今月はお泊り会や遠足など楽しみなことがいっぱいだ。週末アランに10月に日本に帰るという話をしてから、アランは
「1年おきにフィンランドに遊びに来るんだよね? 2年おきになる?」
と質問してくるようになった。アランが寂しがっているのが伝わってくる。次いつ来られるのかは分からないけれど、僕だってできることならもっとアランと一緒にいたい。僕たちは何でも話せる大親友だ。アランは僕より先に外国人クラスを卒業してしまうから、一緒のクラスで過ごせるのもあと2、3カ月。アランと過ごせるこの時間を僕は大切にしたいと思う。
 

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