なんびとも
知らぬ存ぜぬを決め込めば
我が身を恥じる事もなく
見ざる聞かざるで
ただ首筋に入った深い皺と
胸の奥深くに落ちた一点のシミに
狼狽えれば済んだものを
暖色のクリップライトを避けながら
花として結実することもなく
はらはらとこぼれる花弁は
目のふちに留まりきれなかった真
噛んだ唇から滲むものを
捧げ尽くすのは女の業
月の冷たくなる夜に繰り返し
繰り返し溺れては生まれ変わる
狂おしいほどに
わたしは鬼の子
哀しみとは
どんな唇からもれる言葉か
わたしはただの鬼の子
*太夫格にあと一歩手の届かなかった女達の事がふと頭に浮かんできました。。。。からの妄想でございます。
#詩 #創作