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#窪美澄

ふがいない僕は空を見た③性と温もりは似ているようで違う

ふがいない僕は空を見た③性と温もりは似ているようで違う

前回の続き。
人を好きになるきっかけというのは、本当に様々である。
顔が整っているから惹かれる、とか、優しくしてくれたから、とか、いい車の助手席に乗せてもらった、とか。
里美と斉藤くんは、体の関係から始まったが、心が全く通じ合っていない、とは思えない。
斉藤くんが里美を思って涙したり、突発的に会いに行ったり。
そして、里美も、斉藤くんに惹かれていた。

セックスの際、騎乗位で里美が斉藤くんの体に乗

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ふがいない僕は空を見た② 性欲という名の卵、恋という名の希望

ふがいない僕は空を見た② 性欲という名の卵、恋という名の希望

前回の続きです。

斉藤くんは、性欲から恋を育てたが、別の一編の主人公、七菜は斉藤くんへ、恋心から性欲の芽生えを感じる。
これ、一般的だと思う。
好きな人には触れたくなる。ただ、この触れたい、という性欲は気が付いたら膨れ上がっていることへの葛藤は、正直苦しいのかも。片思いなら、特に。
斉藤くんは七菜への告白を受け入れ、付き合うことになるが、斉藤くんは里美という主婦と体の関係を持っている。2人のセッ

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ふがいない僕は空を見た①恋は性欲、では、愛はどこから来るのか?

ふがいない僕は空を見た①恋は性欲、では、愛はどこから来るのか?

ふがいない僕は空を見た 著 窪美澄

完読後、かなり体力を使った気持ちになった一冊。
壮大なエネルギーを要するのはなぜか。
まず、短編集であるにもかかわらず、一編に起こる出来事が非常に目まぐるしい。そしてもう一つ、性描写のリアルさ。(高校生の分際で!やになっちゃうねー)
私は、多少過激な性描写に免疫はあるのだが(そもそも恋愛小説に性描写はつきものだという考え)この作品はかなり刺激が強い。ワードも直

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