マガジンのカバー画像

180
自作の詩です☆読んでいただけたら嬉しいです。
運営しているクリエイター

2022年5月の記事一覧

詩 残り雨

詩 残り雨

静かに去ろうとする切れ切れの雨音

指の隙間から
ハラハラと落ちていったものを
そのままとどめておけば良かったものを
甦らせた切れ切れの雨音
押し殺していた言葉が口をついて
恐れていた嗚咽に飲み込まれる

浮かんでは消え
消えては浮かぶ言葉の数々は
メロディを欲しがる頼りない詩のようで

雑多な音を剥ぎ落としていた
さっきまでの叩きつける雨が恨めしく
窓に伸びる雨粒の通り道を
爪でひっかいた

もっとみる
詩 Karma

詩 Karma

なんびとも
知らぬ存ぜぬを決め込めば
我が身を恥じる事もなく 
見ざる聞かざるで
ただ首筋に入った深い皺と
胸の奥深くに落ちた一点のシミに
狼狽えれば済んだものを

暖色のクリップライトを避けながら
花として結実することもなく
はらはらとこぼれる花弁は
目のふちに留まりきれなかった真
噛んだ唇から滲むものを
捧げ尽くすのは女の業

月の冷たくなる夜に繰り返し
繰り返し溺れては生まれ変わる
狂おしい

もっとみる