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若葉のふるさと協力隊2023 参加者感想文【後編】

2023年度全国9か所で開催した、4泊5日の農山村ボランティア「若葉のふるさと協力隊」。

参加した方々に感想文を書いていただいたので、前編・中編に引き続き、その一部をこちらでご紹介します。




①「小国町でみつけた、かけがえのないもの」 活動先:山形県小国町

ただ漠然と「日常から離れ、農業体験がしたい」という想いがきっかけで若葉のふるさと協力隊に参加を決めた。

私の日常は残り少ない大学の授業と内定先とは異なる会社でのインターンに追われる比較的忙しいものであった。タスクに追われ、それをこなし、忙しない日々を自分で作って過ごしていた。来年からは東京で就職することが決まっており、社会人0年目として日々を送っていた。

4泊5日のプログラムに参加するにあたり、大学・インターンの活動を全てストップしPCも自宅に置いてきた。こんなに長い期間タスクに追われず、PCを開かないことは初めてだった。

小国町では、当初の想像を上回る、日常とは違う種類の忙しさ・充実さに満ちた日々を過ごした。

住民の方々は一人一人が生気に満ちていて、とても輝いて見えた。自分のやりたいことを追求し、生き生きと仕事をされていた。会社に属さず、自営で会社を経営されていたり、脱サラし農家になられた方のお話の中にいくつか自分に刺さるフレーズがあった。

「流れは自分で作るもの」
「百姓はいつまでも一年生。試行錯誤し続けるのが楽しい」
「都会に一極集中しがちだが、地方で農家が農作物をつくっている背景があることを片隅に置いて忘れないでほしい」

どれも日常では出会えない色濃いメッセージ性を持つものたちだ。小国町では、高齢の方々が弱者としてではなく、むしろ現役として活躍されているのが一番の驚きだった。

小国町で過ごす中で、自分が田舎出身ということもあり、都会に憧れを抱いて「将来は都会で働いて生活をしたい」とばかり思っていた自身の考えにハッとさせられたシーンがいくつもあった。
無意識のうちに田舎を卑下していたこと、田舎=何もない・魅力的ではない・つまらないという自分のバイアスを痛感した。小国町では住民の方や協力隊の皆さんが町の魅力を自ら見出し町外へ発信することで若い人が新たに町にやってきたり新たな交流が生まれたりと、町の活性化を目の当たりにし自身の考えを変えたいと思うようになった。

最終日前夜に、緑の協力隊の方と、参加者の方とそれぞれの想いを語りあった。今自分が抱えている葛藤を打ち明けたり、どんな考えでどんな生き方をしているのかなどお二人のお話を伺えたことも自分にとってかなり大きな刺激であった。

「社会の制約や自分の持っている何かを捨てることで初めて新しいものに出会えたこと」
「年齢などある程度の制約はあるが、いつからでもやり直すことはできること」
「やりたいことはいつまでも模索していいこと」

どれも当たり前のようで実現するのは簡単ではないが、それを突き詰めている方々と沢山出会い、自分も彼らのような生き方をしてみたいと思うようになった。

自分の知らない生き方の選択肢がまだまだ沢山あること、自分にとっての最適な生き方を選ぶためにもっと色々な考え方・生き方に出会いたいと思っている。
今回こうした思いになることができたのも、本プログラムを企画・運営してくださった方々、小国町で暖かく迎え入れてくださった皆さん、期間中てんこ盛りすぎるコンテンツを用意してくださった協力隊の方、一緒に参加してくださった方、皆さんのおかげで感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

また小国町へ行ける日を楽しみにしています。
また必ず小国町へ行きます。



②「積もっても溶けても切れない雪との関係」 活動先:石川県白山市白峰地区

今回は、石川県白山市白峰という場所へ行きました。

着いて最初に感じたことは2つほどです。一つ目は、田舎の感じがあまりしないことです。確かに周りは山に囲まれているのですが、集落内での1軒1軒との距離が近くお店も近いため、非常にコンパクトにまとまっており、1つの下町という印象を受けました。今回の白峰地区内での活動で1度も車を使わなかったのも特徴的でした。

二つ目は、福井県との距離が近いこと。福井県境まで10分ぐらいで行くことができ、地元の方は車で30分ほどの勝山市という場所で買い物をするそうです。さらに、昔は福井に該当するなど、歴史や信仰からみて石川より福井の文化が強いことを実感できました。

そして、今回最も印象的だったのは、雪や寒さとの関連が深いことです。街を歩くと雪だるまのオブジェ、行政センターのトイレにも雪だるまのマークがあるなど、いたるところに雪だるまがありました。

そして、今回最も印象深かったのは、雪や寒さとの関連が深いという点です。今回、活動で体験した機織り体験や栃の実、ダイコン寿司づくり、わら細工づくりにも関わっており、一見関係のないように感じる、機織りやわら細工は、豪雪地帯で出稼ぎができない地域ならではの伝統工業であることを知りました。一つ一つの作業に繊細さが求められる大変そうな仕事ですが、奥が深いと感じました。

ダイコン寿司やニシンづくりは、豪雪地帯の気候を生かして作るお正月に食べられる白峰地区の郷土料理です。1か月発酵する必要があるため、11月下旬から作業を始めるのですが、この時期が暖かいと発酵が進んでしまい美味しくなくなり、雪が少ないとダイコンの甘みが少なくなるなど、気候との関連が深いと感じました。今回は作業の一途を体験しましたが、どんな仕上がりになるか楽しみです。

そのほか、白峰の名物である栃の実も、たくさんの雪で水分がたっぷりある樹木から取れ、米があまりとれない代わりの保存食として、5~10年も保存ができることに驚きでした。

また、雪と関連した言い伝えも多く、「あの山が3回白くなると、根雪になる」「あの岩の先端が見えると畑の準備を始める」など印象深かったです。

気候や地理、雪とともに名物、暮らしが形成されことを知って、雪とともに歩んできた白峰に大変興味を持ちました。そして、これ以外にも郷土料理や地元食材も非常に美味しく、集落の人や民宿先の人はみんな温かい人ばかりで、また会いに行きたいと思える気持ちで、とても満足した5日間でした。2月には一つの家庭に、人数分雪だるまを作る、白峰雪まつりがあるので、ぜひ足を運んでみたいです。



③「村にあった距離感」 活動先:愛知県豊根村

私が豊根村に着き、車を走り始めて最初に寄ったコンビニの先に行くと集落があった。ここが泊まる辺りであると思っていた。

そこから、山道を右カーブ、左カーブと徐々に上っていった。泊まるそらの家は、標高が高くなったあとの高台にある場所だった。

東京での暮らしは、少し自転車を走らすと最寄り以外の駅に行けてしまうような所である。ずっとそのなかにいた身からすると、目の前に山が広がり、虫の声が合唱するかのように鳴いている空間はとても新鮮であり、怖さもあった。それは、車という手段でなければどこかに行きにくいからである。また、一軒ごとが離れていることもそのような気持ちになった一因である。

村という場所に距離があったが、それ以上にある人と人との距離の近さに良さを感じた。一息をつくおやつタイムで親交を深めること、農業体験で作業をしていたら通りすがったと寄ってくれた方がいたことで気がついた。

特に、納涼祭りに参加をした際、くじ引き大会があった。当たった人が呼ばれるとき、番号でないことにも驚いたが、名前と一緒に住んでいる地名も言われることに村の特徴があると思った。そのときの盛り上がりに一体感を感じて普段の関わりを垣間見えた気がして嬉しくなった。

野菜も動物も人も近くにある村での暮らしを通して、人間生活の本来あるべきことを発見し、体験できたと思う。東京では人とすれ違う回数が多く、スーパに野菜があり、動物園があったとしても遠くあると感じる。そのため、それを近くに感じさせる力が村にあるのだと実際に行き分かった。

みどりのふるさと協力隊、若葉のふるさと協力隊が初めて会ったと感じさせないくらい、共同生活をするなかで仲を深めることができたように思う。

初めてが多く、最初となった貴重体験の数たちは夏の思い出となり、ボランティア活動としての学びともなった。

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