自分の脳内イメージに『必要十分な』基礎画力ってどの程度?

以前書きかけてた文章発見したのでサルベージ。

以下の文章の著作者名は全て敬称略で書いています。


自分の脳内イメージに『必要十分な』基礎画力

↑のnoteの終盤にこう書いた。

「自分の脳内イメージに『必要十分な』基礎画力の習得を怠らず、具現化の際にも脳内イメージのみに忠実に従って描く」
ことが
「自分だけの個性」
「他人と違う自分」
なのではないだろうか。

なぜ日本の絵師は自分より上手い絵師を目にすると「自分を否定された」ように感じるのか
https://note.com/midoriene/n/nfb771f2464a7

んじゃ自分の脳内イメージに『必要十分な』基礎画力ってどの程度?

って思う人もいそうなので私の見解を書いておく。

結論。

「人それぞれなので好きにしろ。ただしダメ脳内補正は破壊しろ。話はそれからだ」

…これだけでは不親切な気がするのでもう少し説明する。

自分がどこまで描けたら納得できるか?

自分がどこまで描けたら納得できるのか?
どこを今の絵よりどのくらい直したら納得できるのか?
それを知ってるのは自分だけなので人に聞いてもしょうがない。

ただ、なんというか、どうも案外多くの絵師が「自分の絵の悩みの解決法を他人に求めてる」ことが多いように見える。
全く他人の絵を見るな、というわけではないんだけど、

「他人の絵から何を学ぶか」

の選択は慎重にしたいところだと思う。

一番望ましいと個人的に思うのは

「絵柄とかの上っ面や枝葉や小手先のノウハウではなく、参考にしたい絵師の絵に共通して惹かれるポイントの、『法則という根っこ』の技術

である。

あとやはり大事なのは『どんな系統の絵を描きたいのか自分の中ではっきりさせておく』ことではないかと思う。

『どんな系統の絵を描きたいのか自分の中ではっきりさせておく』こととは

例えば名探偵コナンくんのような絵柄なのに坂本眞一の絵が素晴らしいからって部分的に技術を切り貼り(パクリではない。技術の切り貼り)したら変だと思う。
コナンくんの絵が悪いと言ってるのではなく、坂本眞一の絵と傾向と対策が違いすぎて馴染まないと言ってるのである。
(ちなみにこのパターンを実際やられたことがある。取って付けた感半端なくて切り貼りされた元絵のこっちが共感性羞恥で恥ずかしくなったが、向こうはドヤ顔。勿論私如きは坂本眞一の絵を千回バットで殴った程度の絵である)

技術取り入れるなら、根本法則を取り入れて絵の全体に敷衍させて毎回その技術キープしなよ………。
そしたらパクリでもなんでもなく、他人の技術を参考に画力向上したって言えるから。
…できるならね(小声。できないから切り貼りなんだろうけど)

というより、私の絵の特徴はリアル陰影の法則を漫画絵の絵柄に取り入れてるだけだから、そんならリアル陰影の法則習得した方がずっと応用効いて便利なんだけどな……。

そんで、私は陰影立体感フェチなので一向に苦にならないけど、陰影立体感フェチじゃないなら無理矢理陰影付け続けても苦痛だと思うので、やっぱり

『どんな系統の絵を描きたいのか自分の中ではっきりさせておく』

ことが大事だと思う。

ちいかわみたいな絵柄なのに江口寿史を参考にするのは間違いとまでは言えないまでも相当遠回りで徒労だと思うし
萌え絵の絵柄で北条司を参考にとかもやっぱり遠回りじゃないかと思う。

何が言いたいのかというと「理想の絵柄のデフォルメ配分によってある程度参考にする絵の傾向は変わってくる」という話。

デフォルメ強めの丸っこい絵柄とリアル寄りの絵柄ではどこまで画力を上げるかのハードルは変わると思う。
しかし、デフォルメ強めの丸っこい絵柄だから画力が低いという意味ではない。
丸っこい絵でもどこまでも画力は追求できるが、リアル寄りの絵ほど「入口のハードルが高くない」という意味である。
リアル寄りよりはアバウトでも「絵になる」からだ。
でも入口のハードルは低くても、出口を目指せばどこまででもハードルは上げられる。
丸っこい可愛い絵にしか描けないものは間違いなくあるので、その中でもじゃあどんな風に空気感を表そうか、とかどんなメッセージ性を持たせようか、とか追求していけばキリがないと思うので。

絵柄がリアル系じゃなくてもリアリティを感じさせる技術

実は絵柄がリアル系じゃなくてもリアリティを感じさせる技術というものがある。
たとえ雰囲気優先の絵であろうと、ほんのちょっとのリアリティのエッセンスで読者との距離をグッと縮めることが可能になる。

それは『陰影の法則』である。

おっぱい星人の描く残念おっぱい

スマホいじってるとゲームの広告動画とかを見せられる羽目になることがたまにあるんだけど、有名なゲームらしき動画で、女の子の顔には陰影ついてるのにお胸にはひとつもついてなくて、折角のお胸を揺らす演出の効果が全くないのでは?というものがあったり割とよくする。
(もしかするとポリコレ対策なのかもしれないけど)

3D感覚の欠如でクオリア乗せたいのに上手くいってないおっぱい星人への言及はこちら

お胸に限らないんだけどパーツごとに陰影があったりなかったりするのははっきり言って陰影的には「齟齬」である。
この場合は「ああ、この絵師はテンプレ陰影以外は全く理解してないんだな…」とわかる。

テンプレでしか陰影が描けない残念絵師勢が実は多い…ように見える件

例えば顔にガッツリ濃い陰を落としたくないという気持ちから顔の陰を控えめ、他の陰は濃いめにするのは理解できる。
これは意図して顔を綺麗に透明感を持って表したいという表現手法なのでこれはこれでひとつの解である。

しかし逆に顔や首のテンプレ陰影だけ付けて、服にほとんど陰影がないとかいうのは、密かながら実はかなり見映えの点で不利になる。

あんまりこのことに気づいてない人が多い気がするけど、これができるとさりげなく、しかし何気に人目を引く絵になる。
個別オプションパーツの陰影に必死になるより、全体の陰影ざっくりの方が実は見映えする。
何故なら自然界の法則、リアル3Dの法則に近いからである。

ただ、地味ーな技術なので本当に気付いてる人は少ないように見えるけどね。

よく「詐欺師が嘘に真実を混ぜると尤もらしく聞こえるので騙されやすい」というじゃないですか。
あれと一緒で、テンプレ陰影だけじゃなくてリアル陰影をちょっと混ぜるだけで存在感マシマシになるわけですよ。

なので私は陰影楽しいなーと思いながら描いている。

リアル陰影の法則習得すれば俺TUEEE絵師になれる?

じゃあリアル陰影の法則習得すれば俺TUEEE絵師になれるのか、というとなれますね多分。
習得しただけでなくその先も追求すれば。
ただね…リアル陰影の法則はダメ脳内補正とは不倶戴天の敵なんですよ。
ダメ脳内補正かかった歪んだ絵で無理矢理陰影つけたらかなり気持ち悪い絵になるんですよ。
そんなら陰影つけない方がまだ気持ち悪くない。
(だから私の絵にフリーライドして先っちょだけ切り貼りする絵師の絵はものすごく気持ち悪い代物になっていた)

だから最初に書いたわけ。

「人それぞれなので好きにしろ。ただしダメ脳内補正は破壊しろ。話はそれからだ」

ってね。

なので一番の難関はダメ脳内補正の破壊ですね。

まあでも、ダメ脳内補正罹患者は自分の絵が素晴らしく見えてるわけだから、本人的には壊されない方が満足だよね。
真実上手くなることよりダメ脳内補正の妄想内で自分が上手いと信じる方が楽だもんね。
でもいつの日か真に上手い人に壊されたとしても逆恨みするのはやめてほしいですね。
妄想に逃げ込む選択したのは本人なんだから。


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