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医療はここまで切迫 家やホテルと病院の間で待機するコロナ患者 【コロナ関連施設看護師監修】

連日、新型コロナウイルスへの感染者数は増加。今、未曽有の事態に陥っている日本。

新型コロナウイルス感染患者を治療する病床数が不足し、自宅やホテルなどでの状態悪化のニュースが最近よく報道されます。

都内では入院できずに待機を強いられている患者が100名を越す日もあるという中。
救急車の中で受け入れ先の病院を探す間、長時間の待機を余儀なくされたり、入院できず自宅で亡くなった方がいたというニュースは記憶に新しいと思います。


今、新型コロナウイルスに感染した患者でも、入院し治療が受けられるのは、本当に状態が悪い人に限られているのが現状です。

本日はコロナ関連施設に勤務する現役看護師の実体験を元に、現在の医療の切迫状況をお伝えします。


新型コロナウイルス感染によって出現する症状は様々。重症度も様々。

今病院に入院できるのは、呼吸状態が悪い患者、医療機器によって呼吸の助けが必要な患者に限定されています。


正直熱が高い、体がだるい、風邪のような症状が辛い

だけでは病院には入れません。熱が40℃近くあっても、38℃以上の熱が1週間程度続いていても、自分で十分に呼吸ができている状況であれば病院に入院はできないんです。

解熱剤を飲んで、水分をよくとり、症状がよくなるのを待っている。という人がたくさんいます。


呼吸ができるというのは何で判断しているのか。


それはSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)というものが一つの指標となります。

パルスオキシメーター という器械を聞いたことがありますか?

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画像:OMRON

これは指を挟み、器械の上下から出る赤外線によって、脈拍と血中の酸素の量を測る器械です。以前は医療現場くらいでしか見かけませんでしたが、コロナが流行って、一般向けにも販売されたことから、有名になりましたよね。

この画像の場合、黄色の「98」が酸素飽和度(SpO2)、緑の「76」が脈拍(HR)です。

この酸素飽和度の正常値は96%以上です。


こちらの値、95%くらいなら深呼吸をすれば、正常値に戻ることが多いですが、93%以下になると呼吸状態が悪く、苦しいなどの症状が出てきます。
90%を切ると十分に体の中で酸素を取り入れることができておらず、呼吸の助けが必要な状態です。

コロナ関連施設では95%を1つの指標とし、95%以下の場合には再検査、それでも95%以下の場合には深呼吸などを促すと共に、呼吸が苦しいかどうかなどを問診します。

ですが、今は医療がひっ迫している状況。95%以下ですぐに入院することはなく、

90%台前半が続く場合や、酸素を投与しないと正常値にならない場合

のように、呼吸状態が悪く人工呼吸器などの医療機器が必要な場合でないと入院が難しい状態です。

では家や療養施設で様子を見られるほど軽くはないが、入院するほど状態が悪いわけでもない患者さんはどこに行くのか。

それが入院待機ステーションです。


入院待機ステーションって?

新型コロナウイルス感染患者が日々増加している中、ひっ迫する医療施設と家や療養施設の間にあたる、「入院待機センター」というものが、感染が拡大している都市を中心にできているんです。

この入院待機センターでは感染者の入院先が決まるまでの一、二日程度を待機する施設で、酸素投与や投薬なども可能。看護師が24時間待機、医師の診察を受けることもでき、容態の急変時にも対応ができるといわれている施設です。

私が調べられてる限りでは...

大阪府大阪市 入院患者待機ステーション (4月22日開設)
北海道札幌市 入院待機ステーション (5月16日開設)
沖縄県本島内 入院待機ステーション (6月12日開設)
北海道札幌市 第2入院待機ステーション (7月19開設)
東京都葛飾区 TOKYO入院待機ステーション (7月22日開設) 
神奈川県横浜市 かながわ緊急酸素投与センター (8月7日開設)

最後の横浜市の酸素センターは、投薬や点滴などの治療が行えないようですので、やや位置づけが異なるようですが...
全国で感染が拡大している主要都市にできています。

どこのステーションも医師や看護師が常駐し、心電図や血中の酸素濃度を測れる器械がおかれ、酸素投与や投薬などが行えるという部分では変わらないようですが、

中の様子は様々です。


野戦病院のようなステーションもある

北海道のように病院で使われているようなベッドが置かれている場所もあれば

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画像:札幌市入院待機ステーション(NHK News)


東京や大阪のようにストレッチャーや簡易ベッドの場合もあるようです。

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画像:大阪府入院患者待機ステーション(NHK News)

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画像:東京都TOKYO入院待機ステーション(朝日新聞DIGITAL)

個室を用意することは困難なので、プレハブや会議室をパーテンションで区切って場所を確保しているところがほとんどです。

もはや野戦病院状態です。それほどベッドの確保が大変な状況ということです。


誰もが状態が悪化すれば入院できる、治療を受けられると思っていると思います。でも実際は違います。

入院待機ステーションでは
入院するまで、何とか命を繋ぐ、
酸素投与や投薬などの治療にあたりながら
状態が悪化した場合にいち早く医師の診察につなげ、
入院のタイミングを検討するべく、
スタッフが奮闘しています。入院すれば治療ができるのにというジレンマを抱えながら。

コールセンターや療養施設では
コロナ感染患者の状態の把握、
本当に搬送が必要な患者をピックアップし、
医師につなぐことで搬送のタイミングを遅らせない
と共に状態が落ち着いている患者さんが
また地域に自宅に戻れるようにフォローすべく
働いています。

コロナワクチン接種会場では
コロナワクチンを多くの人が確実に接種できるように管理し
ワクチンによる副反応の対応を
使命として勤務しています。


現在様々な現場でたくさんのスタッフが、この事態の対応にあたっています。病院でもコロナ病棟の看護師や医師だけが大変なわけではありません。

それまでその病棟で治療を受けていた患者が、コロナ病棟になることをきっかけに他の病棟に移動し、それまで見たことないような疾患の患者さんを診るという状況に陥っている病棟スタッフもいます。

全例PCR検査の受診がルールとなっていない病院では、コロナ感染のリスクを秘めたまま治療にあたっています。

コロナ感染の症状と同じような症状を訴える患者さんに対し、適切に医療が受けられるよう調整もしています。

この2年で医療施設は大きく変わりました。スタッフも大きな変革を遂げています。
最初はなんのウイルスだかも分からず、必要のない感染対策をしていたこともありましたが、
2年のうちに色々なことが解明され、ワクチンや治療薬、治療方法、対応方法も確立されつつあります。それは多くの医療者や学者、調査機関の方々の努力と、患者さんのご協力あってのことだと思います。


この記事は

医療者に感謝を

という記事ではありません。
ただ実際の医療現場で、今どのようなことが起こっているのかを皆さんに知ってもらいたくて書きました。

感染患者さんの1日も早い回復をお祈りしております。
そして感染拡大が1日も早く収束することを祈っています。


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コロナの情報は日々新しくなっています。細目に更新していきます😊


以上助産師Rでしたー🦊

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