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【愛知県幸田町】「緑のふるさと協力隊としての特別な一年」

3月16日(土)の活動報告会をもって1年間の任期を終えた30期10名の隊員たち。
任期を終えたばかりの彼らが、緑のふるさと協力隊としての1年間を振り返って、今思うことを紹介していきます。
今回は、愛知県幸田町で活動をした戸倉季紀さんです。



 この1年間を振り返ってみると本当にあっという間で、様々な経験を積むことができたと感じる。自分にとって初めての経験も多くあり、その場で経験しないとわからないことが多いなと感じられた。

 もともと自分は東京出身、東京育ちということもあり、都会での人が多い暮らしに疑問を感じ、小さいころから自然へのあこがれ、農業への興味、農村での生活への興味を持つようになった。その後大学は農学部を選んで進学し、農村の活性化について学んだ。そのような中で農村を訪れる機会がありながらも、その時はお客さん的な立場になることから、実際に1年間農村で暮らしてみなければわからない部分があるのではないかと思うようになった。当時、これからの進路を都会で暮らすか、農村で暮らすかで迷っていた部分もあったため、1年間の農村での暮らしを体験できる緑のふるさと協力隊という制度は自分の状況にあっていると思い、応募することにした。

 そして実際に1年間の緑のふるさと協力隊を経験してみて感じたことは、東京に暮らしていたときよりも密な地域での人のつながりである。

 これまで東京で暮らしていたときには地域での活動や隣近所との付き合いはほとんどなかった。そんな自分にとって地域での集落活動はとても新鮮で楽しかった。逆川の方々は大変だと言いながらも、なんだかんだ楽しみながら活動に参加している感じがした。こうした地域での活動は結構頻繁にあるため、そうした活動が地域のつながりの強さの醸成に役立っているんだなと、自分の生活を通して感じられた。

 自分も祭礼、川役、道役、神社掃除(2か月に1回程度)、スポーツ大会(年3回)と参加した。大学では地域のコミュニティの重要性についても学ぶ機会があり、実際に肌感覚でそれを感じることができた。6月の豪雨の際には当時お世話になっていた地域の農家さんから避難所の開設を知らせていただき、防災時の対応に地域コミュニティが役立っていることを経験できた。自分の日々の暮らしの中では、自分の活動が終わって家に帰り近所に暮らしている方とたまたま会ったときに、ゆっくり何気ない会話をするのが自分にとってほっとするような心地よい時間だった。また、隣に暮らす人からはよく料理のお裾分けをもらうなど色々と気にかけてくださり、人と人のつながりも感じられた。

 自分のメインの活動であった農業では一年を通して、様々な作物の農家さんを回り、作物による違いや農家さんでのやり方の違いなどを学ぶことができた。農作業の季節性を感じることができたし、元々持っていたイメージよりも肉体労働としてそれほど大変ではなく機械が導入されていることも多いなと感じた。耕作放棄地調査に同行させていただいた中では町内でも地域による農業条件の違いなどを体感することができた。

 1年間の活動を通じた自身の変化としては、それほど大きくは変わっていないと感じるが、その中では自分の日々の暮らしにこれまでよりも向き合えるようになったことが大きいのかなと感じる。

 自分はこの1年が初めての一人暮らしということもあり、家事の大変さを知った1年だった。また、農業を通して食べ物ができるまでの過程を学ぶことができたことも合わせて、自分の食べるものをより考えるようになったかなと感じる。そして、東京ではあまり感じられなかった四季の変化を田んぼや畑の風景の変化から感じられるようになり、夜家に帰ってきたときには空の星と月の明るさを感じることができるようになった。また、緑のふるさと協力隊として色々な幅広い経験をさせてもらう中で、自分自身のことをよく考える機会が増えたように感じる。自分は、何が得意なのか、何が好きなのかなどが日々の活動を通してわかった部分もあり、自分のことをより知ることができた一年だった。

 幸田町の特徴としては立地の良さを感じた。隣の市が近く、市街地にも出やすいためとても暮らしやすい。JRの駅もあるため、電車による移動もできる。農業面では平坦な土地が多いことを感じた。これは他地域に行っていた緑のふるさと協力隊の話を聞くと特に幸田町のメリットとして感じることができた。これらは愛知県全体でみても、東京や大阪といった大都市にも交通が発達しているため行きやすく、農業や工業の土地を多く設けることができ、発達していると感じられた。その一方で、幸田町は里山などの自然が近く、駅からも歩いていけるほどの距離にある。町内での祭りにも多くの人が集まっており、観光面でのポテンシャルはあるため、人が集まる場所を作ることができれば観光でも発展できるのではないかなと思った。

 最後に、この1年間は農業、行政のイベント、里山整備、教育等等、緑のふるさと協力隊でないとできない経験ができたと思う。幸田町で関わった方々には温かい方々が多く、色々と応援してもらった。今後はこれから就職活動をして進路を決める予定だが、この1年間で関わってくれた方々への感謝の気持ちを忘れずに、この経験を活かして頑張っていきたいと思う。

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