マガジンのカバー画像

180
自作の詩です☆読んでいただけたら嬉しいです。
運営しているクリエイター

#mymyth

詩 遠吠えの獣秋一天に星

詩 遠吠えの獣秋一天に星

遠吠えの獣秋一天に星

顔をあげれば漆黒の緞帳

自ら選びとった孤独に
慰めは要らぬ筈と
澄み渡る夜空を
吹き抜けた一陣の風

迷い巡る人の手にかからぬようにと
古人は物語の神々を宙にあげたのか
赦しを乞う者達を
裁く事すら放棄させた神々の
脈々と流れる終わり無き時間

弱さを語る相手を星と決めた夜
満天の星空に向かって
遠く遠く獣は吠える

◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇

10月の句会に出した破

もっとみる
詩 ほろりはらはら

詩 ほろりはらはら

ほろほろと咲くや桜
鎮守さまがおでましになって
良い子じゃ良い子じゃと
背中で眠る
赤子の頭をなでておいでか

春の霞は微かに色が乗り
ため息ひとつついた後で
うなじにのぼる乳の匂いに
我に帰るのは母か女か

はらはらと散るや桜
行きがよければ
帰りもよいよい
仰ぎ見ればいっときを惜しみつつ
鎮守様の懐で
杜の木々は伸びやかに
やがて青々と薫る風の中

花の命は短くと言う
枝葉の先々を楽しみに

もっとみる
詩 踊れや笑えや

詩 踊れや笑えや

さあさあ唄へ
やれ踊れ
共に笑ひゑらごうではないか
着物の合わせを緩める位では
物足りない
乳繰り合うてやれ踊れ
花街遊びは騙し合い
歌舞伎者とはしごく上等

男と女の戯れは
八百万への捧げ物 

男と女
互いの嘘を知りたくば
男が女に女が男
さあさあ入れ替わってやれ踊れ

アメノウズメよ
出雲阿国の踊りは楽しかろう
手を叩いて
喜んでおられるか

天下の事など降っては消える淡雪のごとく
いつの世

もっとみる
詩 繁栄の跡

詩 繁栄の跡

キャラバンが見た夜空の回廊
ラクダの背が運んだ絹
人は動き道は動かず
今は打ち捨てられた都の
足跡を覆う草は痩せた装束

わずかに残る年老いた伝説は
時代に消えた北辰を指さす者
虚構を疑わずに
恐れるものを
ただ恐れていればよかった世界

キャラバンが見た夜空の回廊
北辰を指さす者
石のつぶてのひび割れに
その身を押し込んだたくさんの冒涜と
踏みつけられては足首を掴む
神々の切れ端

再びここで踊

もっとみる