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イギリスで学校の先生になるには

Hello, みろろんです。今日は今年一番の暑さの30度越え。クーラーなしのイギリスで今夜寝れるか心配です。

ここで少しイギリスの教員養成の話をしたいと思います。私は子供が小さいときにやりたい仕事の求人を見つけて応募し、採用後職場で問題があり休職中にいろいろなことを考えました。それでもこの仕事は私にとってはよかったな、ということを振り返りながら、イギリスの制度についてご紹介します。

前回までの記事はこちらから。


大学での仕事は楽しかったです。私はTechnicianとして学生実験の準備や片付けがメインの仕事です。学生は教員免許をとるため1年のコースが中心。イギリスでは教員になるために、学士をとってからPGCE (Postgraduate Certificate in Education)という資格が必要です。教育学部に行っていても3年の学士(イギリスでは大学の大半の学部は3年コースです)に1年のPGCEがセットになっています。

生徒はmature studentsとよばれる、社会人入学のような感じで、もちろん大学を卒業してすぐにPGCEをとる人もいますが、大半は転職組。中には年配の人もいます。

うれしかったことは、学生の熱意。以前の職場では「イギリスの先生の知識は少ない」と感じていたのですが、ここでは学ぼうという人がたくさんいました。私が育休、転職をしている間にイギリスの教育もどんどん変わっていっていたのでしょう。いつしか学校では百マス計算をとりいれるようになり、OECDが行っているPISA(Programme for International Student Assessment))の順位をイギリス政府も気にするようになりました。当時日本は上位3位くらいをうろうろしていましたが、イギリスは20位くらい。世界の差を埋めようと、先生になりたい人に奨学金を与え、少し給料を上げ、優秀な人を先生にしようという動きがありました。(2018の時点では日本は6位前後、イギリスは15位くらいでしょうか)

特にイギリスではcore subjectsと言われる主要科目は英語(国語)、数学、理科ですが理科教師不足のため、他の教科の先生になるより奨学金も多く、募集も多かったのです。

そのため、政府は新たにSKE(Subject Knowledge Enhancement)コースを設置し、大学で理科を学んでいなくても、理科(実際は化学か物理)の知識を一年でつけ、その後PGCEをとることにより理科教員になることができるようにしました。

もともと大学での専門と必ずしも同じ教科のPGCEをしなくても教員になれるので、歴史を勉強していた人が数学の先生になることも可能でした。現在は関連した教科を学んだ人がその教科のPGCEを受けられます。(例外あり)これも日本との大きな違いですよね。私はなぜ教員の知識に問題がある、と以前感じたのかも、こういう制度のことを知ると納得できました。

また、それぞれのコースに入るために面接が重視されます。大学職員が適性を見極め、また専門知識などのチェックもします。そのほかにGCSE(中等教育の資格)の制限、簡単(?)な教養テストなど。今までになかったものをくぐり抜けてきた人が面接を通して合否がきまる仕組みです。

私個人の意見としてはイギリスの教員の質は向上したと思っています。より日本に近づいた、と。(面接は逆に良い方法だと思いました。日本では教職コースをとる時点では面接はありませんし)

しかし、優秀な人が教員になったのもつかの間、辞めていく人も多くなりました。それは日本のようなクラブ活動が原因ではありません。学校の分業化、そして評価システムのためです。

もっと詳しく書きたいのですが、これは教育の専門分野になってしまうので割愛します。ただ、私はここに足を踏み入れたいためにこの仕事を始めて8年後に大学院で勉強することになります。

今回はどれだけのことを仕事を通じて学んだのか、のテーマだったのでここで終わります。次回はこんな考えをした私ですが、また決断します・・・。新しい場所へ。


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