台湾のバンド、日本で例えるならどのバンド?
どうも、台湾在住、日本語で歌ってるバンド「ゲシュタルト乙女」のボーカルMikanです!
この度、レコード会社ミディが運営するwebマガジン「midizine」で連載「ゆらゆら台湾」を担当させていただきました!音楽に限らず、台湾情報をゆらゆらと発信!台湾現地の最新情報、面白いことを、時差なしでお届けします。
遅れてすみませんが。。
2023年、明けましておめでとうございます!新年快楽〜。
今の台湾(執筆時は1月)は旧正月の賑やかな雰囲気に囲まれてます。去年の12月は、「近年の台湾で一番寒い」と言っても過言ではないくらいの状況だったかと思います。台北は最低気温8度に加え、盆地なので、余計寒く感じましたね。先日、台中のライブが終わったばかりですが、風がとても強くて、マイクスタンドが倒れそうな状態で、なんとかやり切りました。。とても印象に残るライブでした。
ところで、2023年の年始は、大阪阪神梅田本店でアコースティックライブが無事完了!3年ぶりの日本ライブはとてもアツかったです。皆さんの顔を直接見て、沢山話せたのは幸せでしたね。感動&感謝です。ついでに大阪のFLAKE RECORDSで大好きなバンド、「家主」と田中ヤコブさんのCDを買って、Billboardでずっと憧れてるバンド「the band apart」のアコースティック編成ライブを見ました。幸せの極み乙女です!
また、ご存じの方も多いと思いますが、ゲシュタルト乙女のギター・Kaiakiが、体調面の理由から脱退することになりました。長年一緒に頑張ってきた仲間なのでとても残念ですが、これからもゲシュタルト乙女は私が引きつづき頑張っていきます!今後とも台湾と日本の架け橋になることを目標にしていきますので、変わらぬお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
さてさて、「ゆらゆらたいわん」今日も台湾のことを沢山おはなししますよー!
まず、台湾には日本の音楽から影響を受けたアーティストが大勢います。台湾バンド「透明雑誌」は「NUMBER GIRL」に影響を受け、青春の狂騒を表現するサウンドで、日本でも大人気となりました。台湾と日本は環境が違いますし、生まれてくる音楽も異なります。それでも、音楽活動をしている自分はよく、両者の共通点を探しながら楽しんでます。
私が所属するバンド「ゲシュタルト乙女」を通じて台湾音楽に興味を持った方もいらっしゃると思いますが、今回のゆらゆら台湾は「台湾のバンド、日本で例えるならどのバンド?」というテーマで、台湾バンドを3組ご紹介しますね!
まずは一組目!
日本代表「Awesome City Club」 と 台湾代表「甜約翰(Sweet John)」
2021年、映画『花束みたいな恋をした』のインスパイアソングとして、その楽曲『勿忘』使が用され、一躍有名になったAwesome City Club。男性2人、女性1人の編成で、ギター/ヴォーカルのatagi(アタギ)、ヴォーカル/シンセサイザーのPORIN(ポリン)、ギターのモリシーからなる3人組バンドです。略称は「ACC」、「オーサム」。
バンドメンバーはポップスやソウル、ダンスミュージック、ロックなど幅広いルーツを持ち、それぞれが高い音楽センスを持っています。2021年の紅白歌合戦に出演し、台湾でも大きな注目を集めましたね!(紅白歌合戦は国際的にも注目度の高い番組なので、台湾でも日本好きなオーディエンスはチェックしています。)
台湾代表「甜約翰(Sweet John)」
2016年に台湾の台南で結成された男女5人組のナチュラル系ロックバンド。ヴォーカル/ギターの浚瑋、シンセサイザー/ヴォーカルのMandark、ギターの罐頭、ドラムスの小J、ベースの阿獎(現在アレンジのみ参加)によって結成され、台北を拠点としています。
「Sweet John」というバンド名は、「Dear John Letter」に由来し、欧米では「女性が恋人や伴侶に別れを告げる手紙」を意味します。控えめで優しく、軽やかなメロディーに、まるで独り言を呟いているかのような歌声を乗せ、リズムコントロールにもゆとりが感じられます。さまざまな音色や、音楽スタイルの要素を組み合わせ、彼らならではの美しく別れを告げるかのような、切ない音楽を聴かせてくれます。2018年5月に1stアルバム『Dear』第29回金曲獎、同年9月に『失蹤人口』で第9回金音獎にノミネートされました(※1)。今台湾で大注目のアーティストです。
彼らとは昔、1度対バンしたことがあり、付き合いも長いです!ボーカルの浚瑋は私の歌の先生であり、最近歌のレッスンも始めました。
※1 金曲奨(英語名:Golden Melody Awards)は「台湾のグラミー賞」とも呼ばれる、台湾最大級の音楽祭典です。金音獎(英語名:Golden Indie Music Awards)はインディーズにフォーカスした音楽賞です。
2つのバンドの共通点は…
この2つのバンドの共通点は、温かみのある男性ボーカルと透明感のある女性ボーカルの組み合わせている点。また、ポップスやソウル、ロックなど、さまざまな音楽スタイルを取り入れているのもポイントです。老若男女問わず、誰にでもおすすめできます。メンバーの担当楽器が似ているだけではなく、人間関係の「温度感」を紡ぎ出す、繊細な表現の歌詞にも共通点を感じます。
また、もう1つ、面白い共通点があります。Awesome City Clubのアイコン的存在のPORINは、自身がディレクターを務めるファッションブランド「ヤーデン(yarden)」を手がけていますが、Sweet JohnのMandarkもファッションセンスを発揮し、グッズの販売や、オンライン・セレクトショップの運営を手がけています。
▲Mandark自らプロデュースした服とグッズが見れます!
日本代表「星野源」 と 台湾代表「盧廣仲(Crowd Lu / クラウド・ルー)」
続きまして、二組目!
日本代表「星野源」
それぞれが日台を代表する国民的シンガーソングライター!音楽性から境遇まで、共通点が盛り沢山です。
まず、俳優/アーティストとして幅広く活躍している星野源。高校卒業後、同級生とインストバンド「SAKEROCK(サケロック)」を結成し、2010年にはソロデビューを果たします。俳優としては、台湾での知名度も高いドラマ『ウォーターボーイズ』(2003年)にも出演しています。また、2016年に放送された主演ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』では、主題歌『恋』も手がけ、大ブレイクを果たしました。
台湾代表「盧廣仲(Crowd Lu / クラウド・ルー)」
台湾で知名度抜群のクラウド・ルー(盧廣仲)は台湾の台南出身、フォークとロックを中心に歌っているシンガーソングライターです。大学1 年の時、交通事故に遭ったことがきっかけで、入院中にギターを独学で開始。退院後の翌年、大学の音楽コンテストで優勝、現在の所属事務所にスカウトされます。その楽曲はポジティブで楽しく、台湾の田舎について歌ったり、その自然体な姿勢と音楽性の高さで大ブレイクしました。テレビドラマ『花甲男孩轉大人(お花畑から来た少年)』への出演で、台灣人から幅広く支持されています。本作では出演のみならず、オープニングとエンディングの楽曲まで出がけました。2018年には、映画版の公開に伴い、主題歌『幾分之幾(You Complete Me)』をシングルリリースしました。日本では2015年のサマーソニックや、2016年のサンセットライブ等のフェスにも参加。
第 20 回金曲奨では最優秀新人賞および最優秀作曲賞を受賞。その後も「台湾のエミー賞」と称される第53回金鐘獎(ゴールデン・ベル・アワード)で、主演ドラマ『花甲男孩轉大人(お花畑から来た少年)』が主要11部門にノミネートされ、「戲劇節目獎(作品賞)」を含む計4部門での受賞を果たしました。クラウド・ルー自身は、史上初となる「新人賞と主演男優賞のW受賞」を達成しました。
2つのバンドの共通点は…
星野源の初期の音楽性は、アコースティックギターを使用したフォークが中心。その後、バンドセットやシンセサイザーを取り入れたカラフルなサウンドに進化していく様は、クラウド・ルーとの共通点の一つだと思います。また、作品から感じるポジティブなパワーや、面白く、心に刺さる歌詞も共通点を感じるポイントですね。音楽と俳優活動を両立させている点や、メガネからコンタクトへと進化する点も、不思議と被ってて面白いです!
是非、2人の初期名作から最新作品まで、聴き比べてみてください!
日本代表「Tempalay」 と 台湾代表「我是機車少女(i'mdifficult)」
最後に、三組目です!
日本代表「Tempalay」
ヴォーカル/ギターの小原綾斗、ドラムスの藤本夏樹、ヴォーカル/シンセサイザーのAAAMYYYで結成されたスリーピースバンド、Tempalay。さまざまな音楽要素を取り入れ、シーンでも異彩を放っています。2015年にデビューし、FUJI ROCK FESTIVALのROOKIE A GO-GOに出演。2016年にはアルバム『from JAPAN』、2017年には『from JAPAN 2』をリリース。特に『from JAPAN 2』に収録された楽曲『革命前夜』はGAPとコラボし、Tempalayの知名度を大きく高めました。
ヒップホップ的な要素を織り交ぜた、実験的なサウンドを生み出すロックバンド、Tempalay。 世間ではかなり高く評価されています。台湾でも台北のライブハウス、The Wallで何回かライブしたことがあります。
台湾代表「我是機車少女(i'mdifficult)」
「我是機車少女」は日本語で「私はバイクの女の子」という意味。最初は音楽メディア関係の友達からおすすめされて、「バンド名が可愛い」と思い、曲を聞かずにライブに行ってみたところ、面白くてキュートで、心を鷲掴みされました。台北を拠点としており、ヴォーカル/ギターの凌元耕、ヴォーカル/シンセサイザーの張芷瑄、ギターの王沂紳、ドラムスの呂仲林の4人組で結成。シティーポップやR&B、ジャズなどさまざまな音楽的要素を取り入れており、聴いていると心が踊ります。ビートがどこか懐かしくて、どこにもない景色を見せてくれるサウンドだと思います。歌詞は韻を踏む、中国語と英語の言葉遊びで、その意味に思いを巡らせながら音楽を楽しめます。台湾アーティストの中でも、デビューして間もない頃から注目を集めています。
2つのバンドの共通点は…
いい意味でこだわりを持たず、ジャンルに囚われず、色んな音楽要素をミックスし、自由に創造力を発揮させているところが、両バンドの共通点だと思います。男性ボーカルと女性ボーカルのバランスも緻密に計算されていて、ちょうど良い甘さが感じられます。Tempalayの場合はペンタトニックスケールを多用することから、一方、我是機車少女は音色の選び方から、どこか懐かしさを感じさせるサウンドです。歌詞については、両バンドとも、韻を踏むことやストレートさを大切にしつつも、幻想的で不思議な世界観を表現しています。
まとめ
以上、紹介した3組はそれぞれサウンドやジャンルは異なりますが、共通点を探しながら聴けるという点では、どれも面白いです。是非、聴き比べてみてください!
以上、ゆらゆら台湾 vol.3 でした!また今度ね。
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